超簡単!売れるストーリー&キャラクターの作り方
沼田やすひろ(著)
,金子満(監修)
/講談社
作品情報
東京工科大学客員教授の金子満氏の研究した理論に、シナリオアナリストで脚本家の著者の経験知を加えて、物語をおもしろくするノウハウを「超簡単」に、「すぐに使える」ものとして完成させました。具体的な映画などのエンタメ・コンテンツを多数例にとって、わかりやすく説明したこの本通りに、あなたも見よう見真似で創れば、どんなエンタメでも……形はともかく、オリジナルのストーリーやキャラクターを「おもしろく」創り出すことができます!
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この作品のレビュー
平均 3.5 (6件のレビュー)
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本質と表現
文字
本質=伝えるという機能 表現=フォント
本質 機能=伝える 好き嫌いなし、商品性なし
表現 好き嫌いあり、商品性あり
「表現」は一見して「本質」がわかるものでなければならない
…「本質」は必要不可欠であり、どんなによい「表現」があっても「本質」がなければ無意味
「表現」は決して必要なものではないが、商品性を考えた時は重要な要素となる
キャラクターの「本質」とは役割
キャラクターは、ストーリーの中の「役割」を果たすために生み出されるもので、その「表現」であるキャラクターデザインは、一見して、その役割が分かるものがよいキャラクターデザイン
ex. ゆるキャラ 役割がゆるい
ストーリーの本質 筋立て=プロット
ストーリー=プロット+テリング
落語が何で同じ話を繰り返し聞いても面白いか テリングの勝負
テリング 歌詞の分からない歌に涙する、アニメーションの動き、構図、美術、音楽
プロット 良し悪しあり、弱い商品性あり
テリング 好き嫌いあり、強い商品性あり
プロットとは、伝えようとしているメッセージそのもの。ある存在が時間経過によってどうなるのかという、「変化」の「過程」と「結果」を表したもの
変化が納得出来るかというプロットの良し悪しが評価軸
良いプロットを、好ましくテリングする
プロットが単純で表現が複雑な作品→お金がかかる ex.タイタニック
プロットが複雑で表現が単純な作品→お金がかからない ex. 12人の怒れる男
「おもしろい」は2種類、「感情」と「納得」
感情=テリングで引き起こすことができる
見たことがないものを見た感動、怖さ、悲しさ、怒り、驚き
納得=プロットのおもしろ
なぞかけ ◯◯とかけて××と解く、その心は、△△
彼女はいかにして恋愛を成就させたか?を視聴者に納得させられるかがプロットの鍵
ショートプロット
(発端)誰が、(展開)どのように、(結末)どうなった、(ターゲット)誰へ向けての、(ジャンル)どのような作品
ジャンルは、テーマを表現するためのテリング
例)「少年の成長を描く」というテーマ
ターゲットが小学生男子なら、怪獣冒険モノ
ティーンエイジャーの女子ならば、恋愛モノ
ターゲットの総数が大きく、彼らに受け入れられるテーマとジャンルを持っている ヒット作にできるかどうかの鍵はここに落ちている
「ターゲットが共感できる問題を解決する」ことをテーマに設定する
=キャラクタープロブレム
「変化」 不必要な「経過」は省略する
モノローグは避ける、主人公のちょっとした表情の動きで充分。キャラクターのアクションで、その心が伝わったほうが、「キャラクターが分かった」という気持ちが強くなって思い入れが増す
ダイレクトに心を語るセリフよりも、ウソを突かせた方が圧倒的に「おもしろく」なる
ドラマユニット 対立/葛藤/変化
なぞかけも三幕構成
◯◯とかけて△△と解く、そのこころは××
◯◯と△△が対立
そのこころは...と葛藤して
××という変化を楽しむ
・プロット
13フェイズ構造
第1幕
0背景
①日常
②事件 キャラクタープロブレム
③決意 決意の瞬間(フェイズポイント1)
第2幕
④苦境
⑤助け
⑥成長・工夫
⑦転換 カバードピーク(かりそめの頂点) ターンポイント「よしこれで苦境から抜けられる!」
⑧試練 ドラマフォール
⑨破滅 クリフハンギング
⑩契機 主人公の究極の選択(フェイズポイント2)
第3幕
⑪対決
⑫排除 因果応報(ライバルに助けられる)
⑬満足 クライマックスピーク マルチプルソリューション
1,2,3,4,たくさん
ファースト10 冒頭の10分で事件を起こす
2ベクトル ドラマベクトル/ドラマフォール
3ポイント フェイズポイント1/ターンポイント/フェイズポイント2
4C キャラクタープロブレム/カバードピーク/クリフハンギング/クライマックスピーク
たくさん マルチプルソリューション
変化を納得させる「2つの葛藤」
成長葛藤/破滅葛藤
成長葛藤=主人公を成長させる苦悩。この存在により、直面している困難は、変化前の主人公ひとりでは手出しができないほどの難問であることが、視聴者に実感できる
破滅葛藤=主人公がひとりで苦悩していく。ここで体験する「破滅」は、主人公が成長や工夫をしてさえもクリアできない難問に直面していたことを視聴者に実感させる
「おもしろい」は納得。脳科学では、「理解」できた瞬間に脳内で「快感」をもたらすドーパミンが分泌される。すなわち、エンタテインメント作品で。「変化を納得」した瞬間に「快感」「爽快感」が生まれる。プロットの「おもしろい」映画がストレス解消になる理由の1つはこれ
おもしろいエンタテインメントを作るには、13フェイズ構造を使って、視聴者に「変化を納得」させればいい
因果応報
伏線の張り方
主人公のアクションの結果を「他者の行動トリガー」や「小道具」に形を変え、複数のエピソードの中に散らしておいて、直接の因果応報を忘れた頃に、主人公のメインストーリーに「返ってくる」ようにする
予想をはずし、期待をかなえる選択 予想を裏切り、期待を裏切らない
ある状況で、キャラクターは絶対にAを選んでしまうだろう..という「予想」に対して、視聴者が選んで欲しいと「期待」するBを選択させること、でおもしろいと感じる
「重ねがけ」して強調する
13フェイズ構造を2つ作る
・リマインダー
リマインダーとは。コンテンツの特色を視聴者に特徴づける描写
「〜らしさ」
ジャンルリマインダー、監督リマインダー、俳優リマインダー、テーマ、背景世界、登場人物、因果関係、糸口、枷..
前評判はリマインダーで作る 後評判にはプロットが効いてくる
未見性リマインダー 見たことのないもの ex.ジェームズ・キャメロンの映画全て
ネガティブリマインダー
ドラマリマインダー メインストーリー>サブストーリー>Mエピソード>Sエピソード ex.マグノリア
マイナスドラマリマインダー 主人公に対して不利に働いていくエピソード
プラスドラマリマインダー 主人公に対して有利に働いていくエピソード
マイナスドラマリマインダーの連続、そこへ一発、プラスドラマリマインダーによる勝利
「納得」は、筋立て「13フェイズ構造」を一層以上組み込んでいくことで生み出すことができる
「感情」は、リマインダーで操作する
「本能」を刺激する方法と「想い/願い」を使う方法がある
「本能」
「本能」とは「欲望」。「所有したい」「手に入れたい」
「喜び」は「手に入れた」という快感を得ること
「悲しみ」は「喪失」という不快感を得ること
「安堵」は「無害である」という快感に対する反応
「恐怖」は「有害である」という不快感に対する反応
「笑い」は「安堵/喜び」という「無害である」という信号を周囲に伝える機能
「泣き」は「喪失」「感動」という2種類の信号を周囲に伝える機能
「怒り」は「攻撃をする」という排他の信号を周囲に伝える機能
「想い/願い」
社会的生物である人間ならではの「コミュニケーションの可否」による感情
「感動」は「想いが伝わる」「願いが達成できた」すなわち「意思(心)が通じた」という「喜び」から生み出される
「拒絶」は「想いが伝わらなかった」「願いが達成できなかった」ー「意思(心)が通じない」ーという「悲しみ」から生み出される
「愛」
「愛」は「群れをいたわる」という社会的生物である人間の本能であり、「自分より相手(群れ)を大切」に想う気持ちー「与える」という心の動きで、実はシンプルなもの。これは、自分のことを考えない「自己犠牲」や、自分自身を相手に捧げる「献身」などのアクションで示すことができる
感情リマインダーは、重ねて使うのがコツ。何度も小さな感情を起こすエピソードを重ねていき、真逆の感情リマインダーを出すと、視聴者に深い感情の起伏を生み出すことができる
恋リマインダー 「所有したい欲望」
喜びリマインダー 「入手の快感」 ↔悲しみリマインダー
感動リマインダー 「想い/願いを達成した」「喜び」社会性を持った人間の最も強い欲望「伝わる欲望」
愛リマインダー「無私な相手だけへの想い」が「相手に伝わった」ときに「愛の感動」が生まれる
笑いリマインダー 社会性を持つ動物が「危機ではない..無害である」ということを周囲に伝える機能が「笑い」
ある状況を「無意味」にしてしまうことによって、「無害」であることを表明すればいい。簡単にいえば「オチ」をつけるということ
安堵リマインダー
大切リマインダー 「喜び」「感動」「愛」「笑い」「安堵」は、脳が快さを感じるリマインダー。このようなリマインダーを与えてくれる相手を、人間は「大切」に思い始める
それを与えてくれた対象に対して「恋リマインダー」が高まっていく
「大切ー恋リマインダーサイクル」
悲しみリマインダー ↔ 感動リマインダー「想いや願いを伝えられた」という「喜び」を持っているときにはじめて「感動リマインダー」となる
拒絶リマインダー ↔ 感動リマインダー
怒りリマインダー 「怒り」は「欲求が阻害された」という「危険」の際に発生する「危険」な相手を攻撃するという信号 所有したい欲求ー「恋リマインダー」を大量に散らしておき、それを侵す対象を設定する
「怒りリマインダー」を散らしておきながら、主人公に「怒らせない」。何らかの枷によって「怒らせないで耐えさせる」。フェイズ対決で一気に「怒り」が爆発するカタルシス
攻撃リマインダー 「危険」への対処法が分かっているとき
恐怖リマインダー 「危険」への対処法が分からないとき 「ショックリマインダー」「戦慄リマインダー」
恐怖の対象を「人間」とすればサスペンス、「災害」とすればパニック、「自分自身の内面」とすれば人間の成長ドラマへと応用することができる
忌避リマインダー ↔大切リマインダー
最後に感動させてくれる相手を、とことん嫌なヤツとして描いておけ
・キャラクター
①主人公 変化する
②狂言回し リマインダー主人公 変化しない ex.寅さん、ジャックスパロウ
③協力者 身代わりになったり、犠牲になったり
④敵対者 抽象概念の場合も もう一人の自分の場合も ex.マイレージマイライフのジョージ・クルーニー
⑤犠牲者 大切リマインダーを重ねておく
⑥依頼者 「依頼」を主人公に与えることでストーリーを変化させるきっかけをつくる 「依頼」の原点に立ち返らせる形で、主人公にヒント、忠告、命令など行動の指針を与える
⑦援助者
⑧対抗者 ライバル
キャラクターの役割が変化するときには、理由や契機が必要であり、理由を隠す場合は、そこにテーマを隠さなければならない
キャラクターの本質は、「機能」
個性は「なにかができない/しない」という枷だとプロットが作りやすい
その枷が目的を達成するための障害になっているほど有効
キャラクターの作り方
①ターゲットを考える
②ターゲットのニーズを考える
③ターゲットに訴えかけるテーマを考える
④テーマを表現するために、世界観とプロット(キャラクタープロブレムとクライマックスピーク)を考える
⑤頭の中の「キャラクターのストックケース」を使って、世界観を生かしてプロットを転がせる主人公の個性、設定を考える
⑥主人公に、今までにしかない新しい要素「未見性」が導入できないか考える
キャラクターの商品力は「外面」にあり、「内面」は「役割」であり「機能」続きを読む投稿日:2011.11.22
物語のプロットについて起承転結ということが言われますが、本書ではその中身を13段階に分けた「13フェイズ構造」というものを提唱していて、各段階で起こる(起こすべき)出来事を具体的に説明しています。
例…としてスターウォーズやマトリックスなどの有名作品を13フェイズ構造に基づいて分析していてるので、イメージも掴みやすいです。
【第1幕】対立
0背景
1日常
2事件
3決意
【第2幕】葛藤
4苦境
5助け
6成長・工夫
7転換
8試練
9破滅
10契機
【第3幕】変化
11対決
12排除
13満足
優れたプロットというのはパズルのように綿密に構成されていて、押さえるべきポイントがきちんと押さえられていることが分かります。
テンプレートと言うと良くないイメージを持たれる人もいるかもしれませんが、物語を作る上では非常に有効で、逆にここを意識してないと観客に面白さを感じさせることはできないのだと思います。
個人的にはプロの作家さんたちがどこまでこういうことを意識しながら書いているのかということを知りたいなあと思いました。
キャラクター論については「主人公」と「狂言回し」の違いが面白かったです。物語の中で成長していくのが主人公であり、寅さんやウルトラマンは狂言回しであると。
特撮番組では各回のゲストが主人公にあたり、ヒーローはその主人公の成長のきっかけを与える狂言回しということかなと思います。続きを読む投稿日:2019.02.18
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