告白
町田康(著)
/中公文庫
この作品のレビュー
平均 4.2 (255件のレビュー)
-
歴史に残る大犯罪者を、読んでいるうちに応援したり、愛おしくなっていました。
彼を大犯罪者にしたのは周囲の人たち、強いて言うならばあの一族ではないか。あかんではないか。
分厚い小説ですが、サラサラ読めて…、アホで面白く、終盤は切ない、大傑作です。続きを読む投稿日:2022.11.16
地の文に未来の人間の感覚が混ざっているので、舞台が安政とか明治とか言われても受け入れやすかったです。慣れない方言も、読んでいるうちに馴染んでいって、独特のリズムがむしろ心地良く感じるようになりました。…
長々と喋る人が多いので、途中で何を言いたいのかわからなくなり読む気が失せるシーンも正直あったのですけれど……。
次に何をやらかすのかわからない主人公を見つめているのは面白かったです。ご本人からしてみれば、すべて大真面目なのかもしれないですけれど。
最後のほうに進めば進むほど胸が苦しくなりました。
彼はむしろ、この時代だからこそここで人生を終えたからこそ、良かったのかもしれないと思いました。長く生きてはもっと苦しんでしまうタイプのような気がします。わたしもそんな長く生きたくないです……。
(以下、読みながら綴った感想)
2023/04/07 p.7-18
p.7
“飲酒、賭博、婦女に身を持ち崩す、完全な無頼(ぶらい)者と成り果てていた。”
見事なまでの屑人間……。
p.7
“あかんではないか。”
この表現に、ふふっと笑ってしまいました。あかんですねえ。
p.9
“もわもわするような春のある日、”
表現がかわいいです。もわもわ。
2023/04/08 p.18-20
2023/04/09 p.20
2023/05/05 p.20-34
p.22
“余所事(よそごと)にふけるのが恰好ええのやんけ。”
いえ、ダサいです。真面目に働く人のほうが格好良いです。
p.24
“クールミントみたいな顔をしていた。”
この時代にそんな例えが出てくるものですか……? 感覚として、現代風に言うならば、ということでしょうか。
p.27
“強い弱いでいうと自分は弱いのだと熊太郎は思った。ただ、こいつらが知らぬコツのようなものを会得しただけだ。”
冷静ですねえ。
2023/05/07 p.34-41
p.40
“僕に偉そうな口きかんほうがええとおもうで”
なまりは一緒ですけれど、一人称が「僕」ですね。僕と言っている人はいままでいなかったような……?
2023/05/22 p.41-142
p.42
“余裕のあまり左右に揺曳(ようえい)しているようでもある。”
ようえい、ってなんぞ? と思い、調べてみました。ゆらゆらとただようこと、だそうです。
ゆらゆら揺れている落ち着きのない子どもは、大人からすればさほどこわくないですけれどね。大人は揺らぎの少ない、隙のない人ほど、こわがるイメージがあります。
p.47
“水分の城戸熊太郎にやられたちゅうたらあかんで。”
何故わざわざ名乗っているのですか……? 阿呆ですか? まだ名乗っていなかったのに。言わなければバレなかったのに……。
p.48
“「おまえはわれから、わいは水分の城戸熊太郎て名乗ってんやて」”
指摘されるまでわからないとは……。やはり阿呆……。
p.59
“あほ”
(中略)
“ぼけ”
子どもに向かって口が悪いお方……。と、先ほど「阿呆」と考えたくせに思ってしまいます。
口に出すのはまた別問題です。良くないです。
p.85
“熊太郎たちの住まいとする水分(すいぶん)というのは”
この漢字、「すいぶん」と読むのですね。「みずわけ」かと思っていました。そのままですね。
p.98
“盆踊りの歌。盆に御霊(みたま)を迎え慰(なぐさ)めるために歌い踊る死霊のための歌である。”
へぇ……! 盆踊りってそんな意味だったのですか!
そういえば、夏祭りはお盆のあたりにやりますよねえ。そうか。そういう意味があってもおかしくないですね。考えたことなかったですけれど。
p.135
“思いと言葉がひとすじに繋(つな)がっている。”
良く観察していますねえ。そして以前より、言語化できているように感じます。
この能力を巧く使ったら、人を操ることもできそうです。
p.138
“「ほだ、この牛曳いて先、ようじょこ場にいといて」”
その、ようじょこ場を、熊太郎さんは知っているのですか?
p.138
“駒太郎に牛を託された熊太郎はこの牛を曳いてようじょこ場近くまでやってきた。”
嗚呼よかった、場所はさすがにご存知でしたか。
p.140
“牛の鼻面を撫でていると”
あら。動物には優しいのですね。
人間に対して不器用すぎるだけかもしれないですけれど。
2023/05/26 p.142-187
p.155
“牛の悲しげな顔”
一番の被害者はこの牛さんでは……?
p.158
“逆上してわめきだした”
ここまでしゃべることができるのですね、熊太郎さん。
p.160
“別のものを俺に払わんとあかんようになるやろ”
別のもの……? お金ではなくて?
最悪なパターンでは、命でしょうか……?
2023/05/27 p.188-359
p.196
“熊太郎の脳裏に、酢醤油(すじょうゆ)、という言葉が浮かんだ。ガラス小瓶に入った酢醤油が森を疾走する。”
何故……。
ことばが浮かんでくるところまでは、まぁ、そういうこともあるかなぁ……とわかるのですけれど、何故飛んでいるのですか?
p.196
“酢醤油の瓶は突然、木に激突して割れる。割れたガラスは月の光にきらきら輝きながら下草の這う闇のような森の地面に落ちていく。”
なんだか、切なく美しい光景ですねえ……。凄い想像力。
p.258
“熊太郎は女にとってちょっと危険な頽廃(たいはい)、背徳の気配の漂う美男であったのである。”
美男なのですか、熊太郎さん。
この世には見た目しか重視しない輩もいるようなので、もっと広いせかいに行けばモテるのでは? 知らんけど。
p.259
“どういうつもりで話しかけたかという根本の土台について説明を始めたのだ。”
すべて説明しようとするのは口下手な人の悪い癖です。そこまでしないと伝わらない、と焦るのですけれど、逆にそこまで言うからよりわからなくなってしまうのです。頭でわかっていても、余計なことを言ってしまうのですけれど……。
p.275
“熊太郎が自分にセッションを仕掛けてきたのだと思って喜んでしまったのである。”
このおじさま、可愛らしいですねえ。踊りがお好きなのでしょう。側から見ている分には、愉快です。
p.303
“どう考えても俺に惚れているとしか思えない。”
いや、気が早いです。ただ話したかっただけでしょう。
p.303
“どうだ。これをみたか?”
見ていないですし、知ったところでどうとも思わない気がします。彼女のただの気まぐれだと思うでしょう。
p.310
“このお人が誰か、”
お人……と言うことは、自分より立場が上と認識しているのでしょうか?
p.356〜357
“言ったことやったことは取り返しがつかない。”
それは生きていたら皆、感じることです。
悲しいですけれど、それが事実です。わたしたちはただの人間ですから。過去を変えることはできません、変えてはいけません。
2023/06/06 p.360-392
p.365
“暴力的な言動に及んだりする”
このあとのことばが以前より荒々しく、悲しいです……。どんどん孤独になってしまいますね……。
p.366
“毎年するから、みながするからちゅうだけでするちゅっことが俺は嫌いやね。”
ここだけは少し、同意します。嫌いとまでは言わないですけれど。
自分がやりたいからやる、と考える分にはいいと思います。周りがやるから仕方なく、と考えるならやめたほうがいいと感じます。
自分の人生を動かせるのは自分だけなのですから。悔いなく、納得できるよう、動いたほうがいいです。
p.377
“爽やかな半殺しみたいな、”
半殺しに爽やかなんてあるのですか?
p.388
“あのときはあのときで俺はもうあかんと思っていたのやがな。くほほ。あのときは実はまだまだ頑張れた。それを頑張らなかった。”
振り返ってみると、そう感じますよね。あの時頑張っていれば……。
けれど、リアルタイムではダメだと思い込んでしまうものです。いつだって、「いま」が若いのだからと、動けば良いのに動けないのが凡人です。
p.392
“熊太郎を兄哥(あにき)、兄哥と奉(たてまつ)って、”
中国語で「哥哥」と書くと「お兄さん」って意味だった気がします。
「き」と読むのですね。それとも当て字?
2023/06/09 p.393-435
p.406
“弥五郎にだけは忌憚(きたん)なく思ったことを話せたのはなぜだろう。”
心を許しているからでは……?
ここまでスラスラ話すところを見ることができるとは、思っていなかったです。成長ですねえ。
p.407
“わっぴゃぴゃん、くっしゃみをして目を覚ました。”
可愛らしいくしゃみ。
p.433
“といって息子がくみを愛していたという訳ではなく、そら口では愛しているというようなことを言ったがそんなものは口先だけで、実はただ性欲に任せてくみを我がものにしただけのことである。”
クズ男はどの時代にもいるものですね……。厭になります……。
p.435
“この息子の代になって身代限りをしてしまったそうである。”
身代限り……? 子どもがいなかったということでしょうか?
調べてみました。
「全財産を費やしてしまうこと。破産すること」だそうです。お金持ちだったのにすっからかんになってしまったのですね。あらまあ……。
必死に稼いだご先祖さまは泣いていることでしょう。
2023/06/16 p.435-439
2023/06/30 p.439-475
2024/06/01 p.475-579
p.488
”なにもかもが駄目になって全員死ぬ。滅びる。”
すぐこの思考になってしまうのは大変ですねえ……。第三者だから笑えますけれど、本人は大真面目なのですからおつらいでしょう。
p.516
”空がますます昏(くら)くなったかと思ったら、ときならぬ雹(ひょう)が降ってきた。”
描写がこわいです……。
p.525
”「しゃあない使お」”
ろくでもない人たち……。
使うなら使うで、見張りをしてくれた人にもお礼を渡すべきでは? 自分たちだけいい思いをするのはずるいです。
p.527
”初めて自分で百円という大金を算段し、自分の力で解決をしたのだ。”
お金に替えたのはご自分ではないのに……。人間、都合良く考える生き物ですね。
p.528
”実は俺を破滅させるべく巧妙に仕組まれた罠で”
彼が現代に生きていたら陰謀論に夢中になっていたのではないか……と思ってしまいます。そして無敵の人になり、犯罪を犯す……。そんな人はいつの時代にもいるものですね。
……と決めつけてしまうわたしこそ、危険思考なのですけれど。
p.534
”例えばいまでも十代の少女を対象とするロックバンドの多くは、感傷とメルヘンを主題とすることが多く、”
へえ、そうなのですか。ロックはよくわからないです……。
p.538
”女と見ればただ自らの情欲を満たすための存在としか思わなくなっていたし、”
最低……。
p.540
”自分ももはや三十四。”
それは犯罪では……? 自分の半分の年齢の人に恋をしたのですか?
いえ、別に、感情はその人のものですけれども……。それを表に出してしまうとなかなか大変なことになりそうです。
p.565-566
”むかつくことを考えると自分を反省したりしなくてええよね。世間の方が悪いと思えてええよね。”
世の中には何だか怒りっぽい人がいるなぁと思っていたのですけれど、こういう理屈なのでしょうか? 彼らが言語化できているとは思えないのですけれど、もしかしたら無意識にこう感じて、怒りを表に出しているのかもしれませんね。
わたしはわたしが悪いとすぐ考えてしまうので、怒るより泣くことが多いです。どちらにせよ健全な思考ではないですけれど。
2024/06/02 p.580-850
p.592
”私の気持ちは問題じゃない。なぜなら、私の気持ちとは関係なしに母はお金が要るからです。”
そんな悲しいこと言わないでください……。現代だったら毒親から離れよう、となるところですけれど、縁談を決めるのは親であるのが当然って時代でしょうから……むつかしいのでしょうねえ。
彼女はおそらく、長い間、自分の感情をころしてしまっているから自分の望みがわからなくなっているのではないでしょうか。わたしがその状態ですから。そんなわたしですら、もう少し望みがあるものですけれど……。
彼女のことを思うと胸が苦しくなります。
p.632
”現れたのは一辺が一尺くらいな白く輝く正三角形で、鳥居の前の空中を発光しつつ浮遊していた。”
ん……? この本ってファンタジーでしたっけ……?? これは何?
p.635
”熊太郎の場合は酒を飲む、女と遊ぶ、そしてなによりも博奕をするというのが大きく、”
酒と博奕は続けているとわかっていましたけれど、女もですか……。最低……。
ダメな男の典型じゃないですか。酒、女、賭け事。タバコがないだけマシでしょうか。
p.723
”この世に正義を実現させるためだ。”
嗚呼……良くない思考。自分が絶対的に正しいと思っている時は視野が狭くなってしまっています。
それぞれの正義があって、他人の正義とは一致しないものなのですから、大変危険です。
p.766
”食うのに精一杯であった当時の人の方がより強い精神を持ち、より透徹した生死観を持っていたとも言える。”
わたし、この時代に生まれていたほうがマシだったのでしょうか。しぬことを考えていたとしても、いまより強い精神だったかもしれません。続きを読む投稿日:2024.06.02
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