原子力時代における哲学
國分功一郎(著)
/晶文社
作品情報
3.11で原子力の平和利用神話は崩れた。人間の叡智は原子力に抗し得なかった。哲学もまた然り。しかし、哲学者でただ一人、原子力の本質的な危険性を早くから指摘していた人物がいる。それがマルティン・ハイデッガー。並み居る知識人たちが原子力の平和利用に傾いていくなかで、なぜハイデッガーだけが原子力の危険性を指摘できたのか。その洞察の秘密はどこにあったのか。ハイデッガーの知られざるテキスト「放下」を軸に、ハンナ・アレントからギリシア哲学まで、壮大なスケールで展開される、技術と自然をめぐる哲学講義録。3.11に対する哲学からの根源的な返答がここに。
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商品情報
- シリーズ
- 原子力時代における哲学
- 著者
- 國分功一郎
- 出版社
- 晶文社
- 書籍発売日
- 2019.09.20
- Reader Store発売日
- 2019.10.04
- ファイルサイズ
- 1.8MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (15件のレビュー)
-
「僕はこの事故に大変なショックを受けました。(中略)自分が原発のことを真剣に考えてこなかったことを悔やみ、そして反省しました。」
「僕の率直な気持ちとしては、一方で、原子力発電がコスト高であり経済的に…割に合わないということさえわかれば、原発に関する議論はもう答えが出たも同然ではないかという気持ちがあります。原発は割が合わない。原発が持つ潜在的な危険性の話をしなくても、もう利用し続ける意味がないことは明白なのです。これを最初に確認しておきたい。
ただ他方で、そのことを確認した上で、やはりもう一歩議論を進めなければならないのではないかという気持ちもあります。というのも、これだけだと、コストが安く済むならば原子力発電をしていいのかという話にもなりかねないからです。それは違うだろうと僕は思っています。」
「原発は膨大なコストがかかり、核廃棄物という人間の手に負えないものをもたらす。だからこれらだけでも脱原発の理由としてはほとんどよい。こうした理由で脱原発が実現されるならそれは望ましいことです。」
「ショック」「率直な気持ち」。
そういう、感覚論が先にあり、哲学、論理はそれを補強するために使われている。
「論理は、好悪の奴隷でしかない」という言葉を乗り越えるなにかを期待して、最後まで読み進めたが、新しい気づきは得られなかった。
この本に書かれた「原子力発電(技術)」を「火力発電(技術)」「火を使う生活(技術)」「農業技術」等に置き換えても、同種の著作、論述は多分可能ではないかと思う。
人類が新しく得た技術は、メリットもデメリットももたらす。これまで、さまざまな技術を手に入れ、メリットを最大化させ、デメリットを最小化させるよう取り組んできたというのが、人類の歴史の流れだろう。
であったとして、得た技術は、どのようなものでも必ず使う、というのが正しいのか。という問が、この本であるのかもしれない。
もしなんらかの理由で既に手に入れた技術を放棄できたとしよう。この際、問題となるのは、技術のおかげで、人々の暮らしが既に豊かになってしまっており、技術なしで維持してきた生活、人口に戻すために、誰を犠牲にするのか、誰を殺すのか、どういう方法で、昔の生活に戻るのか、という社会的合意を得ることなのではなかろうか。
先進国で既に豊かな生活を享受し、仮に豊かさが損なわれてもなお、真っ先にそのデメリットを自らの生活、生命に受けることない安全な場所からの、呑気な顔の評論に見えてしまう。
私自身は、原子力に関わる事業で生計を立てており、全く中立にこの議論に関わることができる人間ではないのかもしれない。
しかし、技術一般のもたらす得失や、それをこれまでどうやって社会として飲み込んでいったのか、ということを整理し、その上で原子力技術がこれまでの技術とどう違いどう同じなのか、をもう一段深堀してもらいたかった。
あとがきに「本書の内容に関する逡巡が筆者の中から完全に消え去ったわけではない。」と記されている。
正直に言って、「脱原発を目指す」という目的から、問を発している著者のアプローチは、哲学者としてはなんだか、感情的、感覚的、衝動的だと、感覚的に思うが、もう一歩、二歩三歩、踏み込んで考えて、なにか新しいものを示してもらいたいとは思う。
その結論が脱原発なら、それはそれでしっかり考えてみたいと思う。続きを読む投稿日:2019.09.29
ハイデガーが原子力を兼ねてから批判的だっとことは知らなかった。”放下"という概念を用いて、物事に対してある種放置し、開かれた状態でいることが重要であるということが述べられている。しかし、用いられる要素…がある種現実の議論から浮遊した机上の空論のようにも感じられた。また結論に向かうところでのフロイトを援用して原発支持者はナルシシズムに苛まれているというのはレッテル貼りのようにも感じられてしまった。原発を取り巻く状況が変化した現在の著者の考えも知りたいと思った。続きを読む
投稿日:2022.11.23
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