この作品のレビュー
平均 2.9 (11件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
読んでスッキリする本ではない。
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人類の営み自体が愚かで右往左往しているからだ。
が、以前からスゴ本ブログで教えてもらった、ハロルド・クシュナー「なぜ私だけが苦しむのか」についてしっかり書かれていて、ますます興味を持った。
また、中島らも「今夜、すべてのバーで」で知った例の祈りのラインホルド・ニーバーについても、数か所で言及されていた。
@ 以下コピペだが、【 】は個人的メモ
科学の時代に神を信じることは出来るのだろうか?この世に悪があることを宗教はどう説明するのか?宗教は人を善良にしたり、世界を平和にするのか?素朴な疑問を通して、宗教と人間のリアルに迫る。
目次
はじめに
信じる者は救われる?/宗教以外にも「信じ」ていること/本書の狙い
第一章 そもそも「信じる」とは、どういう行為なのか
現代人は本当に宗教を「信じていない」のか/よくわからない「信仰」という言葉【宗教=信仰・実践・所属】/「信じる」という動詞のさまざまな使われ方/正しいことは、わざわざ「信じ」なくてよいのでは/そもそも何を信じているのか/本当に信じていたら、むしろ「信じている」と言わなくなるのでは/「信じています」と言えば信者なのか/キリスト教徒は、本当に聖書を「信じ」ているのか/お金についての教えも「信じ」ていない?/むしろ「信じ」られない部分が必要なのか/信徒たちの「信仰」は、実はさほど徹底したものではない/宗教に限らない人間一般の傾向/マザー・テレサにおける「神の不在」/そもそも神は「信じ」る対象なのか/イエスは「信じること」にこだわったのか/イエスが人生の最期で口にした言葉/神を信じているならば、かえって疑いを口に出せるはず/「信じ」ているから、文句を言える/「素直に」という副詞は「疑う」という動詞にこそふさわしい/あまり「こだわらない」ようにする/よくわからない「信仰」
第二章 神を「信じ」ているとき、人はそれをどう語るのか
宗教を信じることは非科学的な態度なのか/宗教は科学を排除しない/「祈り」で砲弾から兵士を守れるのか【パウル・ティリッヒ】/ダライ・ラマの発言/「祈り」のいろいろな側面/「主の祈り」は利益や幸福をお願いするものではない/祈りは「お願い事」ではない【要求ではなく、信頼の表現】/ニーバーの祈り【ラインホルド・ニーバー】/ガリレオ裁判/神は「二つの書物」を書いた/神の存在を論証しようとするということ/神と古代の哲学者たち/「神が世界の知性である」【タレス】/宗教的なピュタゴラス/宗教を批判するが、神は否定しない【クセノパネス】/「万物は魂と神々に満ちている」【ヘラクレイトス】/神々に対するちょっぴり冷めた見方【プロタゴラス】/宗教は民衆をコントロールするためのもの?【クリスティオス、ディオゲネス】/ソクラテスの告訴状/神を「信じ」たソクラテス/プラトンの宗教論/神は人間的な事柄を配慮するか【アリストテレス】/エピクロスにおける「神」/妙な「神」を信じている方がよっぽど不敬虔【エピクロス】/宗教に批判的な立場の諸相/「無神論」という概念の広さ/ニーチェの「神は死んだ」/神の死の神学/「存在しない神に祈る」【シモーヌ・ヴェイユ】/「神は存在しない」【パウル・ティリッヒ】/「神なしで生きる」【ディートリッヒ・ボンヘッファー】/「神を棄てる」「仏を殺せ」【マイスター・エックハルト】/「信じる」の奥行き
第三章 この世には悪があるのに、なぜ神を「信じ」られるのか
耐えられない試練などない?/切実な願いも叶えられない現実/なぜ神は日本人の「悪」を放置したのか/「神義論」という問い【ライプニッツ、ヒューム】/『なぜ私だけが苦しむのか』【ハロルド・クシュナー】/不幸の理由を説明するいくつかのパターン/教育的な効果があるのか、死後の世界で埋め合わせがなされるのか/問いそのものを考え直す/ヨブの物語/「神が支配していないことがらもある」/すべてのことに理由があるわけではない/アウシュヴィッツについては「神は防ぐことができなかった」/神を「信じ」てはいるけれども/誰もが納得できる答えはない/抗議の神義論/「わからない」のに、なぜ「信じる」と言い切れるのか/幸福を得るために「信じ」ているのではない?/星野富弘の場合/口で文字と絵をかく/「神様がたった一度だけ、この腕を動かして下さるとしたら」/本当の死の時まで/「でも神さまありがとう」/三浦綾子の影響/「得たものの方が多い」/幸せとは何か/「信じる」とはいったい何か
第四章 同じ宗教を「信じ」ていれば、人々は仲良くできるのか
宗教は「個人の心の問題」?/イソップ寓話と聖書/「目からうろこ」や「復讐するは我にあり」/旧い契約と、新しい契約/新約聖書の内容/イエスは何も文章を書き残さなかった/宗教は集団で営まれるもの/人間の「標準化」としての宗教/信徒たちは平和の教えを「信じ」ているのか/キリスト教は本当に「非暴力」?/キリスト教徒たちは武力行使に躊躇しない/絶対平和主義と非暴力主義は少数派/宗教は「戦争の原因」であるとは言えない/宗教は「平和の原因」であるとも言えない/キリスト教は最初から「一つ」ではなかった/愛と平和を唱えていても喧嘩をするのが人間/教派間の対話と協同へ/「多くの宗教がある」という難問/異なる宗教とも仲良くしようとする動き/信仰を捨てることは悪なのか/芥川龍之介『おぎん』/おぎんらの棄教は悪魔にとって「成功」だったのか/何が正しいのか
第五章 神を「信じ」たら、善良な人間になれるのか
「人格者」になりたい私たち/よい生き方と学問【ルース・ベネディクト】/「ヒューマニティーズ」とは何か/「人間性」と「教養」【キケロ】/人文系学問に期待されていたもの/人文系の学者は人格者なのか/武道やスポーツや芸術で「人格者」になれるのか/やっぱり「宗教」なのか/弱い人々のために無償で働く【マザー・テレサ】/身代わりになって死んだ神父【マキシミリアノ・コルベ】/生徒に鞭打つ聖職者【ロアルド・ダール】/ラフカディオ・ハーン「お大の場合」/聖職者たちによる加害/教会でも人間関係の衝突がある/信仰は人を善人にする魔法ではない/ダビデ王の悪事/無宗教者・無神論者であれば善人になれるのか/プラス面もマイナス面もある/キリスト教徒であることにこだわらない/愛とは面倒くさくて嫌なもの【ドストエフスキー】/愛も憎しみも、人間は知らない投稿日:2023.08.07
宗教という営みのわからなさに欧米の思想やキリスト者の言葉を通じて気づく、みたいな本。
折角第一章で神道は宗教と言えない論についてちらほら紹介されるのに、その後は全く言及がなくなるので肩透かしを食らった…気分。宗教は人間に規格を定め、その社会の構成員を標準化するための仕組みかも?って話が面白かった。神義論については参考図書を追いたい続きを読む投稿日:2024.03.03
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