ソ連という実験 ──国家が管理する民主主義は可能か
松戸清裕(著)
/筑摩選書
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社会主義国家ソ連は、計画経済を行っていたが、すべてを「国家」が運営しきることはできず、「社会」との協働を模索していた。また、「一党制」でありながら、民意をまったく無視して政治を行うことはできず、民意のくみ取りに多大な労力を費やしていた。それらの試みは、どのように行われ、どのように失敗に終わったのか。歴史上最大規模の「実験」の実態を豊富な資料と内側からの視点で描く異色のソ連史。
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この作品のレビュー
平均 3.0 (3件のレビュー)
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冗談ではなく、本当に、ソ連で「民主主義」を実施したのだ。
つか、しようとしたのだ。
自由主義はともかく、民主主義は尊重されるべきだし、実現できると思っていたのだ。
一党制民主主義という形で。
ス…ターリン体制が終了したフルシチョフの時代だが、すんげえ真面目に、国民の為を思って、「民主主義」をやろうとしたのだ。
正直びっくりした。
もちろん失敗した。
そもそも、体制批判は認めないし、自分たちのやりたい方向以外は精神病扱いだったわけだし、大体、中央が本気で綺麗な政策を出しても、それが実現するわけがない。人民が背を向けているわけではないが、そもそも、共産主義者は人を人としてみていない。人という「変数」でしか理解出来ないので、動機づけとかが全く欠けてると見えた。
要は、
この試合に勝ちたければ、全打席ホームランを打てばいいのだ。そうしろ。
という監督なわけだ。
ホームラン打てませんよ、という訴えも真面目に聞くのだが、打てるようになる方法は提示できない。
生の人間を理解出来ない上に、自分たちの生の欲求を、理想化して異論を許さないのが問題だろうな。
ソ連が本気でやろうとしたことに驚いたし、それがまあ、プーチン以前のちょっとはいいとこだったのかもしれないし、RPCとは違うところなのかもしれないが、本の体裁としては、研究発表みたいで、あまりにも沢山の事例でお腹いっぱい。
新書で読みたい。続きを読む投稿日:2023.09.06
初代ツァーリ・イヴァン雷帝からロシア帝国最後の皇帝である
ニコライ二世まで。そして、レーニンからスターリン時代の
ソ連邦は一定程度の把握をしている。
しかし、フルシチョフ以降のソ連邦については…私の中ですっぽり
と抜け落ちているのだ。
ロシア・ソ連史の空白地帯を埋めようと手にしたのが本書。なのだ
が、文章が硬すぎてなかなか噛み砕けなかった。
あらゆることを国家が管理し、国民はそれに従うだけ。社会党が
政権に座に就いたら一切の自由はなくなると教わったのは小学生
の頃だった。
だが、実際、ソ連邦は国民の声に耳を傾け、生活と文化の向上を
目指してはいた。
目指してはいたが、実際に出来たかは別問題なのだけれどね。
どんなに上層部が国民からの声に対応しようとしても、選挙の
投票用紙は間違ったところへ配送され、インフラの老朽化は
手当されず、住居や物品は不足する。
そりゃ国家崩壊へまっしぐらですわ。
このソ連時代を教訓にしたのかな?プーチン閣下は。
プーチン閣下が国民からの質問に答えてくれる、ロシアで人気の
テレビ番組「プーチン・ホットライン」で、自治体が動いてくれ
ないことを訴える質問が寄せられると閣下の一声で事態は好転
しちゃうのだもの。
鶴の一声ならぬ、プーの一声である。
プーチン閣下のことは脇に置いて…。結局はソ連邦は国家として
失敗しているのだけれど、西側の民主主義が正解かと言えばそれ
も疑問符がつくと思うのだよね。
ソ連邦のみならず、世界中では壮大な実験が行われている最中なの
ではないかな。続きを読む投稿日:2019.05.04
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