日本の10大新宗教
島田裕巳(著)
/幻冬舎新書
作品情報
多くの日本人は新宗教をずっと脅威と好奇の眼差しで見てきた。しかし、そもそも新宗教とはいかなる存在なのか。「宗教」の概念が初めてできた明治以後それがいつどう成立したか案外、知られていない。超巨大組織・創価学会に次ぐ教団はどこか、新宗教は高校野球をどう利用してきたか、などの疑問に答えつつ、代表的教団の教祖誕生から死と組織分裂、社会問題化した事件と弾圧までの物語をひもときながら、日本人の精神と宗教観を浮かび上がらせた画期的な書。
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商品情報
- シリーズ
- 日本の10大新宗教
- 著者
- 島田裕巳
- 出版社
- 幻冬舎
- 掲載誌・レーベル
- 幻冬舎新書
- 書籍発売日
- 2007.11.01
- Reader Store発売日
- 2013.05.31
- ファイルサイズ
- 0.3MB
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この作品のレビュー
平均 3.2 (88件のレビュー)
-
メモ
あらゆる宗教は、最初、新宗教として社会に登場するとも言える。
・仏教は、インドの伝統宗教・バラモン教のなかに出現した新宗教であった。
・キリスト教も、ユダヤ教のなかに生まれた新宗教で、だからこ…そ『聖書』のうち「旧約聖書」に関してはどちらの宗教においても聖典の教えの中心に位置付けられている。
・イスラム教もユダヤ教やキリスト教を生んだ宗教的な伝統のなかから生まれた新宗教である。
新宗教としてはじまったそれぞれの宗教は、時間を重ね、信者を増やして、社会の中に定着していくにつれて、既成宗教としての性格をもつようになってゆく。
新宗教の場合、信者はそれまでの宗教を捨て、自らの意思で信仰を獲得する。既成宗教の場合は、親などから自動的に信仰を受け継ぎ、自らの意思でその宗教を選択するのではない。
・日本人は自らを「無宗教」と.考えているが、これはイスラム教徒と同じように、生まれた時から日本の既成宗教の信者になってしまうからである。
・日本の場合は既成宗教が神道と仏教という二つの宗教が組み合わさった特殊な形態をとっているために、自分たちを神道信者とも仏教信者とも決めることもできない。そこから特定の宗教に属していないという意識が生み出される。
・明治に入って近代化されるまで、日本には「宗教」という概念がなかった。宗教という言葉はあったがそれは宗派の教えと言う意味で、現在の宗教とは意味が違った。
・宗教という概念がなければ、無宗教という考え方もない。
・近代になって、新宗教ということが問題にされるのも、無宗教という意識が広まったことと関係している。
・国民の多くは特定の宗教を信仰していないと考え、特定の宗教に入信して活動している人間を、特別視するようになった。
・最初は明治に入って活動が合法化されたキリスト教に入信する人が特別視されたが、やがて、新しい教団、新宗教に入信して、信仰活動を展開する人が、特別視されるようになった。
・新宗教は、仏教、神道、キリスト教など既存宗教の影響を必ず受けている。巨大建築物を建てる傾向。
1 天理教:神道系:1838(天保9)10.26を立教の日と定める。教祖・中山みきが「神の社」に定まった日。みきの神憑きが元。
2 大本(おおもと):神道系:教祖・出口なお(1836天保7生)が57歳の時(1893明治15)神憑きする。なおの5女の夫、王仁三郎が発展させる。
3 生長の家:谷口雅春(1893明治26生)が大本を経て、1929(昭和4)雑誌「生長の家」の刊行が元。
4 天照皇大神宮教:教祖は北村サヨ(1900明治33生)が1944(昭和19)祈祷師から生き神になると告げられる。1948(昭和23)数寄屋橋で「踊る宗教」として出現。
○爾宇:長岡良子も1947年、金沢で天変地異の予言を行い幟をたて街中を練り歩く。46年には元横綱双葉山も訪問。
5 立正佼成会:日蓮系、「法華経」を所与の経典:庭野日敬(1906明治39生)と長沼妙佼(女性)(1889明治22生)が、1938年(昭和13)に大日本霊友会を抜けて創立。
○霊友会:日蓮系、「法華経」を所与の経典:久保角太郎(1892明治25生)とその兄嫁の小谷喜美が1925(大正14)創始。喜美はシャーマン的能力を体得。総戒名の思想は西田無学から受け継がれる。1971年(昭和46)に喜美が亡くなり、久保の息子の継成(東大インド哲学科卒)が雑誌「インナートリップ」を創刊。自分探し路線のさきがけ。
6 創価学会:日蓮系、「法華経」を所与の経典:牧口常三郎が創立。北海道で教師をしていた。先祖供養の重要性を否定したことで、特異な信仰世界を築くことになる。
7 世界救世教:観音信仰が入っている:岡田茂吉が1931(昭和6)夢で啓示を受け、大本を脱退して1934(昭和9)前身の「大日本観音会」を創立。戦後「お光さま」という手から光が出るという病気治しを行う。熱海のMOA美術館を所有し「地上天国」のモデルの一つとしてとらえている。
○神慈秀明会:世界救世教の分派:ミホ・ムージアム(滋賀県信楽にある)「シャングリラ(桃源郷)」にある美術館を自称。
○真光系教団:浄霊(真光の業と呼ぶ)や聖地の建設、自然農法などで世界救世教と共通点がある。「世界真光文明教団」「崇教真光」など
8 PL教団:パーフェクト・リバティ教団:観音信仰から出発しているが広い意味で法華信仰の流れ:天照大神を至高の神として認める:御木徳一(1871明治4生)が開祖。23歳の時、徳光教の信者となるが教祖の徳光が1919に亡くなると、1925に御嶽教徳光大教会本部→1928扶桑教→1931扶桑教ひとのみち教団→戦時中結社禁止処分・徳一、息子の徳近、入獄→徳一死亡→1945.10徳近出所→1946教団再建、名称をひとのみちから、パーフェクト・リバティへ。弾圧から解放された喜びが示される。
9 真如園:不動信仰を核とした修験系:伊藤真乗(1906明治39生)が創立。(初期は立川飛行機のエンジニアだった) 真言宗の在家修行者として宗教活動を開始。1938(昭和13)真言宗醍醐派立川不動尊分教会を設立。「涅槃経」を重視。
10 GLA(ジー・エル・エー総合本部):高橋信次(1927昭和2生)が教祖。:霊的な現象への関心。1969.4.8「大宇宙神光会」発足。1970.12.7「GLA God Light Association」に改名。ずっと町工場の経営者。現高電工業株式会社。ソフトウェア制御装置など。
おわりに
「カルト」との区別。過度に終末論を強調、多額の献金を集める、など反社会的な傾向の有無が指標。
2007.11.30第1刷 2008.1.30第9刷 図書館続きを読む投稿日:2022.07.18
十大宗教とそれに関連する宗教を記述することで結果的に多くの宗教について解説していたが、例えば白光真宏会は入っていなかった。他の宗教から分かれた、連携したということがあまりない宗教は入れづらかったのかも…しれない。あとは有名どころでも、阿含宗、オウム真理教、幸福の科学などはあまり記述なし。
気になったところのメモ。
・新宗教:キリスト教系以外は仏教or/and神道の影響をほぼ受ける
修験の影響を受けた宗教も多い
・真光:野口整体の愉気と活元を宗教的に解釈
・世界救世教系:聖地建設、自然農法への関心
・天理教から璽宇まで:神道系
⇔
・高度経済成長期に巨大になった霊友会、創価学会、立正佼成会など:日蓮系、法華経系
・PLの原点の徳光教:「お振替」という病気直し(モニター法に似ていると思った)
・新宗教:社会が不安定な時期に世直しを掲げて出てくるのが普通。
しかし・・・真如苑、GLAは世直し要素なし。
・カルト:終末論を強調、多額の献金要求
取締により社会性が生まれ成熟するのが普通→成熟を拒むとカルトのまま
古い絶版ムック「神人類と信人類たち」巻末の新宗教カタログで新宗教をさらったときは流れがわからなかったので、歴史が辿れてよかった。続きを読む投稿日:2024.02.09
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