最後の停戦論 ウクライナとロシアを躍らせた黒幕の正体
鈴木宗男(著)
,佐藤優(著)
/徳間書店
作品情報
長期化するウクライナ戦争。この先にあるのは、再びの平穏の時か、それとも驚愕の未来か。日本で最もロシアを知る両雄が、緊急対談。2022年2月のロシアによる侵攻開始の前段階から現在に至るまでの経緯を、西側連合の偏向した情報ではない独自の生情報や実体験から語り尽くす。ロシアを悪魔化し、ウクライナを無辜の存在として規定するメディアは、本当の真実を伝えることができるのか。アメリカはウクライナに勝利させるつもりはなく、自国ではなくウクライナに戦わせることで、ロシアの弱体化を狙っている。アメリカ追従が加速する岸田政権だが、戦争とビジネスの関係に一線を引いた偶然の対応が奏功している奇跡の外交。「次は台湾有事」と扇動する者たちの無理筋な根拠――など、日本および西側メディアが伝えようとしない不都合な情報に言及。直接対面したプーチン大統領の意外な一面、安倍晋三元総理と共に汗をかいた日露外交交渉の日々と、凶弾に倒れる直前までの毎月の官邸での対話など、この二人でしか語り得ないロシアをめぐる実態。今求められているのは、一にも二にも「停戦」。武器を置くために知っておくべき戦争の深層。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
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ロシア外交に関わる背任等を理由に共に国策逮捕された過去をもつ著者二人。鈴木宗男は佐藤優を生涯の戦友と言う。この二人が今のウクライナとロシアの状況を語るのだから、読まない手はない。ロシアを勧善懲悪、善悪…二元論の悪者にする単純な見方は良くない。何故、日本人はウクライナを応援する側なのか、と。
ー スラブ人によってスラブ人を抑え込む。ロシアとウクライナでやっていることを、台湾人と日本人が中国と戦うことによって、アジア人同士を殺させ合う。アメリカならやりかねない。
この言葉に凝縮されている。そして改めてこれを読むと焦りもする。誰しも、ウクライナを利用した代理戦争だと知っている。対岸の火事のように、他人事として眺めてもいられない。
ミンスク合意を先に破ったのはウクライナだ。それによりロシアの武力行使が始まった。この事が冷静に理解されねばならない。クリミアにはウクライナに戻りたいと思っている人は極めて少数。今回ロシアによって併合されたドネツクやルガンスクなどの4州も住民がどう思うかで決めれば良いと言う。簡単な事ではないが、最終的にそうした決め方しか、戦争を終えられないような気もする。
また、ウクライナは決して日本に近い国ではないし、輸出額や輸入額もロシアとは比べ物にならない。極端に言えば付き合わなくても生きていけるのはどちらか、日本の国益を冷静に見ておくことも必要だと言う。岸田政権のウクライナに嫌がらせをしているかのような「稚拙で意味不明な外交」は、結果的に妙手だと揶揄する。笑ってしまう。
岸田総理がゼレンスキーに送った「必勝」と書かれたしゃもじ。夏場に支援品として贈られた期限ギリギリのカイロ。少額の支援金。
財務省理財局が大株主のJTの利益の4分の1はロシア事業であり、広島ガスは調達全量の50%をサハリン2のガスを使用している。ロシアに対して、欧米に言われるがまま、制裁を加えるのは脳がない。しかし一方で欧米連合に参加しないと、対中国ではロシアを頼り切れない。日本の立ち位置は微妙である。
ー 安倍総理は、2014年のクリミア紛争の時、当時のオバマ大統領からアメリカと同調することを要請されたが、日本にはロシアとの間で平和条約交渉や北方領土問題もあるため、アメリカと同じ立ち位置では行けないと言うことで断った。1年後に伊勢志摩サミットを控えていた時期オバマ大統領の来日がこれによって行われないと予想したが、オバマは伊勢志摩サミットに来た。さらに、現職のアメリカ大統領として、初めて広島を訪れ、原爆死没者慰霊碑にも献花した。安倍総理の強い姿勢が勝った。
鈴木宗男は、ロシア擁護派だと世論で叩かれていたが、先ずはこの本を読むべきだと思う。続きを読む投稿日:2024.05.18
ほぼほぼ知ってる内容なので、特に感慨はないが、ウクライナ戦争の報道に違和感あったり、外交って一体何やってるのか不思議に思っている諸氏はまず読んでみていただきたい入門書。ウクライナ戦争の本質や外交の実際…の一端に触れることができる。また、未だに小泉純一郎や田中真紀子が正しくて、鈴木宗男や佐藤優を悪の権化と思っている方にも読んでみてほしい。川口順子元外相がどれだけとんちんかんだったかもよくわかる。カトリックの大統領がケネディとバイデンだけという件も、妙に納得感ある。続きを読む
投稿日:2023.09.08
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