日ソ戦争 帝国日本最後の戦い
麻田雅文(著)
/中公新書
作品情報
日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。短期間ながら両軍の参加兵力は200万人を超え、玉音放送後に戦闘が始まる地域もあり、戦後を見据えた戦争だった。これまでソ連の中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、本書は新史料を駆使し、米国のソ連への参戦要請から各地での戦闘の実態、終戦までの全貌を描く。
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商品情報
- シリーズ
- 日ソ戦争 帝国日本最後の戦い
- 著者
- 麻田雅文
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2024.04.25
- Reader Store発売日
- 2024.04.22
- ファイルサイズ
- 18.9MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
-
日ソ戦というと、太平洋戦争でポツダム宣言受諾(=降伏)を宣言していた日本に対して、ソ連が日本の領土をどさくさ紛れで奪おうとした出来事として、ソ連の卑劣さが目立つ印象を持つ方が多いだろう。確かにそれ自体…が間違っているとは言えないが、事情はより複雑かつ判りづらい。対する日本側の戦略的不備や楽観的な感情に頼らざるを得ない諸事情、ソ連側と連合国軍側のそれまでのやり取り・経緯の全てが絡まった糸のように複雑に捻れ、簡単に紐解けない状態に陥った結果とも言える。
ソ連参戦時はすでにアメリカは日本に対して原子爆弾を投下済みで、日本側としては一瞬で数十万人の命を奪う新型爆弾に対応する術もなく、降伏の選択肢しかなかった。更に時間が経てば広島、長崎に続いてその他の都市も地獄と化すのは解っていたし、ポツダム宣言受諾は必然だ。だが対するソ連の考えは違う。独に勝利し西側の脅威が消えた今、連合国軍から求められてきた日本侵攻は約束された内容であり、例えそれが広いソ連の国土を西から東に移動するにあたり出遅れたにしろ、出向いて日本を攻撃するのは必然だ。スターリンはアメリカが日本を自分達抜きに屈服させれば、ソ連にほど近い太平洋沿岸に将来の敵になり得るアメリカが自分達に向けたミサイルを配備する基地になる事を当然の如く予測できたであろう。千島列島の駆け引きもその為に起こった歴史の歪みの一つであろう。ミサイルまで行かなくても自由に航行できる海路になり、飛行場を設ければアメリカの持つ長距離爆撃機をナイフのように喉元に突きつけられるだけだ。結局、全てが過ぎ去って仕舞えば、狡猾なスターリンに現在もなお続く北方四島まで奪われてしまい、先を読んだスターリンの凄さが印象に残る。
実際にソ連と日本の戦いに於いては、一方的にソ連が日本を圧倒したかと言えばそのような事もない。方面軍を率いた樋口季一郎中将や堤不夾貴師団長に油断はあったであろうが善戦しているし、中でも占守島ではソ連に対してかなりの損害を与えている。満州方面では陸軍が住民を残して逃げた印象が強いが、局地的には根本中将など一般市民を守りながらも戦った名将などはいるようだ。とは言え、戦後も長く問題になるシベリアに連れ去られた日本兵の復員問題、満州に残された孤児の問題はその後も長く家族を苦しめる結果となる。
何はともあれ日本が大陸に進出した事に始まり、実力以上に求めた結果と言えば、長い歴史の中ではそう語らざるを得ない状況である。それだけでなく、原爆の問題に慰安婦問題など戦後80年近く経過しても今なおアジア諸国、ロシアとの外交に於いて問題は後を引いている。何よりそうした歴史の結果が今なお返ってくる気配も無くなった北方領土問題に顕著に結びついているのである。今のロシアのウクライナ侵攻や周辺諸国に対する中国の威圧的態度、表面だけ見ていればきっとそれらに怒りばかりを感じてしまうかもしれないが、かつての日本の行動もしっかり学んで、何処からその歴史が始まって結びついていくかを考えてみるのも必要な事だ。
そしてそこで犠牲になった日本人だけではない、ロシア人に中国人、そして韓国人、更にそれらの家族にまで目を向けて解決策を探し続けるしかないと考えさせられる一冊だ。続きを読む投稿日:2024.04.30
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO81074300R30C24A5MY6000/
投稿日:2024.06.08
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