この作品のレビュー
平均 4.1 (287件のレビュー)
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なぜサブマリンか、解説にあるように、「意識の奥底のほうに押さえつけている、どうしようもない欲動」の比喩か。帯にもある「暗い深海からの声」か。
今回もまたヘビーなテーマを扱う伊坂先生。
交通事故は、誰…もがあっという間に加害者にも被害者にもなりうるもの。さらに、加害者が少年であるということや、その少年の背景であるとか、家庭環境であるとか、そういうところに思いを馳せずにはいられない。少年は、加害者である前に、被害者だったんだ。
とある番組で、「制裁として」いじめをした側がクラスを変わったり転校するのではなく、いじめられた側がそれらを強いられてしまうことについて、スクールカウンセラーさんに意見を問うたところ、「なぜいじめた側が制裁を受けないのか」答えられなかった、といったような内容のニュースを目にしました。そして、それに答えられなかったカウンセラーさんを信用できないと。また、コメントを見るとそのように思っている方が多くいらっしゃるそうで。
けれど、このスクールカウンセラーさんが言いたいことは、いじめをした側の話も聞こうよ、って、そういうことだと思うんだ。なんにもない子がいじめなんてしないもの。何かがあるんだよ。大人が、その何かに気づいてあげないと。
少年に必要なのは、制裁ではなくって、SOSに気づいてあげること、そのいじめっ子にとっては、そのいじめがイコールSOSなんじゃないかな?加害者とか、被害者とか、そういう風ではなくて、みんな感情と肉体を持った生身の人間で、思っていることや育った環境なんてみんな違うんだから、みんなが安全に、自分らしく生きることができるようにしましょうよ、っていうことではないのか。
決していじめっ子を擁護しているわけではありません。暴力はよくない。
個人的には、あのスクールカウンセラーさんの意見に、批判が多いことのほうが驚きました。
話は逸れたけれど、ちょうどこの作品を読んでいる時に、そんなニュースを目にして。
スクールカウンセラーさんの意見に納得できなかった人は、この作品を見てどう思うだろう。若林青年が生きていること、棚岡佑真が生きていること、小山田俊がこのまま日常生活を送ることは、許せないのだろうか。
みんないろんな事情がある中で精一杯生きていて、自分ではどうにもならなくなったことを、暴力でどうにかしようとする人がいる。いじめも同様に。それは、どうにもならなくなったことへの発散方法がいけないだけで、別の方法で発散すればいいのだ。その発散方法を、関わっている大人は一緒に考えていくべきで、加害者=犯罪者=はじき出す、みたいなやり方は、その子からただ逃げているだけで、その子にもきちんと向き合う機会を失わせるし、大人は大人としての責任を放棄してしまっていると思うんだ。だから、「制裁として」いじめっ子を転校させるのは楽だし、その学校でのいじめ被害はなくなるかもしれないけれど、根本の解決には全くなっていなくて、結局また、転校先で同じことが起こるかもしれない。だから、武藤も陣内も、奇跡を信じて、少年と向き合いつづける。暗い深海からの声に、耳をすませる。次の声が、その少年の、本音かもしれないから、諦めずに、向き合い続ける。続きを読む投稿日:2019.07.17
事件の加害者はどういった人で、何を思い生活しているのか を想像するとなぜか反省はしていないように思えてしまうけど、色々な人がいるし思いがあると改めて思った。
何が正解で不正解かなんて分からないけど、そ…ういうものだと改めて思えた。続きを読む投稿日:2024.05.04
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