- 最新巻
詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下)
マン(著)
,岸美光(訳)
/光文社古典新訳文庫
作品情報
クルルはある青年貴族の身代わりとなってリスボンに向かう。車中、古生物学者のクックック教授と同席し、地球の生命と宇宙の生成について講義を受ける。クルルは深い感銘を覚えるが、一方で教授の娘にも魅了され・・・・・・。稀代の詐欺師クルルの身に、予想外の展開が! 読み始めたら止まらない小説の面白さがここにある。意図的に古めかしい饒舌な文体を活かした、超絶技巧の新訳!
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商品情報
- シリーズ
- 詐欺師フェーリクス・クルルの告白
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社古典新訳文庫
- 書籍発売日
- 2011.10.20
- Reader Store発売日
- 2013.12.20
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (7件のレビュー)
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「存在は健やかな幸せではない。存在は喜びと重荷である。」
上巻に引き続き、著者トーマス・マンの卓越した語りの力強さ、人間洞察の奥深さに驚かされる作品です。
ホテルの給仕として働くフェーリクスは、青年貴族ルイ・ヴェノスタと出会うのですが、ヴェノスタは、自分の…身代わりとなって世界周遊旅行に出るという提案をフェーリクスにします。何か魅惑的なこととして心惹かれるのですが、彼の理性は真に自分の人生を賭すに値するものであるかを冷静に問いかけます。(フェーリクスはいつも理性と冷静に対話しながら生きているのです。)そして、考えた抜いた末に、青年貴族の代役を引き受けて生きる決心をします。
フェーリクスは、パリから南北急行でとリスボンへ向かいます。食堂車で向かいに座った「星のような目」をしたクックック教授という古生物学者と知己になりますが、クックックは、食事の傍(かたわ)らフェーリクスに生物学の講義を授けてくれます。
生物が地球上に現れ現在に至るまで如何に進化してきたのか、フェーリクスにとって驚異的な教えでした。最初期の形態から生物は進化し続けて最高度の生物に至ります。しかもその間に全段階が存在し続け、これからも並存し続けるということ。何という驚異でしょうか。人間の根源的なものに関わって生きるフェーリクスにとって重要な意義を持つ話であったのです。
「存在は健やかな幸せではない。存在は喜びと重荷である。」
楽しく安らかなだけの生は真の人生ではなく、真の人生とは喜びと重荷の両方を真正面から受け止めて生きることだと語りかけています。
この後、リスボンでクックック教授の夫人や娘との神秘に満ちた邂逅が続いていきます。
著者トーマス・マンが、最晩年に、何か時間や空間を超越した人間存在の意味を追い求めようとしている印象を受けました。
続きを読む投稿日:2015.04.11
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原著1954年刊。
トーマス・マン(1875-1955)が35歳で書き始め、永らく中断して書き終えたのは何と79歳。
このインテリジェントな(大)作家については、北杜夫さんを通して畏敬の念を持ち…つつも、近年は全く関心を寄せることなく、『ブッデンブローク』あたりも結局読んでないのだが、最近になって「トリックスター」への興味から、山口昌男さんの著作に本作がたまに言及されているので気になり、中古で入手した。
少年時代から誰にでも化けてしまう(演技する)天才的な特技を持つ主人公クルルの遍歴を描く。やたら女性にもてる外観と洗練されまくった身ぶり(演技)を持っているのがミソ。
が、本作は完全に「未完作」である。35で書き出して79歳までいったい何をやっていたのか。どうしてそんなに気にくわない物語だったのに、晩年になってこれの「第1部?」を書き継いだのは何故だったか。
読んでいくと「これについてはもっと後で・・・」というような様々な伏線がそのままで中絶してしまうし、更に物語は膨らんでいくだろうと期待させられるのに、非常に中途半端なところで終わってしまうのがこの上なく残念である。
もっとも読者がこの先「こんなふうに展開していくだろう」と予測できてしまうあたりに、老トーマス・マンはうんざりしてしまったのか。
なるほど、逸脱しつつ他者、主に女性を翻弄してゆくクルルはトリックスター的な傾向を示している。ただ、トリックスターという役柄は、本来、本人のモノローグのかたちでは発動されないはずだろうという気もするし、際限の無いトリックスター的「いたずら」を延々と書けばもの凄く長大な小説になってしまうだろうと思われ、到底書き切れないことに気づいてうつむく老マンの表情が想像されて、同情を抱かされる。
途中で妙な人物「クックック」氏によって開示される即物主義的・進化論的で壮大な宇宙観が本作にはまとまりのわるい長いエピソードとして挟まれるなど、気になる点をあれこれ残して、小説家が去ってしまったことが、いち読者としては悔やまれるところだ。続きを読む投稿日:2024.02.20
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