新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか
木村盛世(著者)
/飛鳥新社
作品情報
〇ビートたけし氏「新型コロナへの見方が変わり、現実が違って見える」
〇「TVタックル」「正義のミカタ」「ワイド!スクランブル」「ミヤネ屋」「アベプラ」に出演。
〇「わからない」がタブーのテレビで真実だけを訴え、恐怖を煽るコメントに異論を唱え続けてきた著者が、「信頼できる」知識だけをまとめて緊急出版!
〇医師で元厚労省医系技官の専門家が、日本人が知るべき「本当の問題」をすべて書く!
「わからないことが多い中で信頼できる羅針盤を持つことは、その国の政策あるいは人々の行動を間違った方向に向かわせないために必要不可欠なことです」(本書「まえがき」より)
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この作品のレビュー
平均 3.7 (6件のレビュー)
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2021年38冊目。満足度★★★☆☆ 2021年2月発売。後から7月に発売された『ゼロコロナという病』(共著)の内容に共感したので、先に出ていた本書も読んでみたもの。結論から言えば『ゼロコロナという病…』だけ読めばいいかな。より時系列で新型コロナに関する各国の政策対応等含めて知りたい場合のみ、読めばいい。続きを読む
投稿日:2021.09.03
著者は、米国CDCで働いた経歴があり、厚生労働省医系技官を経て、パブリックヘルス協議会理事長を務めている。著者が新型コロナに関しての国の問題点を指摘している。現在の新型コロナ対応の全体像が俯瞰できる…内容だった。
日本の新型コロナ対応の問題点は2つ。第一に、パブリックヘルスの観点が欠如していること。第二に、厚生労働省と日本医師会の怠慢のツケ。
日本は、パブリックヘルスの観点が欠如している。パブリックヘルスは「公衆衛生学」のこと。患者を治療する「臨床医学」とは違った観点で考える学問。パブリックヘルスでは集団を基本として考えることに大きな違いがある。
例えば、パブリックヘルスの考えでは、若い人に重症化する人がいても、ごく稀なら重要視しない。しかし、臨床医学では一人の患者である以上問題視してしまう。感染症などは大きな集団で医療を考える必要がある。パブリックヘルス的に正しいのは「若い人でも死亡することはある。しかし確率は低い。それより、重症化や死亡率が高い高齢者に重点を置くことが必要」という見方になる。
これはワクチン接種にも当てはまり「ごく稀に起こる死亡に至らない副反応より、得られるメリットの方が大きい」と考える。
日本はパブリックヘルスの観点がないので、ワクチンの重要性が希薄で、政策もエビデンスを基に行われていない。
新型コロナで最大の問題は、厚生労働省と日本医師会の怠慢により医療ひっ迫を起こすこと。緊急事態宣言が発令される理由は「医療ひっ迫を起こす」から。しかし、新型コロナ発生から1年以上経っているのに、コロナ対応の病床数を増やす対応をしてこなかった。このツケを行動自粛という形で国民が払わされている。
医療崩壊とはICUがいっぱいになってしまうこと。日本の医療機関は病床数は世界でも多いが、ICUの数が少ない。患者数が少なくなり余裕のあった時期にICUを増やすなど対応をしなかった。さらに対応する医師も集めない、病院も増やさないという怠慢ぶりだった。
厚労省の医系技官が本来主導して対応の意思決定をするべき。現実では、感染症専門家である尾身会長が表に出ているだけで、政府の代表者の姿が見えない。海外では専門知識を持った技術担当者が責任を担う。今は責任者不在の状態。これでは政策が前に進まない。
すぐに行って欲しい対応は、緊急性の少ない業務はやめて、病床と人を確保する。オンライン診療、オンライン処方を増やす。都道府県を超えた患者の搬送を行える様にする。これらを行うことで、医療崩壊を起こさないようにする。
感想
医療ひっ迫が起こるのは、厚労省と日本医師会が対応を怠ったからと理解できた。責任者不在で意思決定する人がいないのがそもそも問題なんだと思う。官僚が責任を取りたくないという状況を生み出しているのは、自分達が失敗を許容する精神がないからかもしれない。有事の対応は「先のことはわからないが、今わかっている科学的根拠に基づいた対応をすばやく行うこと」が重要だと思う。それには失敗が伴うもの。失敗をしながらよりいい方向へすばやく変わっていく精神が必要だと思った。続きを読む投稿日:2021.08.30
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