室町幕府論
早島大祐(著)
/講談社学術文庫
作品情報
〔あなたはまだ、義満の"本当の凄さ"を知らない〕
朝廷権力の「肩代わり」から「主体」の政権へ――室町幕府を読み直す画期的論考!
かつて京都には百メートルを超える巨大な塔が建っていた。この「大塔」、眩く輝く金張りの仏閣、華やかな祭礼―
首都京都の強大な経済力を背景に空前の「大規模造営」を為した室町幕府は、朝廷を凌ぐ威光を確立したのである。
弱体政権論を覆し、足利政権が「権力」と「権威」を掌握してゆく過程とはいかなるものであったか。
絶頂の義満時代を軸に、鋭い筆致で描き出す!
【本書より】
「当時の人々は相国寺大塔を見上げ、また北山第の意匠に驚かされつつ、新たな天下の到来を実感していたのである。」
【本書の内容】
はじめに
第一章 天龍寺―足利尊氏・義詮の時代
1 軍事政権としての室町幕府
2 荒廃する朝廷社会
第二章 相国寺―足利義満の時代2
1 後円融朝の失政
2 足利義満の朝廷改革
第三章 相国寺大塔と北山第―足利義満の時代2
1 相国寺大塔
2 北山殿足利義満
3 財政史から見た義満の権力
第四章 南北朝期の公武関係―研究史的考察
1 「京都市政権」という罠
2 権限吸収論批判
第五章 復興期の社会―足利義持の時代1
1 復興ビジネス
2 室町時代の首都圏
第六章 守護創建禅院―足利義持の時代2
1 守護による寺院創建
2 足利義持の政治
3 公武統一政権
おわりに―虚空を突く大塔
あとがき
参考文献一覧
索引
*本書の原本は、2010年に講談社選書メチエより刊行されました。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 室町幕府論
- 著者
- 早島大祐
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社学術文庫
- 書籍発売日
- 2023.05.15
- Reader Store発売日
- 2023.05.12
- ファイルサイズ
- 11.6MB
- ページ数
- 296ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
-
「今から600年ほど前の京都に100メートルを超える塔が建っていた」、この掴みで興味関心が一気に呼び起こされる。それは七重の塔で、高さ約110メートルにおよび、中世で最大の高さを有した塔であった、と…始まる。
この巨大な塔を建てた人物は、足利義満。最初に落成したのは応永6年(1399)、場所は賀茂川と高野川が合流して鴨川となる地点、糺の森よりやや西の地点。
院政期が六勝寺などの大規模造営時代であるのと同様、著者はこの大塔や金閣寺、天龍寺、相国寺等の建造物が相次いで建てられたこの時代にも着目すべきとする。
最近、室町時代の研究が盛り上がっているが、本書もそのような一冊である。本書では、室町幕府が創建した大規模な建築物や儀礼の再興に焦点をあてて、それらが進められた背景や目的について分析し、さらにそれに必要だった資金調達のあり方を検討するとのことである。(「財政史的観点」というらしい。確かにお金の工面がつかなければ箱ものを建てたり、しっかりした儀式はできない。お金の出し入れから国家のあり方を見ようとする試みとのことで、ある意味当たり前のことだが、それを史料により歴史的事実として明らかにしていくことが求められるということだろうか。)
相国寺大塔、義満の居所北山第については第3章で述べられる。当初厳しかった幕府財政、柱としては守護からの出資、土倉酒屋役であったが、遣明船による莫大な利潤が、これらの大規模造営や儀礼の復興を実現したとのこと。
第4章は、幕間と言うには重いテーマであるが、室町時代研究を牽引した佐藤進一の「京都市政権」論についての批判的考察に当てられる。(この辺り研究史的には大変興味深いところなのだろうが、残念ながら文字面を追いかけるに精一杯だった。)
第5章、第6章は義持の時代について。南北朝動乱からの復興期に当たるこの時代は、復興の資金需要を賄うための土倉や酒屋の発展、神人集団による商業活動の広域展開、また幕府が京に置かれたことから、首都京都と地方との結びつきが強まり都鄙の相互作用が進んだなどの動きが説明される。
本書は、終わりに大塔のその後を語る。義満死後建造途中で放置されていた大塔が応永23年に焼亡すると、義持は再建を指示する。そして大塔は北山第ではなく、相国寺の寺域に建立されたが、文明2年(1470)雷火により三度目の焼亡を遂げてしまう。しかし、それらの状況を記した資料は驚くほど少ないという。「室町幕府は、みずからの権力を巨大な営造物で誇示する必要はもはやなく、都鄙の交流を通じて肥大化した京の都に軸足を置き、根をはっていたのである。…すでに爛熟していた京にあって大塔という存在は、単なる時代遅れの大きな飾り物の一つに過ぎなくなっていたのだろう。」(293ページ)。義満の時代から義持の時代へと、時代は大きく変わった。それを象徴的に表すものが大塔の運命だったことを深く感じさせられた。続きを読む投稿日:2023.05.25
足利政権が「権力」と「権威」を掌握してゆく過程を義満時代を中心にまとめた本になります。
「今から600年ほど前の京都に100メートルを超える塔が建っていた」というのは非常に興味深い内容でした。投稿日:2023.09.17
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。