問題解決ファシリテーター―「ファシリテーション能力」養成講座
堀公俊(著)
/東洋経済新報社
この作品のレビュー
平均 3.9 (31件のレビュー)
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ファシリテーションとは、狭義では
「会議を効果的に行うための働きかけ」
広義では、
「組織による想像、変革、問題解決、合意形成、学習などを支援し促進させる働き」
権力・交換ではなく、共鳴で人を動かす…
ファシリテーターに必要な3つのスキル
①プロセス・デザイン
どのような手順で問題解決を進めていくのか、活動プロセスの設計
②プロセス・マネジメント
議論を分かりやすく整理して示し、より創造的な議論となるようチーム全体の発想を広げる手助けをする
③コンフリクト・マネジメント
意見の食い違いによるコンフリクト(葛藤)がでてくるなか、全員が満足できる創造的な解決策を目指して合意形成する
1.プロセス・デザイン
1)デザインすべき内容の順番
①目的(狙い)
②アウトプット・イメージ
③活動プロセスとスケジュール
どんな情報をもとに、どのようなやり方で、何を生み出すか(アウトプット)の連続するプロセスを具体的なスケジュールに落とし込む。
④役割分担
⑤行動規範
2)標準的な問題解決プロセス(発散収束を2サイクル)
スタート→発散思考→収束思考→ゴール→もう1サイクル
目的・目標の設定→問題探索(情報収集)→情報分析→問題(原因)の発見→解決アイディアの創造→アイデアの評価・統合→解決策の決定
各ステップでのインプットとアウトプットを明確にする習慣をつける
3)ファシリテーションのルール
「感情、権威、序列、地位の力などを排除し、事実、論理、原理、ルールなどの原則に基づいた民主的な議論によって問題解決にあたる」
実績のある人は意思決定への影響力は大きくなる
4)プロセスデザインでもめる時の対処法
・目的の食い違い→上位にある目的で一致させる
・アウトプット・イメージの食い違い→ビジュアルなコミュニケーションを
・プロセスの食い違い→ガス抜き後標準ステップに
プロセスデザインは活動のフレーム作りなので、入り口の議論をいつまでも続けずに、スタートをまず切るのが得策
5)重要なものがMECEに発見できれば十分
本質をつかむには、目指すべき価値(どんな会社でありたいか、など)が共有化されていて、キーコンセプト(顧客満足、競争に打ち勝つ、など)を胸に、人間の洞察力が発揮されないとだめ。
2.プロセス・マネジメント
議論を理解する=
メッセージの意味を理解する←支援:ロジカルコミュニケーション
+議論の中に位置づける←支援:議論の構造化
・ロジカルコミュニケーション:論理の乱れを正して足らない部分を補わせ、誤解や勘違いによって議論が間違った方向に行かないように常に気を配る
・議論の構造化:議論を整理して全体構造を明らかにし、それぞれの意見を位置づける
1)ロジカルコミュニケーション
事実・根拠・意見の3点セットで論理を構成する
STEP1.事実(起点)を共有化させる
①前提となる事実を明らかにさせる
把握した事実を披露させる
②事実と意見のすり替えを防ぐ
事実認識そのものを論点にして、それが確かなものかどうかを議論する必要がある
③話の立脚点を明らかにさせる
言葉の定義を一つ一つ確認する
STEP2.根拠(経路)の乱れを正す
①根拠を求めて論理の飛躍を防ぐ
起点からいきなり結論を導き出す論理の飛躍には、他の根拠となりうる選択肢をいくつか上げて論理の飛躍を気づかせるようにする
②客観的な論拠を求める
根拠として使えるのは、因果関係、例証(事例)、基準(ルール)の3つ。
③因果関係のもつれを解きほぐす
うまい方法はない。懐疑的に因果を見る。
④適切なサンプルで論理を証明させる
サンプルは量と公平性が重要。
⑤基準(ルール)のすりあわせを行う
基準は、自然法則、一般常識、社会通念、集団内での規範など。逆にダメなのは、個人的な価値観、思考の枠組み、感情など。ステレオタイプなものの見方(スキーマ)は使えない。どの基準を採用するかもめる場合は、さらに上位の概念を論拠にするのが有効な解決策。
⑥MECEな論拠を求める
論理を肯定する材料に目がいきがちだから、根拠の抜け穴を指摘してあげる
STEP3.意見(終点)を明確にさせる。So What?
①話し手から意見を引き出す
目的に答える意見を引き出す。情報提供の裏の意見を聞く。
②あいまいな意見を定着させる
話しての意図を推察して意見に仕立ててチーム全体のものとして引き取り、発言者としての責任から解放してあげるとよい。
③結論を定量化させる
具体性のない結論は定量的表現にする。
ダメなのは、活用する、強化する、推進する、充実する、検討する、配慮する、調整する、促進する、徹底する、取り組む、協力する、図る、など。
STEP4.論理で伝えきれない知識(暗黙知)を伝え合う
メンバーが説明で四苦八苦したり真意が伝わりにくい時は助け舟をだす。アナロジー(類推)、メタファ(暗喩)、物語、ことわざ、語録、他社事例、身近な出来事などが暗黙知を伝えるのに使える。
STEP5.復唱を使って主張の内容を確認する
聞き手の理解が正しいかを確認してもらえる。聞き手の理解が促進できる。話し手に親和的な気持ちを伝える。
「ご意見を・・・と理解しましたが、それでよろしいですか?」「今おっしゃったことは・・・ということを示唆されたのだと思います」
2)議論を構造化して論点をかみ合わせる
議論の構造化
議論を整理(議論の全体像(構図)を明らかにして、それぞれの意見の位置づけを明らかすること)して、議論がメンバー全体に見えるようにして、議論すべきポイントを洗い出し、論点の優先順位をつけていくこと。
・議論の先鋭化
意見をはっきりさせる
①重要な部分を抜き出す
結論、繰り返し、好んで使うキーワードなどを抜き出す。
②オープン・クエスチョン
なぜ?を繰り返して相手の深いところに分け入り発言者自信に本質を披露させる。
③クローズド・クエスチョン
④要約して確認を取る
「要するに・・・」「極端に言えば・・・」
⑤言語以外の情報を手がかりにする
オープン・クエスチョンからクローズド・クエスチョンへ絞り込む
・議論の組織化
似たものを一塊にする(組織化)
・議論の体系化
①ツリー型
イエスかノーかをきっちりと議論したい時、MECEに議論したい時に向いている。分岐点を順番に議論していくことで合理的な意思決定ができる。
②マトリクス型
複数の対立軸が混じっていたり中間的なポジションも考えられる場合に向いている。軸の取り方で議論を方向付けできる。なるべく1つの領域に意見が固まらないように軸を選ぶのがポイント。
意見の違いをはっきりさせるならツリー型、微妙なニュアンスの違いを表現したいならマトリクス型。
ツリー型は分岐点、マトリクス型は軸が議論のポイント(論点)。
議論が袋小路に入ったら、広い場所まで連れ戻して大きな論点を議論するように誘導が必要。
・論点の優先順位を決める
①一度に一つのことしか議論しない
②目的達成までのプロセスをイメージして論点を並べる
③論点の優先順位を固定して考えない
・論点のズレを修正する
①的外れを正す
ひとまずありがたく受け止めた後に、後で議論することを約束する。
②レベルのズレを正す
議論の構造を明らかにした上で、どちらのレベルで議論するかを決める
③根元のズレを正す
順番に論点を一つずつ片付ける
④軸のズレを正す
マトリクス型で考えるとわかりやすい
本質を見極める力を養うには、ロジックツリーを演繹的に作る訓練をするといい
3.コンフリクト・マネジメント
コンフリクトを生むのは差異のある価値観などにお互いが固執するため。
コミュニケーションでお互いの違いを理解し合うことがコンフリクト解消の第1ステップ。そして、ウィンウィンアプローチを目指す。
1)コンテクスト(文脈)を共有して相互理解を深める
①一致点と対立点を区分けする
②対立の原因を明らかにする
上位レベルの話をしてコンフリクトを解消する。ツリー型の論点チャートが便利。上流にさかのぼって、意見が対立から一致へと変わるポイントを探す。
③コンテクストの違いがコンフリクトを生む
コンテクスト(文脈)とは他の情報との関係性の中で意味が理解されること。
・コンテクストの3つのPと、コンフリクト解消のヒント
①目的(Purpose)・・・より高い目的から見る
②視点(Perspective)・・・より広い視点から見る
③立場(Position)・・・第三者の立場から見る
・より高い目的から見る
共通目的をなぜを繰り返して見つける。上位のレベルで目的が一致できれば、あとは目的達成のレベルをすりあわせる。
・より広い視点から見る
時間的、空間的、システム的なスケールの違いによるコンフリクトを解消するのは上位のスケールでとらえること。
・第三者の立場から見る
複数の立場から問題を眺める。どちらが正しいかではなく、両方が正しいことを出発点にする
自分のパラダイムが正しいという信念を打ち砕いて、お互いのコンテクストを正しく理解する
2)ウィンウィンアプローチ
コンフリクト解消には3つある。ウィンウィンは①②
①創造による解消
・お互いの真の目的をみつける。上位レベルへ
・目的達成のアイディアをだす
・信頼関係づくりを心がける
②交換による解消
ゼロサムと思い込まずにお互いの求めるものを確認する。何が交換できるかを柔軟に考える
③分配による解消
①②ができない場合のみ。協調的な雰囲気で、客観的基準で分ける。
・支持的コミュニケーション
①アクティブ・リスニング
支持的傾聴。
②ミラーリング
相手の言葉や動作をそのまま反復する
・満足度の高い意思決定
意思決定とは、受け入れられないような解決策を一部の人に強制するものではなく、全員に受け入れられる選択肢をチーム全体で見つけ出すもの
絶対的な真理はなく、「最良」ではなく「最適」を選ばなければならない。チームが良い意思決定をしたと満足すればそれが最適
メンバーの発想の幅を広げてできるだけ多くの選択肢の中から選ぶ。コンフリクトはそれに役立つ
できるだけ客観的な基準で選択肢を評価する
意思決定できないときは、合意したところまで決める、リーダーに選んでもらう、実行者に選んでもらう、もう一度問題解決のサイクルをまわすなど代替案を提案する続きを読む投稿日:2014.04.24
◼︎研修よりも日常業務の優先順位が高いと言う人
⇨『あなたが本来すべきことは何なのでしょう』と問うこと。
スティーブン•R•コーヴィー『7つの週間』の中から『真に大切なのは緊急ではないが重要な事柄であ…り、それによって重要だと勘違いしている緊急な仕事が減らせることを理解させるようにしよう。』
◼︎MECE
Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive
(漏れなく、被りなく。フレームワークのようなもの)
・4P
・SWOT
・3C
company
customer
competitor
•QCD
Quality
Cost
Delivery
◼︎非言語コミュニケーション
メラビアンの公式にて言語だけだと7%
であるものが
声やイントネーションで45%まだ上がる
残りの55%はボディーランゲージ
90%以上が非言語コミュニケーション
◼︎メンバーが的外れなことを発言したとき
ひとまず有り難く受け止めた後に、後で議論することを約束するのが良い。丁寧に『控え室』にお越しいただく。その時に安心感を与えるため、ホワイトボードの片隅にでもメモ。議論の流れの中で扱うか忘れたふりをするかを判断すれば良い。
控え室で待っている内に本人も忘れてしまうことも多いようだ
続きを読む投稿日:2021.06.26
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