モチべーションの心理学 「やる気」と「意欲」のメカニズム
鹿毛雅治(著)
/中公新書
作品情報
「やる気が出ない……」。職場で、学校で、家庭で、悩んでいる人は多い。自分だけでなく、他者のやる気も気がかりである。口でほめるのか、報酬を与えるのか、罰をちらつかせるのか。自らの経験と素朴な理論に基づいて対処しても、なかなかうまくいかない。そもそもモチベーションはどのように生じ、何に影響を受け、変化していくのか。目標説、自信説、成長説、環境説など、モチベーション心理学の代表的理論を整理、紹介する。
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商品情報
- 著者
- 鹿毛雅治
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2022.01.25
- Reader Store発売日
- 2022.04.15
- ファイルサイズ
- 27.5MB
- ページ数
- 400ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (20件のレビュー)
-
本書に興味をもった方にまずご紹介したいのは、終章の冒頭にある著者の言葉だ。
「残念ながら、モチベーションの問題に関しては、いつでも、どこでも、誰にでも通用するような「ハウ・ツー」は存在しないのである…。本書で明らかにしてきたように、「やる気」や「意欲」は一般に考えられているよりも、ずっと複雑で微妙な現象だからである」
概要と導入にあたる第1章と2章につづき、第3章~7章では「目標説」「自信説」「成長説」「非意識説」「環境説」に分類して、様々な心理学上の観点からモチベーションを分析する。目次や巻末の注釈を除いても350ページほどあり、新書としてはかなりの紙数となっている。
序文で「本書は、モチベーション心理学の入門書である」と宣言するとおり、モチベーションに関わる多岐にわたる知見が詰め込まれている。入門とはいえ基本は学術的なアプローチに基づいているため、登場する専門用語の数も多く、読み物としての面白さや特定の読者を対象にするというよりも、正確性や網羅性に重きを置いた著作といえそうだ。かつ、先述の終章の言葉にあるような、モチベーションを単純化しない認識もあって、本書に「ハウ・ツー」的な役割を期待する読者にとってはまだるっこしく、歯切れの悪い印象を受ける可能性はある。
各章で解説される、モチベーションにまつわる様々な要素への解説についてはわかりやすく、内容にも納得させられる。とはいえ、全てを興味をもって読めるかといえば必ずしもそうではなく、所々でいまの自分にヒットする箇所については特に引き込まれるという形になる。逆にそれ以外については読み飛ばしてしまうことも少なくなかった。先に触れた本書の性格上、全てを熟読できる読み手は限られているのではないかとは思う。
個人的に面白いと感じたのは「第4章 成功と自尊心――自信説」と、「第7章 場とシステム――環境説」だった。第4章は、モチベーションとの関係を探る過程で、人間の自尊心についての認識を深めてくれる。自尊心が低すぎることはもちろん、過剰であることも人としては差し障りが多く、「優越感」とは似て非なる「本来感」こそが重要だという捉え方と、自尊心を高めることを自己目的化した実践への警鐘に共感する。
第7章は本書のなかで最も長い90ページ近い章となっており、あとがき相当の短い終章を除けば実質的な最終章ということもあって、著者が個人的な見解を覗かせる機会も増える。本章でとくに多く触れられるのは、「北風型アプローチ」と「太陽型アプローチ」の比較、そして、会社組織を中心とした、組織におけるモチベーションの引き出し方といったところで、一般にも興味をもたれやすい話題でもある。とくに目を引くのは、日本の某大手企業を参考として、成果主義にもとづく目標管理の導入が大失敗に終わった事例だった。日本でも成果主義が浸透して久しいが、心理学的な研究の世界ではすでに半世紀以上前に、この手の考え方が人間にとっての満足感につながらないことは指摘されていたという。
通読して、「やる気」「モチベーション」といった自己啓発の話題として扱われやすい対象に関して単純化することなく、むしろその多様性や扱いにくさを認める姿勢を正しいと感じる。終章の結論にあたるくだりや、そこで紹介されている『夜と霧』の著者であるフランクルによる言葉の選択にも好感をもった。
改めて、会社などの組織におけるモチベーションの問題については、第7章にて、ある研究者による「「組織」と「人間性」は本質的に折り合わない」という言葉に同意する。私個人としては、一定の短期間であればともかく、どう工夫したところで、特定の組織で個人が数十年モチベーションを保つのはそもそも無理があるのではないかと思う。
ちなみに、帯文で目を引く「ほめれば本当にやる気が出るのか?」の問いについては、第7章、P281あたりに答えが書かれています。続きを読む投稿日:2022.02.23
人は多様性・多面性。そんな中、個人のモチベーションをどう確保するのか。自律性を促す仕組みを構築がまず一歩。具体的にはこれも多様で多面で。そのやり方の手がかりになる内容がたくさん書かれてて、やってみたい…とかんじた。続きを読む
投稿日:2024.03.17
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