人種差別から読み解く大東亜戦争
岩田温(著)
/彩図社
作品情報
終戦70周年を迎える2015年。近年、先の大戦をテーマにした書籍が多数発売されている。
「なぜ、日本人は戦争を選んだのか?」そして「日米開戦当時、なぜ多くの日本人が開戦を支持したのか?」を論じる書籍もあるが、その理由は複合的で、1つのものを取り上げてこれだと断じることは難しい。
本書では、「人種差別」の観点に着目し、この疑問に迫っていく。1919年パリ講和会議で日本が提出した「人種差別撤廃案」はアメリカやイギリスの反対で否決されている。
また、カリフォルニアでは激しい日本人排斥運動があった。更に時代を遡れば、戦国時代に日本人がポルトガル人に奴隷として売り買いされていたことにも行き当たる。
戦争をただ肯定するのではなく、隠されていた真実に光を当てる1冊!
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商品情報
- シリーズ
- 人種差別から読み解く大東亜戦争
- 著者
- 岩田温
- 出版社
- 彩図社
- 書籍発売日
- 2015.07.17
- Reader Store発売日
- 2019.07.12
- ファイルサイズ
- 10.1MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (6件のレビュー)
-
人種差別が大東亜戦争の導火線となったことを知らない日本人が大半であろう。私もそうだった。「どうしてこれほど大切な歴史を学校で教えないのか?」という率直な疑問が強い怒りと共に湧いてきた。
https:/…/sessendo.blogspot.com/2018/08/blog-post_28.html続きを読む投稿日:2018.08.28
大東亜戦争を起こした原因を、人種差別の観点から紐解いた研究書。大東亜戦争は侵略戦争であって、始めた日本は一方的に悪者と思われているが、著者は、日本が大東亜戦争を始める大義として、人種差別撲滅を掲げたこ…とを論じている。国際連盟での主張や大東亜会議の開催など、いくつもの明らかな根拠も示されており、説得力がある。知らなかったことも多く、勉強になった。
「(ポルトガル船の日本人奴隷売買)「(イエズス会コエリョ)彼等商人は若き人妻を奪いて妾となし、児童を船にかどわかし行きて奴隷となすを以て、多数の人は寧ろ死を選びて処決するあり」」p96
「「(イエズス会)これらの(ポルトガル人)下僕は購買したる少女等と放縦なる生活をなして、破廉恥の模範を示し、その或る者はマカオへの渡航船中船室に伴い行くこともあり」日本人は奴隷としてアジアの諸地域で売られるだけでなく、人妻をも含む多くの女性が、ポルトガル人の性的虐待を受けていたのです」p96
「1571年3月12日付でポルトガル国王ドン・セバスチャンは、日本人奴隷の売買を禁ずる勅令を発しています」p96
「インドのゴア市民は、ポルトガル国王の勅令、イエズス会の破門決議に反発し、市民集会を開催して反対の声を上げています。彼らの主張は単純明快です。自らが投資してきた奴隷という「商品」の売買が禁じられたら、甚だしい経済的損害を被る人が続出するというのです」p97
「奴隷売買は人間の自由な経済活動の一部であり、「正義」に従った行為であり、「神の掟」も「人界の法」にも反しないので、奴隷売買に対する禁止令こそ撤回すべきだと主張したのです」p98
「(ヴァリニャーノは、日本への軍事侵攻に反対)一つ目の理由は、日本が貧しく、侵略しても得るものがないからであり、二つ目の理由は、国民が非常に勇敢であり、絶えず軍事訓練を積んでいるから」p100
「(秀吉のポルトガル軍艦視察)コエリョに対しては、立派な軍艦であると褒めちぎったのですが、彼は、キリスト教徒たちがこうした軍艦を所有していることに驚き、かつ不信感を強めたのです」p106
「(サンフランシスコでの日本人移民反対運動、1900年)日本人移民に反対する主張とは「同化を拒む」「低賃金を厭わず、アメリカ人労働者の生活水準を下げる」「アメリカ人の受け入れられない生活水準を甘受する」「民主主義を理解できない」の4点が主要なものでした」p138
「(カリフォルニア州議会の排日土地法案、1909年)5年以内に帰化しない外国人の土地所有を全面的に禁止する内容でした。当時、日本人移民にはアメリカ国籍が付与されることがありませんでした。従って、日本を離れ、何十年間アメリカに居住していても、アメリカ国籍が付与されることはなかったのです」p142
「排日移民法は、アメリカ全体の法律です。従って、極少数の良識派がいたことは事実ですが、多くのアメリカ人が日本人の排斥を望み、そうした政策を支持したといって間違いありません」p153
「『読売新聞』は、排日移民法の成立を「有色人種への挑戦」と位置づけ、『時事新報』では「日本国民に対する最大の冒涜にして損傷」だと見なしています。また『東京朝日新聞』では、排日移民法の成立を、「三国干渉にも劣らぬ新困難」であると報道しています」p153
「国際連盟の規約前文に人種差別撤廃の条項を挿入させることをあきらめた日本は、宗教の自由を保障する連盟規約21条に、人種差別撤廃に関する一文を加える戦術に切り替えます」p164
「1919年4月11日、国際連盟委員会最終会合の場において、牧野は国際連盟の前文に「各国民の平等及び其の国民に対する公正待遇の主義を是認し」という一句を挿入するように提案するのです。明確に反対の意向を表明したイギリスのセシル、採決そのものを避けようとするアメリカのウィルソンなど様々な妨害がありましたが、牧野は採決を取るように強く主張し、ウィルソンはしぶしぶ採決を取ります。議長であったウィルソンを除き、16名中11名が日本の提案に賛成します(最終的には、議長ウィルソンにより「否決」が宣言された)」p165
「(1924年12月24日付『国民新聞』)世界は、往年ヴェリサイユ会議に際して、日本が人種平等を提案せることを記憶して居るであろう。それは、実に人道上正義の声であったのであるが、併し無残にも12強国の為めに一蹴し去られた。口先では正義人道、世界平和というような声は、月並的文句として、世界の隅々で唱えられる処であるが、背後に実力の無い声は結局空声に終わらざるを得ぬ、若し、あの場合に於て、日本が絶大な実力をもって居たならば、人種平等案の如きは、之を押し通すことが出来たであろう。而して世界の弱小国は、今日其の余慶に鼓腹することが出来たであろう」p173
「(昭和天皇)この原因を尋ねれば、遠く第一次大戦后の平和条約の内容に伏在している。日本の主張した人種平等案は列国の容認する処とならず、黄白の差別感は依然残存し加州移民拒否の如きは日本国民を憤慨させるに充分なものである。又青島還付を強いられたことを亦然りである。かかる国民的憤慨を背景として一度、軍が立ち上がった時に、之を抑えることは容易な業ではない」p177
「プラトンは『国家』の中で、魂を3つの部分に分類しました。「智恵」と「欲望」と「気概」です。我々は、人間は「知恵」と「欲望」い基づいて動くと考えがちです。しかし、プラトン、ヘーゲルがいうように人間は「気概」によって動かされることがあるのも事実です。例えば、アメリカの独立戦争はどうでしょうか(課税拒否という経済的動機、アメリカ人がイギリス人と対等に扱われない不満(米英対等承認欲求)のほかに、独立獲得への気概があった)」p181
「大東亜戦争の勃発に際して当時、多くの知識人たちが戦争を支持します。これはその知識人が愚かであったためではありませんし、軍部にだまされていたわけでもありません。人種による差別に憤りを感じていたからこそ、大東亜戦争を支持したのです」p186
「『民族自決』とは、アメリカ大統領のウィルソンが提唱した概念で、その民族の問題はその民族に決定させようとする考え方です。この民族自決の原則に従って、東欧ではポーランド、フィンランド、バルト三国が独立を果たします。しかし、この民族自決の原則がアジアに適応されることはありませんでした。多くの植民地が独立することを好まないイギリス、フランス等が反対したために、アジアにおける「民族自決」は見送られたのです」p189
「(重光葵 手記)東洋に対しては亜細亜植民地の観念は何等改めらるる処なく、即ち東洋人に対しては人種の平等が認められぬのみでなく、民主主義の片鱗をも実行せられなかった。東洋を永遠に西洋の奴隷であるとする考えが尚維持されたのは非常な矛盾であった」p189
「「(重光葵 手記)東洋の解放、建設、発展が日本の戦争目的である。アジアは数千年の古き歴史を有する優秀民族の居住地域である。亜細亜が欧米に侵略せられた上に其植民地たる地位に甘んずる時期は己に過ぎ去った」欧米の植民地支配を打破するということ。それこそが大東亜戦争の目的に他ならないと重光は確信していたのです」p191
「(重光が策定しようとした「植民地支配の打破」という日本の大義を掲げる「大東亜憲章」のための大東亜会議)昭和18年11月5、6日、大東亜会議が東京で開催されます(ビルマ、満州国、中華民国、日本、タイ、フィリピン、自由インド仮政府首脳が出席)」p192
「実際にアジア諸国に出征した軍人たちの中には、横暴で冷酷な人々が存在しました。まことに残念な話ですが、自身の権威、権力を要求し、アジアの人々を奴隷のように使役する軍人がいたのです。また、自分たちの命令に従わない人々を「平手打ち」にするなど、暴力も横行していました。かつての植民地支配を行っていた白人たちと変わらぬ姿に失望させられたアジア人は数え切れません。日本が掲げていた大義と実際の日本軍の行動との間に乖離があったことは認めなくてはならないでしょう。日本人は全く美しいことしかしなかったというわけにはいきません」p196
「我々の父祖は何の理由もなく闇雲に戦争を始めたわけではないということです」p198
「日本は国家の政策として一民族を絶滅させようなどとしていません。日本はアメリカと同様に戦争犯罪を犯しましたが、ジェノサイドとは無縁の国家でした。従って、ナチス・ドイツと日本が同様の犯罪を犯したという認識は、まったくの事実誤認だといわなければなりません」p202
「我々は小さな頃から歴史の授業で戦争の悲惨さについては学びますが、何故、日本が戦争をしたのか、その理由を学ぶことはほとんどありません」p209続きを読む投稿日:2022.08.16
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