近代ヨーロッパの誕生 オランダからイギリスへ
玉木俊明(著)
/講談社選書メチエ
この作品のレビュー
平均 3.0 (2件のレビュー)
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オランダは商業資本主義時代の、イギリスは産業資本主義時代のヘゲモニー国家であった。
オランダ政府がオランダ商人を保護し、保護費用を国家が負担することでオランダ商業を活発にできるほど、オランダ国家は強力…ではなかった。
オランダ商人はオランダ国家の意思とは関係なく取引を行った。オランダ商人の活動がオランダ国家の利益につながることがあっても、それがオランダ国家の意思のもので行われたということはあまりなかった。
アムステルダムが宗教的寛容の土地だったひとつの理由は、経済が急速に発展したので、宗派に関係なく取引せざるをえなかったから。続きを読む投稿日:2009.11.28
オランダを中心に、近世から近代にかけてのヨーロッパ経済について述べてあります。オランダ中心ということですから、当然海上輸送貿易についての話となります。ヨーロッパ中世では地中海世界がヨーロッパ経済の中心…でしたが、それが食料や船舶用資材である森林資源の枯渇から北方(アルプス以北のヨーロッパ)が替わってヨーロッパ経済の中心となります。その中でもオランダはポーランドなど東方から穀物などを輸入して他国に再輸出する(つまりは転売・中継ぎ貿易)ことにより、ヨーロッパ経済を牽引する存在となります。またオランダはこのようにバルト海貿易を中心に栄えますので、オランダではバルト海交易を「母なる貿易」と呼ぶそうです。しかしオランダは中央集権的でないため商人の移動に制限が無く、最新の技術を持ったオランダ商人が各地に移住、また他国の商人がオランダに移住し技術を習得した後また他地域へ再移住するという形をとることにより、ヨーロッパ全体の商業を底上げするとともにネットワークを形成して発展していきます。そうした中台頭してきたのがドイツの中立都市ハンブルクとイギリスの帝都ロンドンでした。ハンブルクは「長い18世紀」ないし第二次英仏百年戦争中も中立都市として、他国と距離をとっていたことにより安全に航海を行うことが出来たため貿易を優位に進めます。またロンドンは中央集権国家イギリスの保護のもと同じく発展していきます。拮抗していた両者はしかしナポレオン戦争により中立の立場でも拿捕されかねない状況となってハンブルクが減速、一方ナポレオン戦争でほとんど唯一戦場とならなかったイギリスに資本投下が集中してロンドンは他を引き離してオランダのアムステルダムに代わりヨーロッパ経済を牽引する立場となります。そしてこの「商業資本主義国家」オランダから「産業資本主義国家」イギリスへのヘゲモニーの移行によりヨーロッパ近代が誕生したと結んでいます。
内容は以上のような形で非常に参考になる本でした。とくにオランダの発展におけるバルト海貿易の影響は、「地中海沿岸から大西洋沿岸へ」という16世紀のいわゆる「商業革命」を重視する高校世界史の教科書ではほとんど取り扱われないため、目からウロコでした(バルト海貿易が重視するのはリューベックを中心とするハンザ同盟が活躍する中世のみ。最近では近世スウェーデンによる「バルト海帝国」も取り上げられるようになっているが・・・)。オランダの対外進出はおもにケープ植民地と南・東南アジアが中心で、1623年にアンボイナ事件を起こしたことにより東南アジア香辛料貿易を独占したこと最盛期として、のちインド経営に成功したイギリスにその立場を奪われるという流れです。ヨーロッパ内での貿易はほとんど取り上げられません。あまりにマクロに目を向けすぎて、足下が見えていませんでした。
この本の難点をいえば、数字ばかりが取り上げられて非常に読みづらいこと、最後のまとめがなければ(読解能力・知識の不足している)私は以上のような感想を書くことはできませんでした。続きを読む投稿日:2010.02.28
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