ブランド米開発競争 美味いコメ作りの舞台裏
熊野孝文(著)
/中央公論新社
作品情報
2018年2月、美味しい米の代表とされる魚沼コシヒカリが食味ランキングで特AからAに陥落したニュースは衝撃を呼んだ。翌年、魚沼コシヒカリは無事特Aに返り咲くが、各産地が「美味しい米」の開発・生産に努め、しのぎを削る状況は激しさを増す一方だ。美味しさはもちろん、冷害耐性、豊富な栄養、収穫量など多様な目標のもと、今日も新品種の開発が続けられている。ブランド米開発の舞台裏と米作現場のさまざまな課題に迫る。
目次
ブランド米の生まれた背景――まえがき
第1章 ブランド米狂騒曲
1 コシヒカリ覇権の経緯/2 新品種はどう開発されるのか/3 あきたこまちと大潟村の挑戦/4 ブランド米の価値はどう決まるか/5 ササニシキの復権に賭ける/6 変わる食味テスト/7 日本一誉れ高いコメ――コシヒカリの味を超えるコメを/8 海外から求められる「龍の瞳」/9 収穫期をずらせるのが魅力「五百川」/10 栄養素が豊富な「金のいぶき」/11 ブランド米と小売店
第2章 ブランド米の功罪
1 味にこだわりすぎた「つや姫」/2 ブランド維持が裏目に出た「青天の霹靂」/3 美味しさの追求は諸刃の剣/4 コシヒカリの受け皿となる品種
第3章 需要に合わせてコメを作る
1 業務用米の世界/2 コメ代わり食品の登場/3 「ご飯」を食べてもらう試み/4 安くて美味しいコメが求められている/5 コメ輸出という悲願/6 耕作放棄地は増え、担い手は減る
第4章 コメの未来
1 広い面積にはドローンが有効/2 今までの限界を超えるコメ作り/3 コメの種子をめぐる大変革/4 民間のやる気を削ぐ現行システム/5 民間育種は壁を越えられるか――住友化学の挑戦/6 執念の民間育種家
コメの取引のあり方が大きく変わる――あとがき
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
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著者 熊野孝文は、コメ関係の取材で、40年の蓄積があるのがとても強い。
日本のコメのウラとオモテをみてきた人の本で、2021年3月25日に発行された。出来立て、ホヤホヤの本である。私は主に花卉、観葉植…物、野菜をジャンルとしてきたので「コメ」については、隣で見ていただけでよくわからなかったが、この本を読みながら、農水省、JAの日本のコメ政策のでたらめさにあらためておどろいた。とりわけ飼料米をめぐっての、補助政策はあきれてものが言えないぐらいである。牛や豚にコメをくわせるというのは、おバカさんの机の上の自給率論の対策である。コロナ禍で格差が広がって、ご飯を3食 食べることができない人がいるにも関わらずだ。飢餓で死ぬ老人もいる日本の現実。あくまでも、「瑞穂の国」ということで、稲作にこだわっている。この稲作を守るということで、どれだけの膨大な税金を投入してきたのだろうか。自給率を上げるには、子実トウモロコシを栽培して,乾田直播をすすめた方がよっぽど正義の道だ。
ブランド米とは、現在令和元年産では水稲うるち米 824種。水稲モチ米で132種、醸造用米223種 合わせて1179種あるという。ブランド米がそれだけあったら、もはやブランド米といえない状況だ。各県ごとにとりくんでいるので、いくらでもでてくるのだろう。それぞれの県が力を入れて宣伝しているわけだが、本当にそれほどのブランド米いるのか?民間の育種をのぞけば、税金をつかってやってる訳で、税金のムダづかいのようにみえる。コメの育種の選択と集中がまったくないのだ。消費者は、本当に求めているのだろうか?また、どれだけのコメの差別化ができているのかあやしい。
日本は民主主義なのだから多様性があって、それでいいといえるのか?
にもかかわらず、コメの消費はどんどんと減少しているのである。「日本人はもっとコメを食え」と言ったって、少子化、人口減少、高齢化ときておれば、当然日本人の胃袋は小さくなっているのである。部分最適と全体最適という言葉があるが、多くのブランド米があるのは、サイテキという言葉が辞書には、ないようだ。いかに日本のコメ産業を維持して、維持し、発展させていくのかという大局的な見方と政策がいると思う。
ブランド米といえば、魚沼産コシヒカリである。日本穀物検定の特Aを平成元年から始まりそれで一番美味しいコメと認定されていた。日本のコメの美味しさは、魚沼産のコシヒカリだった。平成29年度産の魚沼産が特Aから、転がり落ちた。まさに農業は天候に左右されるものである事を示した。まぁ。おごりもあると思うけどね。フランスのボルドーワインを中国の富裕層が買い占めたことがあった。魚沼産コシヒカリは、中国人でも人気があるけど、投機の対象にならなかったのは、それまでのことかもしれない。魚沼産コシヒカリ新米1kg1000万円っていうような話があると面白いけどねぇ。そういうこと仕掛けるプロデューサーがいないのかな。フランスにはちゃんとボルドーワインを投機対象にしたプロデューサーがいると思う。「おりんピッグ」なんてお馬鹿さんな電通出身のプロデューサーばかりだ。電通が日本をおバカさんにしたかもしれない。ブランド米の企画宣伝も多分、電通がやっていることだろう。おバカさん農林省の考えそうなこった。
食糧管理法は、1942年の戦時中に安定供給をめざしてつくられた法律が1995年まで続けられたことも驚きだ。国が米を買いあげ、ブレンド米として販売していた。国から与えられた免許がなればコメを販売できず、コメの買入、売却価格がきめられていたのだ。この逆ざやで、農水省の予算の40%を占めていたというから驚いてしまう。なにか利権の匂いがしてならない。
減反政策は、2018年に終了したが、今だに年間3000億円をこす巨額な助成金が「用途限定米穀」と名付けられて、補助を出している。カドミウムやアフラトキシンのコメがそのまま横流しして、食べるコメとして売られていた詐欺事件も生々しい。農水省は、接待漬けだったのだろう。知らなかったって、官僚言葉が虚ろに聞こえる。官僚はいつから認知症になったのだろうか。どこかが、不具合が存在している。著者は、コメのことを淡々と事実を述べているが、もっと書きたいことがあるのだろうと思う。一度、一緒に食事して、酔わせて、本音を言わせたい。
本の紹介をしているが、どうもこの本の正当なレビューになっていない感じをしている。書かれている内容の行間を読んで、怒ってばかりいるのだ。この本は、ブランド米に関して興味のある人は、襟を正して読むべき必読本である。それから、コメのことを本気になって考えよう。続きを読む投稿日:2021.04.04
次々登場する各地ブランド米の熾烈な開発舞台裏と、温暖化や消費の減少など課題多き稲作現場の最新事情を、ベテラン記者がルポ
投稿日:2021.05.13
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