転換期を生きるきみたちへ
内田樹(編著)
,岡田憲治(著)
,小田嶋隆(著)
,加藤典洋(著)
,白井聡(著)
,想田和弘(著)
,高橋源一郎(著)
,仲野徹(著)
,平川克美(著)
,山崎雅弘(著)
,鷲田清一(著)
/晶文社
作品情報
世の中の枠組みが大きく変化し、既存の考え方が通用しない歴史の転換期に、
中高生に向けて「これだけは伝えておきたい」という知見を集めたアンソロジー。
言葉の力について、憲法について、愛国心について、科学的態度について、
弱さや不便さに基づいた生き方について……。
若者たちがこれからの時代を生き延びるための知恵と技術がつまった、
未来へ向けた11のメッセージ。
タイトルにある「転換期」というのは、世の中の枠組みが大きく変化する時代のことです。(…)大人たちの大半が今何が起きているのかを実は理解できていない状況のことです。だから、大人たちが「こうしなさい」「こうすれば大丈夫」と言うことについても、とりあえず全部疑ってかかる必要がある。今は「マジョリティについて行けばとりあえず安心」という時代ではないからです。(「はじめに」より)
【目次】
身体に訊く──言葉を伝えるとはどういうことか 内田樹
僕の夢――中高生のための「戦後入門」 加藤典洋
表と裏と表――政治のことばについて考えてみる 高橋源一郎
人口減少社会について根源的に考えてみる 平川克美
13歳のハードワーク 小田嶋隆
空気ではなく言葉を読み、書き残すことについて 岡田憲治
科学者の考え方――生命科学からの私見 仲野徹
消費社会とは何か――「お買い物」の論理を超えて 白井聡
「国を愛する」ってなんだろう? 山崎雅弘
「中年の危機」にある国で生き延びるために 想田和弘
社会に力がついたと言えるとき 鷲田清一
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.2 (32件のレビュー)
-
【読書メモ】
p185
・何のために勉強するのですか?
自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を言う。ただそのためだけに勉強するのです。山本義隆
p190
・同じことを、違った側面から考える視点を…与えてもらうためにディスカッションをするのです。当たり前のことですが、自分は自分の考えに染まりきっています。そこへ、違う刺激を与えてもらって、自分の考えを方向転換させたり、バージョンアップさせたりすることが重要なのです。
p103
・科学がグローバルである最大の理由は、真実をあつかうからということです。
…科学的な視点は予測できない社会を生きるうえでの全員にとってマストなものの見方なのかもしれない。情緒的に考えたとしても、それを相手に理解できる自分の言葉で伝えて、ブラッシュアップしていかなきゃいけない。誰かが先に答えを用意してくれている時代でないのであれば、自分の考え、意思を言語化して、まず自分を納得させることができなければ、何も頼りにするものがなくなってしまうから。自分を納得させるために、何故自分がそう考え、思ったのか、その前に何が頭に浮かんだのかを自分自身に伝えなければならない。
科学的なものの見方とは、パラダイムが人間の思考をいかに制限・固定・維持しているかを理解したうえで①まず疑う、②データに基づいて具体的に説明する③合理的に考える④いっしょに考えてグロ−バルに展開してくという流れ。
・消費社会について
…資本主義がすすみ、消費社会が到来した。最初は「必要だから」何かを求めていたものが、今では「これを持っていると周りから羨望の眼差しを向けられるから」といった“意味”に価値が置かれている。だって、物が溢れる時代に、物をほしがり続けてもらわないと資本主義は回らないのだから。
しかし、そうした消費社会の高度化が人間精神の在り方に異常を来していると筆者は述べる。「お買い物」の論理を、その論理が当てはまらないもにまで当てはめようとしているからだ。
選挙の投票や教育はその良い例。
投票は、投票したい候補者がいないし行っても無駄、という合理的な考えで処理されることがあるが、その危険性はでかい。あなたがほしがるものをお膳立てしてくれるわけではない。あなたが何もしなかった行為そのものが、結局はあなたとあなた以外の人にふりかかることになる。だから、「もっともマシ」だと思う人に投票することが求められる。
また、教育はお金を払えばすぐに分かりやすい商品価値が返されるものではない。つまり、商品として捉えるならば出来損ない。さらに教育が商品とみなされたが、教育は不可能になる。学ぶ主体が「消費者である」と自己認識している限り、最低限の支出で最大限の有用性を得ようとしている限り、教育は死ぬ。お客様→学ぶ主体
・「愛国心」について
…そもそも「国」をどう捉えるかは3種類ある
①外国的に「独立国」として承認されている国家の領土
②その領土内に住む国民を特定の政府が統治する国家体制
③政府に統治される側の、一人一人の国民の命と生活環境
時代的背景によって、上記の優先順位は前後する。
第二次世界大戦で、ドイツ軍に攻め入れられたフランスは、わずか6週間で降伏を宣言した。③市民の命を最優先にし、①領土の半分を失い、③ドイツ寄りの中立の立場をとることになった。
一方、太平洋戦争中の日本は、軍人や市民の命が犠牲になったとして、早く負けを認めて戦争をお渡せようという空気は起きなかった。なぜなら②天皇とその天皇が統治する国家体制が何よりの崇高なものであったわけで、③はそれを支えるために存在していると解釈されていたから。
日本で「愛国心」というと、この戦時中のイメージが先行されてしまうきらいがある。なぜなら、平和な時代の③を優先する愛国心(いわゆる新バージョンの愛国心)の概念ができあがっていないから。
反戦運動をする人に対して「裏切り者」や「売国奴」などど軽々しく言うひとにとっての愛国心は、②と③を最優先にさせたもので、指導者が決めた物事について疑いをかけずに従順に突き進んでくれる都合の良い存在。いわゆる「馬鹿」なのだけれど、そんな存在を刺激するには近隣諸国に敵をつくって、危機を煽れば良い。そういったかれらにとっての愛国心は、本当は国を破滅に導くとも知らずに、彼らはついてくるから。
「もしかしたら、自分の国の指導者は間違った判断をするかもしれない」と考える市民、そして命を最優先に考える市民にとっての「愛国心」は上の人たちとは違うことを理解しておく必要がある。
自国の黒歴史、つまり、戦争のために命を落とした人たちの死が無駄であったか、そうでなかったかは軽々しく結論付けられないが、それを決めるのは現在と将来の私達の行動にかかっている。
P281
ブレーズ・パスカル「われわれは絶望が見えないようにするために、何か目をさえぎるものを前方においた後、安心して絶望のほうへ走っている」(パンセ)続きを読む投稿日:2016.11.23
今を根源的に問いこれからをどう生きていくかを考えさせる。中高生には少し難しいかもしれない。でもとてもおもしろかった。確かに転換期。コロナの流行でよりその色合いは強まった。何も考えないで生きると知らない…うちに社会や都合のいいようにされてしまう。それが今の自分だし。自分で疑問を持って考えていくこと。そこにつきる。間違っていても自分で考えたことだし責任をとるのも自分だからいいんだと思う。続きを読む
投稿日:2022.01.17
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。