無罪請負人 刑事弁護とは何か?
弘中惇一郎(著)
/角川oneテーマ21
作品情報
多くの著名事件を手がけ「無罪請負人」の異名を取る辣腕弁護士が、日本の刑事司法の問題や特捜検察の腐敗ぶり、世論を真実から遠ざけるメディアの問題点などを提起する。
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商品情報
- シリーズ
- 無罪請負人 刑事弁護とは何か?
- 著者
- 弘中惇一郎
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川oneテーマ21
- 書籍発売日
- 2014.04.01
- Reader Store発売日
- 2014.04.11
- ファイルサイズ
- 3MB
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この作品のレビュー
平均 4.3 (25件のレビュー)
-
筆者の弘中惇一郎氏は弁護士。著名な刑事事件の弁護を多く担当。例えば、ロス疑惑の三浦和義氏、厚生労働省官僚の村木厚子さん、小沢一郎・鈴木宗男といった政治家、薬害エイズ事件の安倍英氏、ライブドア事件の堀江…貴文氏、等、枚挙にいとまがない。このうちのいくつかの事件で、無罪を勝ち取ったので、「無罪請負人」と呼ばれ、それが本書の題名にもなっている。
本書では、それらの個々の事件の紹介もされており、それはそれでとても面白い物語であるが、一番興味をひかれたのは、日本の刑事司法の後進性について筆者が紹介している部分である。
2013年の話なので、かなり前のことであるが、国連で「日本の刑事司法は中世に近い」との指摘を受けたというエピソードが紹介されている。実際に筆者から見ても、日本の刑事司法の現実は前近代的であり、国際基準に照らしても相当に遅れていることは確かであるらしい。どういったところが前近代的なのかは、個々の事件と関連づけて本書の中で紹介されている。例えば、取り調べに弁護士の立ち合いが許されていない、自白主義、実質的に無制限で検察側の恣意的なコントロールの利く拘留期間、等である。これらの話を読むと、冤罪事件が起こっても全然不思議ではないなと思うし、実際に冤罪が起きるメカニズムも紹介されている。
本書で筆者が問題提起していることは、おそらく、随分と以前から多くの弁護士から指摘されていることだと思うのだが、そういったことが変わらない、あるいは、変わる兆しすら見えないこと自体が「中世的」なのだろうと感じた。続きを読む投稿日:2022.03.28
カルロス・ゴーンの弁護人としてテレビで取り上げられ、
「そんなに有名な人なの?」と気になっていた。
ネットで調べてみると、なんと郵便不正事件や陸山会事件など、テレビで連日報道されていたあの刑事裁判の弁…護人ではないか。
無罪請負人なんて、この人は一体どんな弁護活動をする人なのかと、無知のまま本書を読んでみたけれど、
真実を追い求め複雑な権力構造に立ち向かう姿に
なんと気骨がある人なのだろう、と心打たれた。
現場主義を貫き、仮説の実証や証拠集めのため奔走する姿は泥臭く、まるでジャーナリストのようで、
記者会見やニュース番組で流暢に解説する姿からはとても想像つかない。
本書では、弘中さんが担当した事件を基軸に、
事件の背景にある刑事裁判の問題点や国家権力の不正・不当について述べられている。
テレビで刑事裁判の報道を見ても、
「どちらが正しい・悪いのか」という二元論で物事を見がちで、その事件が権力にどう利用されてきたのか、その利用目的は何なのか、なんてことは考えない。
だけど、刑事事件の中には、その時の歴史的背景やなんらかの社会体制の転覆を狙って「刑事事件化」されているものがある。
検察によって作られたストーリー、隠滅させられる証拠、司法の現場は歪められ利用されていることを、
私のような一般人も知っておいた方が良いのだろうと思う。
刑事事件において弁護人が立たされる不利な立場、
さまざまな組織、人間の立場や利益に目を向けることが、情報の受け取り手として最低限必要なことなのだろう。続きを読む投稿日:2022.09.19
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