カウンセリングを語る(上)
河合隼雄(著)
/講談社+α文庫
作品情報
大人も子どもも心にさまざまな重圧がかかっているいま、カウンセリングや心理療法に心のケアを求める声が大きくなってきている。本書は、カウンセリングとはどういうものかから、いかに悩みや苦しみを受けとめ、対処していくかまでを根本から語っている。(本作品は一九八五年四月、創元社から刊行されたものを、文庫収録にあたり再編集したものです)
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商品情報
- シリーズ
- カウンセリングを語る
- 著者
- 河合隼雄
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社+α文庫
- 書籍発売日
- 1999.10.20
- Reader Store発売日
- 2014.02.07
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 360ページ
- シリーズ情報
- 全2巻
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この作品のレビュー
平均 4.4 (11件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
本書は、四天王寺人生相談所が開催していた年一度のカウンセリング研修講座に、著者が講師として招かれ、実施した講演の記録をもとに編集されたものである。その研修の受講者は、学校の先生などの教育者であったり、学校カウンセラーもいたかもしれないし、これからカウンセラーになろうとしていた人かもしれない。
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著者は「別にカウンセラーになろうとする人でなくとも、教育、福祉、医療などの領域で、何らかの意味で対人援助の仕事をしている人々にとって、本書はどこかお役に立つところがある、と思っている」と述べている。
上下巻あるうちの上巻である。
章のタイトルを見れば、講演に対する興味が膨らむ。
第一章 家庭・学校で問題が生じたとき
第二章 心を聴く
第三章 カウンセラーという人間
第四章 「治る」とき
第五章 限界があることを前提に
第六章 役に立つ反面の危険性
本書の内容のすべてと言っても過言ではない内容が、第三章に記されている。読者の期待に対するズバリの回答である。カウンセラーの三つの条件である。
たった3つの条件を満たすことができれば、特に勉強などしなくても誰でも一流のカウンセラーになれるという。
①カウンセラーは、クライエント(カウンセリングを受けにきた人というような意味)に、まったく無条件に積極的に関心を払っていく(無条件な積極的関心、積極的尊重)。
②共感するということ(クライエントの悩み、苦しみ、悲しみ、あるいは喜びをともに感じていく)
③自己一致(カウンセラーがその時に言っていることと、感じていること・思っていることがぴったり一致していること)
河合先生は、プロの商売道具のエッセンスをいとも簡単に開示されたが、これは簡単なようで、実は非常に難しく、素人には到底できない、トレーニングをつんでもなかなかクリアできない条件だからである。
本書の内容のすべてはこの3条件の実施に関する話であって、そのニュアンスをとらえるには、全体の講義を聞く(読む)しかない。ただし、読んだからといって、すぐに実践できるものでもない。だけども、これを知っているか、知らないかで、問題をかかえる人と正しく向き合えるか、全く誤った対応をしてしまうかという大きな差を生じさせてしまう。
現代社会はとくに、自分の周りを見回しても、このようなコミュニケーションを求められる場面が非常に多いように感じる。カウンセリングとまでいかなくとも、人の話をきちんと聞かねばならない場面は多い。
その時に、この意識をもって接するのと、そうでないのとでは人間関係に全く正反対の結果をもたらすように思える。話の聞き手として、コミュニケータとして、誤った対応をしないために、この知識は非常に有効であると思う。
もちろん深刻な内容での本来のカウンセリングを要する場面では、プロのカウンセラーによるカウンセリングで対応せねばならない。本書の中でも、著者が「カウンセリングは命がけである」という趣旨のことを述べているように、中途半端なカウンセリングは危険である。
そして、もう一つ重要な事実が本書で明かされている。
それは、カウンセラーがクライエントを治療するのではないということである。カウンセリングにより、クライエントが自らの力で治癒していくのだそうである。つまりクライエントの自己治癒力をアシストするのが、上記の三条件の遂行ということだ。
身近にメンタルの病と闘っている人がいるならば、少なくとも三条件を誤らないことが、本人の自己治癒を阻害しないためにも重要だなと感じた。
この三条件の裏返しは、①無関心、②共感できていない、共感しようとしない ③自己一致していない(言ってること、やってることと、心で思ってることが一致していない)だ。・・・確かに、これはよくなさそうだ。
河合先生の本は、いろいろと考えさせてくださる。下巻のほうも楽しみである。投稿日:2020.01.17
河合先生祭り中の私はまだ積読があるのに河合先生の本を
次から次へとゲット・・・
この本もその中の1冊(㊦もあります・・・)
結構な厚さの本で、チョビチョビ味わって読んでたら時間がかかってしまった(笑)…
例によって付箋だらけです(笑)全部は紹介できないの抜粋しますねぇ~
・これはだめだとか、これはいいことだというふうにきめてしまわない(p47)
・カウンセリングの場面で絶対によいということはめったにないのではないでしょうか(p96)
・カウンセリングは、極端に言うと手術するのに似ているんじゃないかと思います(p100)
・カウンセリングの根本は、結局はクライエントが治っていくということです。
クライエントがクライエントの力で治っていくのです(p118)
・ぼくらはいくらやったって天狗になれないというか、いつも相手に対して謙虚な気持ちを
持っていないと仕事ができない(p123)
・おさまらないものをひとりで持つことによって、私の心は動き続けるんです(p126)
・カウンセラーの訓練の一つというのは、何回やっても初心忘るべからずと言うことができるような
人間になるように、自分を訓練しなければならないというふうにも言えます(p147)
・われわれは死にもの狂いになって自分のものにする努力をしなかったら、カウンセラーには
なれないということです。(p156)
・カウンセラーというのは、ひたすら共感する訓練をしているんじゃないか、とさえ私は思います(p158)
・カウンセリングをやると言ってる自分は、どの程度、ほんとにカウンセリングのできる人間なんだろうか
あるいは、カウンセラーであるための努力、あるいは、あろうとするための努力ということを、どの程度
しているんだろうという反省ですね、これが非常に大切だと思います(p204)
・自分をどれだけの豊かな器として持てるかという反省ですね、これが非常に大切になってくると思うんです(p206)
・カウンセラーになろうと思う限りは、非常に貪欲に勉強して欲しい(p221)
・共感する主体としての自分をうんと広くするように、うんと豊かにするように、あらゆる機会をつかまえて
われわれはがんばっていかねばならない(p222)
・何もせず、ひたすら時を待つ商売だと私は思っています(p289)
・その問題児と言われている子供と格闘することによって、われわれが成長していくわけです(p298)
・われわれは欠点があるから楽しく生きているんです。人間の欠点というのはみんな長所と裏腹に
なっているんですね(p338)続きを読む投稿日:2014.10.12
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