未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀
岡田利規(著)
/白水社
作品情報
夢を幻視する「レクイエム」
「能はアレルゲンフリーの演劇だと、わたしは思っている。それだから、わたしは能に惹かれている。」(本書「前口上」より)
能のフォーマットを応用し、ついえた「夢」を幻視する、レクイエムとしての音楽劇――岡田利規による「能楽集」の全貌が、ついに明らかに!
東京オリンピック2020招致のため、2012年に新国立競技場の設計者としてコンペで選ばれた天才建築家ザハ・ハディド。その圧倒的な造形のビジョンを白紙撤回され、その後ほどなく没した彼女をシテとして描く「挫波」。夢のエネルギー計画のため、1985年の着工以来一兆円を超す巨額の資金が投じられたものの、一度も正式稼動することなく、廃炉の道をたどる高速増殖炉もんじゅについて謡う「敦賀」。
表題作二曲のほか、夢幻能と間狂言に今日的なキャラクター(六本木駅に現れる金融トレーダーの幽霊、都庁前駅に現れるフェミニズムの幽霊、『ハムレット』のせりふを覚える舞台女優)を登場させ、資本主義に飲み込まれている現代日本の姿を描いた「NŌ THEATER」とともに、演劇論(「幽霊はアレルギー症状を引き起こさない」、「能は世界を刷新する」)を併録する。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀
- 著者
- 岡田利規
- 出版社
- 白水社
- 書籍発売日
- 2020.08.03
- Reader Store発売日
- 2023.10.13
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 146ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 0 (1件のレビュー)
-
2021.10.17市立図書館
東京五輪の開会式をテレビでちらっとみたときにたまたま目に入った森山未來の鎮魂の踊りについて、その後調べてその内容に興味を持ったので予約を入れて二ヶ月あまり、ようやく順番…がまわってきた。
能(狂言)の形式を借りた演劇。池澤夏樹=個人編集「日本文学全集」で能・狂言の現代語訳に取り組んだことからの新境地。
前口上にある著者の主張(演劇の嘘くささ、わざとらしさへの違和感、能はアレルゲンフリーの演劇である)もなるほどと感じた。
・前口上「幽霊はアレルギー症状を引き起こさない」
・NŌ THEATER
能「六本木」(かつて投資銀行の証券部門で勤務いていた男)
狂言「ガートルード」
能「都庁前」(フェミニズムの幽霊)
・未練の幽霊と怪物
能「挫波」(ザハ・ハディド)
能「敦賀」(核燃料サイクル政策の亡霊)
・後口上「能は世界を刷新する」
目当ての「挫波」の他の作品も興味深く読んだ。幸い能のスタイルにも多少はなじみがあるので、場面もなんとなく思い浮かぶ。「未練の幽霊と怪物」はKAATでの配役もだいたい見当がつくので、場面を思い浮かべてみたりもした。
五輪開会式での森山未來のパフォーマンスは、一般受けはしなかった。NHKの解説は震災の犠牲者への鎮魂と説明していたような記憶があるが(森山がイスラエルに縁のあることもあり、ミュンヘン五輪で犠牲になったイスラエル人を追悼したという節も)、それにしても祝祭の場にはちょっと場違いで、理解不能、つまらない、気持ち悪いと多くの人はスルーした。6月にKAATで上演された作品をみたことがあるようなごく一部の人達だけが「あれは挫波ではないか」と指摘していたが、演出家やオリンピック委員会からの公式な発表や見解はけっきょくなにもなかった。だれが森山未來を起用したのか知らないし、そのパフォーマンスをそこに入れることを決めたのはだれだかわからないけれど、分かる人にだけ分かればいいというレベルで、新しい国立競技場の竣工祭の神事をしたということなのかな、と思った。
思えばオリンピックをめぐっては国立競技場の顛末と同じように不可解な採用や辞任・解任、仕切り直しが開幕ぎりぎりまで続いていた。メディアは憶測や虚報、捏造で世論を煽る一方で、心ある人は多くを語らず、あるいは真実を胸におさめたまま黙しており、マスコミのフィルターを通さない事実はどうだったのか知る由もない。「挫波」を読んでザハ・ハディドの無念におもいをはせているちょうどそのときに、マスコミのつくりあげた世論にずっと傷つき続けてきた一人の内親王が皇室からでていき、同じ年頃の女優たちは無責任な週刊誌の報道に抗議をした。そんな狂騒の世界はそろそろ曲がり角にきているのだといいのだけど。
2020年7月付の後口上では、「さして大きく報じられることのない(しかし、公共化されることを待っているであろう)」題材として牛久の入管があげられているが、その後、スリランカからのウィシュマさんの病死をきっかけにだいぶ報道されるようにはなった。いずれ新作として見る日も遠くないかもしれない。続きを読む投稿日:2021.10.17
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。