そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学
ブレイディみかこ(著)
,松尾匡(著)
,北田暁大(著)
/亜紀書房
作品情報
バージョンアップせよ、これが左派の最新型だ!
日本のリベラル・左派の躓きの石は、「経済」という下部構造の忘却にあった!
アイデンティティ政治を超えて、「経済にデモクラシーを」求めよう。
左派の最優先課題は「経済」である。
「誰もがきちんと経済について語ることができるようにするということは、善き社会の必須条件であり、真のデモクラシーの前提条件だ」
欧州の左派がいまこの前提条件を確立するために動いているのは、経世済民という政治のベーシックに戻り、豊かだったはずの時代の分け前に預かれなかった人々と共に立つことが、トランプや極右政党台頭の時代に対する左派からのたった一つの有効なアンサーであると確信するからだ。
ならば経済のデモクラシー度が欧州国と比べても非常に低い日本には、こうした左派の「気づき」がより切実に必要なはずだ。(ブレイディみかこ/本書より)
【目次】
第1章:下部構造を忘れた左翼
第2章:「古くて新しい」お金と階級の話
補論1:来るべきレフト3.0に向けて
第3章:左と右からの反緊縮の波
第4章:万国のプロレタリアートは団結せよ!
補論2:新自由主義からケインズ、そしてマルクスへ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (32件のレビュー)
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岸田内閣が発足し総選挙が行われることになった。岸田内閣に期待すること、あるいは、衆院選の論点として考えるべきこと、という内容で、日本経済新聞が朝刊に連載をしているが、今日の朝刊のテーマは「成長か分配か…。まずは成長を優先すべき」という内容のものであった。
本書は、ブレイディみかこさんと、経済学者の松尾匡氏、社会学者の北田暁大氏の対談で構成されている。発行は2018年5月のことなので、今から3.5年前のことであり、岸田内閣はもとより、菅首相の前の安倍首相、経済政策で言えばアベノミックス時代の発行である。
本書の大きなテーマの一つは、書名にもなっているが、日本の左翼・左派に対して疑問を呈する、というものである。
経済だけが大事なことでないことは言うまでもなく、経済以外にも大事なことは山積していることも言うまでもない。ただ、私は、経済問題は現代の日本の大きな問題の一つだと思う。格差問題、あるいは、日本にも貧困層が生まれており、その格差や貧困は世代間で受け継がれる、要するに固定化・階級化しつつある、ということは、かなり以前から指摘されており、解決すべき政治的イッシューであるはずだ。
この問題へのアプローチには2つある。1つは経済成長が大事だとするもの。日本の1人当たりGDPはバブル崩壊以降、ほとんど増えておらず、今やそれを指標とすれば、日本は既に世界で最も豊かな国の一つとは言えなくなっている。これは事実であり、日本全体が豊かにならない限り、国民に所得として行き渡る原資はないのだから、まずは経済成長を優先させようとするアプローチ。冒頭に記した今朝の日経新聞の論調である。
もう1つのアプローチは、分配が大事だとするもの。格差があるのであれば、格差を均せば良いではないか、というアプローチである。富裕層への課税を強化したり、あるいは、大企業への課税を強化し、そこで得た原資を、例えば医療費や介護費や貧困世帯への援助に回そうとするものである。
本書でのブレイディさんをはじめとする3人の方が感じている違和感は、日本の左派が「経済」について語らないということである。日本の左派は、例えば環境問題、原発問題、等についての主張が多く、そのこと自体は何の問題もないのだけれども、日本の大きな問題の一つである「経済問題」、特に、如何に日本の経済を成長させるかについては、ほぼ語るところがない。なかんずく、不況時の重要な経済政策の一つである政府支出について、国の財政均衡(要するに国の借金は良くないことなので、単年度の国の税収と支出をバランスさせましょうという考え方。政府支出を減らすことは、GDPを減らすことに繋がる)を優先させる考えを左派がとる(民主党政権時代の「事業仕分け」は皆さん記憶に新しいと思う)のは、ほとんどあきれるという内容である。
「成長か分配か」という、ものの考え方では何も解決できない。正しくは、「成長も分配も」であると私は思うし、本書の主張も同じ。日本の左派が「分配」については語るが「成長」について語らないのは、政治家としての一種の責任放棄ではないか、と私も思う。
本書の主張に同感だ。続きを読む投稿日:2021.10.16
p80 労働党の方ではブレクジットを選挙戦の争点にしなかった。むしろブレッド&バターイシュー(どうやって飯を食うか問題)と呼ばれる国内問題を争点にしました。そして、その戦略が見事にあたった
p85 …労働者にとっての離脱は、文化的な動機(移民への不満)よりも経済的な動機(生活への不安)が大きかった続きを読む投稿日:2023.07.07
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