ドラッカー名著集10 産業人の未来
P・F・ドラッカー(著)
,上田惇生(訳)
/ダイヤモンド社
作品情報
前著作『「経済人」の終わり』のあとを受け、ファシズム敗退後の戦後平和経済の建設のあり方を明らかにしたドラッカー2作目の野心作。来るべき産業社会が、19世紀や20世紀初頭の社会とはその構造、課題、価値観、機会において異なることを予見した。そして、その産業社会が戦後世界において経済発展と社会的偉業の数々をもたらすであろうことを見通した。
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商品情報
- シリーズ
- ドラッカー名著集
- 出版社
- ダイヤモンド社
- 書籍発売日
- 2008.01.18
- Reader Store発売日
- 2013.05.02
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 320ページ
- シリーズ情報
- 既刊15巻
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この作品のレビュー
平均 4.2 (10件のレビュー)
-
第二次大戦中に書かれた本で、前著『経済人の終わり』の続編とも言える本かと思います。戦中であることの影響を大きく受けて書かれつつも、戦後の世界の規範を「自由」に求めた大きなスケールの内容です。
本の…帯では、社会における位置と役割と正統性がメインテーマのように書かれていますが(確かにそれもテーマですが)、それよりもまずは「自由」についての本だと思います。ここでドラッカーの言う「自由」は楽しく自由気ままというものではなく、「自由とは解放ではない。責任である...意思決定と責任が伴わなければ自由ではない」と定義される「自由」になります。この「自由」の概念の元、「自由」を伴わない、もしくは「自由」を自ら放棄した全体主義や社会主義を根本的に否定します。そして、その「自由」が成立するための土壌となる歴史やシステムを持つアメリカを戦後の中心とならないといけないとしています。そして自由な産業社会を築くために、「われわれは分析においては革新的、理念においては理想的、方法においては保守的、行動においては現実的でなければならない」と鼓舞します。そのために、この戦争を建設的な政治行動にとって絶好の機会としなければならないとしています。また、その中心となる企業を重要なコミュニティとして捉えていますが、この辺りは後の日本びいきにつながるところが見えるのかなと思います。
今日的な価値は当時と比べて薄まっているかもしれませんし、「自由」の基盤にキリスト教を布置しているところも個人的には共感しずらいところがありますが、よい本かと思います。続きを読む投稿日:2009.12.26
ドラッカーの2作目。1942年、第2次世界大戦のさなかに、戦後の社会を構想している。
ドラッカーによると「識者と友人の多くが本書をわたしの最も優れた著作としている」らしい。
訳者の上田さんによると…「本書は、ドラッカーの著作の中でも、最も面白く最も知的興奮をおぼえさせられるものである」とのこと。
1作目の「経済人の終わり」も驚いたが、こちらはさらにスゴい。
ドラッカーは、まだ経営学者ではなくて、社会経済政治の評論家(?)みたいな感じ。
近代の啓蒙主義、理性主義は、全体主義になる。つまり、「これが正しい」とすると、違う意見の人は間違っていることになる。ここには、自由はなく、善意から始まった活動は、最終的には恐怖政治につながる。
全体主義、世界大戦は、商業社会が産業社会に移行する道が分かっていないから。経済利益を中心とする社会から人間中心の社会に構造転換をしなければならない。それは戦後にやるのではなく、戦争中から始めないといけない。
みたいな本かな?
32才の人が書いたとは思えない、深い洞察。圧倒的な教養の厚み。
これは天才ということも超えているな。
個人的には、全体主義と個人の関係みたいなことを最近考えていて、それと関係してハンナ・アーレントを読んでいるのだけど、ドラッカーとアーレント、思考プロセスは違いそうなんだけど、たどり着く結論部分はかなり似ている。
この本は、アーレントの「革命について」(1963)の議論を先取りするような中身になっているな。
理性中心の啓蒙主義、これが正しいというものがあるという思想は、既存の社会を破壊すれば、歴史の必然(?)や人間の本質(?)から、自ずから正しい社会がでてくるだろう、と善意で考えて、革命を起こす。が、結果、うまくいかず、恐怖政治になっていく。
一方、人間の社会には単一の正解はないと考えれば、人間の自由が尊重された社会となる。(違う意見には、ちょっとイライラすることもあるでしょうけど)
ちょっと単純化しすぎているかもだけど、ドラッカーもアーレントも、アメリカ革命とフランス革命を比較することを通じて、こんな感じの結論にたどり着いている。
あと、フランス革命やロシア革命が、理性主義、啓蒙主義から生じて、恐怖政治になったという流れは分かり易すく、アーレントも同様の理解をしているところ。が、ナチも理性主義から出てきているというドラッカーの見解は、かなり驚き。
ナチといえば、大衆のプロパガンダがイメージされて、反理性主義という感じなんだけど、これは、心理学とか、生物学とか、つまり、身体や心を科学的に取り扱うところからでてきているということ。このへんのところは、なるほどと思うところと「?」が残ることなのだけど、いずれにせよ思考を活性化させる本ですね。
強引にまとめると、
・社会経済が産業化して、生産の自動化、大量化、効率化が進むことによって、人間の仕事の単純化や失業の増加が生じる。これらによって、いわゆる「疎外」が生じて、人間は社会における位置づけを失う。(ここまで、マルクス、アーレント、ドラッカーは同じ見解)
・しかしながら、この状態を一つの正しい理論で合理的に解決することはできない。それは全体主義、恐怖政治につながる。社会の基盤は、人間の不完全性、多数性にもとづくことが必要である。(ここまで、アーレントとドラッカーは同じ見解)
・すでに生じている産業化から昔に後戻りすることはできない。全体主義社会は、産業化の問題を、戦争という目的にむかって、統合、解決したが、これは普遍的な解決にはなりえない。産業社会を運営するポジティブな目的が必要である。そして、その解決策は、今、存在するものを活用してやっていくしかない。(これから全く新しいツールをつくることはできない)経済的利益中心の世界から人間中心の世界に変革し、人間に社会的な目的とポジションを与えていく鍵は、企業である。つまり、企業のコミュニティ化が必要である。(ドラッカーの見解)
お〜、これは「学習する組織」の考えと一緒ではないか。そして、「強み」にフォーカスするポジティブアプローチにも通じるかも。
あと、ドラッカーがマネジメント関係の本で、利益は企業存続の条件であるが、目的ではない。企業は社会、顧客に価値を提供する、貢献する存在である、という考えをよく書いているけど、その背景の思想がクリアになった感じ。
つまり、ドラッカーは、その後の経営学を先取る概念を次々と出しているのだけど、その目的は、企業が競争優位を築くことではなく、企業が人間的な社会に貢献できることだったんだ!!!
自分のやっていることが、なんか壮大な歴史的なパースペクティブのなかで、意味が通じた感じ。続きを読む投稿日:2017.04.30
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