「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜
早川タダノリ(著)
/青弓社
作品情報
「世界に輝く 日本の偉さはこゝだ」「日本精神に還れ」……これらは2016年現在の書籍ではなく、80年前に出版されたもの。アジア・太平洋戦争に向けた国民総動員体制をあおる書籍が次から次に出版された。中山忠直『日本人の偉さの研究』、三浦葦彦『神国日本の啓明』、服部教一『日本の大使命』、池崎忠孝『天才帝国日本の飛騰』……こんな勇ましい書名だけではない。平野増吉『日本精神とお墓』、笠原正江『働く婦人の生活設計』、上野摠一『み国のために働く小産業戦士の道しるべ』などの「決戦生活心得トンデモ本」も聖戦を支えた。
「我が軍」「八紘一宇」などと総理や政治家が平気で公言する現在、ルーツである80年前の「日本スゴイ!」キャンペーンを発掘して、思わず噴き出す陳腐な内容を白日の下にさらす。
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商品情報
- シリーズ
- 「日本スゴイ」のディストピア
- 著者
- 早川タダノリ
- 出版社
- 青弓社
- 書籍発売日
- 2016.06.30
- Reader Store発売日
- 2023.05.26
- ファイルサイズ
- 15.1MB
- ページ数
- 200ページ
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この作品のレビュー
平均 3.4 (8件のレビュー)
-
史料としては面白いし、よく集められているなと思うのだが。。。
近代国家とか国民国家と呼ばれるものには、どの国家であれ、多かれ少なかれこうした「国民動員」の側面があるわけで、「日本すごい」がいったい…何なのか、他国とどう違って違和感があるのか、というところへの踏み込みがもっと欲しかった。
また、今のネトウヨやマスコミによる「日本すごい」を想起させる、というのはたしかにそうなのだが、はたして戦後ずっとそれはなかったのか。戦後経済成長を「日本だけが」成し遂げた、というときに、日本人に去来する感情は「日本すごい」じゃなかったのか。「歴史は繰り返す」といいたいのは分かるが、「歴史は継続する」というのもあるのではないかと思った。続きを読む投稿日:2017.12.25
借りたもの。
東京オリンピック2020が決まって、観光事業、インバウンド需要などで沸き立ち始めたあたりから、TVで盛んに取り上げられるようになった「日本スゴイ」系のバラエティー番組。その風潮に白け、警…鐘を鳴らす著者。
特にその風潮が太平洋戦争へと突き進む日本に酷似していると指摘する。戦時下での自画自賛の事例を網羅した一冊。
戦時中の戦意高揚キャンペーンがあったことは承知していても、その内容については教科書掲載のスローガン(キャッチフレーズ)どまりだったので、内容を知れて興味深かった。
その内容は、“別に「日本スゴイ」と特筆すべきことではないのに、過剰な宣伝、誇大広告である”ということ。
…ただ、その列挙に留まり、現在の例との比較検証や、マスメディアが何故それらをこぞって展開したのか言及しないところに、あまり著者の思考が読み取れない。
「似ている」という警鐘どまりで、日本人は何故それらを是としたのか、考察が深まらない。
あるいは、「戦争に突き進む前兆の様で反対!」とでも言いたいのか……?これは私が著者に対して邪推しているのか?
著者はこの風潮の起点を満州事変(太平洋戦争前)としているようだが、個人的には日清・日露戦争が大きかったのではないか?
大塚英志『ミュシャから少女まんがへ』( https://booklog.jp/item/1/4040823141 )において、明治の風潮を‘日本をただちに世界に繋げたい明治の「セカイ系」とも言える『日本主義』らしく、壮大で無邪気なナショナリズム(p.242)’と指摘している、その流れを汲んでいるのではないかと…
その過度な自信・自己顕示欲を何故日本は持ったのか?
欧米諸国へのコンプレックスは何なのか?
そして読んでいて苦笑してしまうのは、これが「戦時下故の特殊事例ではない」という事。
“勤勉であれ”“礼儀正しくあれ”“体力向上”“痴漢注意”金を稼ぐことへの嫌悪と奉仕の美徳……
寧ろ、それを引きずり高度経済成長をけん引し、「当たり前」となった事。「社会主義が最も成功したのは、日本」と皮肉られた原動力もここにあるのだろう……
前提知識として軍隊の規律管理がピンキリの人材をある一定の水準まで底上げすることを目的としているなら、それを国家規模で行い、成就させた。
その中には今の価値観とは相いれない(人権侵害とも言える)男尊女卑やいじめ、痴漢問題の構造も含まれている。
結局、軍隊仕込みの規律管理が、戦後日本の「当たり前」を支えていた、というニュアンスを感じる。
それらは戦後70年(世代交代)を経て、ようやく改善されるのだろうか?続きを読む投稿日:2021.09.10
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