この作品のレビュー
平均 3.8 (18件のレビュー)
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2008.11.07読了
本の表紙には、以下のように紹介されています。
「夢」のキングと「悪夢」のマルコム。
黒人運動の二大天才指導者の思想を通して問うアメリカの「現在」。
章立ては、以下のようになっ…ています。
第1章 キング牧師の思想
第2章 マルコムXの思想
第3章 キングとマルコムはどう違うか
第4章 現代に生きるキングとマルコム
この本を購入した時は、マルコムXに興味がありました。実際に読もうとした現在は、キング牧師のほうに興味があります。彼は、なぜノーベル平和賞をもらったのでしょう。
リンカーン大統領によって、奴隷解放宣言が発布されたのは、1862年9月22日だそうです。ただし、南部連合支配地区だけに限定されていたということですが、第一歩が踏み出されたことは確かです。奴隷制が廃止されたからと言って、黒人差別がなくなったわけでも、黒人の生活が保障されたわけでもありません。
アメリカに法的な意味での人種平等をもたらした公民権法が成立したのは、1964年7月2日です。奴隷解放宣言から100年以上経過しています。
それまで、南部では白人と黒人の生活は完全に分離していた。交通機関や劇場、レストランやトイレなど、公共の場では「白人用」と「黒人用」の看板が見られた。(7頁)
そうした時代を考えると、今日の黒人生活は大きく変わった。法的な差別がなくなっただけでなく、それまでの差別に対する補償ともいうべき各種の優遇措置まで受けている。(7頁)
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、1929年に牧師の子として生まれました。中産階級として、大恐慌の影響を受けずに生活できました。育つ中で、黒人に対する差別の体験をしています。人種分離をしていない州での自由も体験しています。
弁護士になることも考えたが、牧師になった。
ヘンリー・ディビッド・ソローの「市民的不服従」の論文を読んで、非暴力的抵抗の理論を学んだ。(この論文は、インドのマハトマ・ガンディに多大な影響を与えた、そうですが、知りませんでした。)
「個人の倫理観と責任の重要性を強調し、たとえ法であっても、良心と相容れないのなら、その法を破るべきだと主張した。」(38頁)
1955年、バス・ボイコット運動の指導者となった。26歳の時。非暴力の運動でした。
ここをスタートに、差別撤廃の運動を続けることになる。家に爆弾を投げられたり、ナイフで刺されたりもしたが、非暴力の運動を続けた。
●1963年8月28日の演説(73頁)
「私には夢がある。いつの日にか、ジョージアの赤土の丘の上で。かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が、ともに兄弟愛のテーブルにつくことができるだろう、と。私の小さい4人の子供が、肌の色によってではなく、人間の中身によって評価される国に住めるようになるだろう、と」。
キング牧師は、1963年度のノーベル平和賞を受賞した。
1964年7月2日、公民権法が成立した。続きを読む投稿日:2014.10.06
キングの主張は「白人に受け入れられる為に白人を愛するのではなく、白人よりも道徳的に優位であるとアピールして彼らの良心を呼び覚ます」もの。
白人の人格は人種的隔離という制度で歪められたもので黒人が彼らを…愛する事で報復はしないと彼らに気づかせる必要がある。相手への不安と恐怖がなくなれば彼らの社会に浸透出来るはず。暴力で相手の行動を変えても精神的に勝った事にはならないといった考え。
公民権運動開始時、制度的差別があった南部では希望があったが、後に北部在住の黒人の経済状況を知って権利だけでなく黒人の生活水準を引き上げる経済的公正が必要と考えが変わる。
【アフリカへの認識】
アフリカという出自に誇り持つよう主張し白人と交わる事に反発するマルコムXに対しキングは自分達はアフリカ人ではないとアフリカ文化には無関心
マルコムXもアメリカに援助される立場のアフリカ諸国に支援求めるなどズレている所があった。
【思想的な接近】
最終的にマルコムXはアフリカの第三世界との連帯、キングはベトナム反戦からアジア黒人の解放を考え、両者ともインターナショナルな社会主義に接近していたと筆者は考えている。続きを読む投稿日:2022.11.01
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