サッカーと愛国
清義明(著)
/イースト・プレス
作品情報
2016年度、第27回ミズノスポーツライター賞、優秀賞受賞作品!
スタジアムには日本人が知らない世界基準がある!
渋谷スクランブル交差点「自称・日本代表サポーター」、「JAPANESE ONLY」横断幕&バナナ事件、
旭日旗問題、「サッカー犯罪防止法」、ネオナチとフーリガン、ウルトラスの革命、ザンクトパウリのゴール裏、欧州クラブ事情……
サッカーはレイシズムとどう闘ってきたのか?
木村元彦氏(ジャーナリスト)、激賞!
「がんばれ!ニッポン」層が大きなマーケットとされるサッカー界において、
ナショナリズムに抗い民族差別問題に正面から取り組んだライターはほとんどいない。
その中で清義明は極めて稀有な存在である。
本書は路上でもスタジアムでも全力でレイシストと闘って来た清が
必然を以って著した、日本初のサッカー界からの反差別の書である。
サッカーとナショナリズムは強い親和性をもつ。
スタジアムは世の中の縮図であり、いいことも悪いことも、スタジアムで起きたことは世界に波及する。
本書では、それに翻弄される人々と、それでもそこから見いだされる希望について、フィールドワークの成果を報告する。
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商品情報
- シリーズ
- サッカーと愛国
- 著者
- 清義明
- ジャンル
- スポーツ・アウトドア - スポーツ
- 出版社
- イースト・プレス
- 書籍発売日
- 2016.07.20
- Reader Store発売日
- 2017.04.13
- ファイルサイズ
- 1MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (5件のレビュー)
-
かちとるにむづかしく はぐくむにむずかしい 吉野弘さんの詩が浮かぶ。サッカーの希望も感じることができた。それにしても、我が祖国のなんとていたらくなことよ。
投稿日:2023.04.06
このレビューはネタバレを含みます
天邪鬼なのでW杯が盛り上がるたびに「戦争の代わりのナショナリズムの発露やん」と受け流してる最近だけど、この気持ちの源泉が何なのかを知るために読んでみた。サッカーとサポーターとナショナリズムの関係性を…日本から世界にかけて広く議論していて勉強になった。
レビューの続きを読む
日本代表の試合になれば沸いてくるサッカーファンをみて、これはナショナリズムを発露する入り口として一番イージーだよなと思っていたが、本著でもその点は指摘されている。特に2002年のW杯でネトウヨが跋扈する土台ができたという話に驚いた。フジテレビに対する反韓流デモあたりが起源かと思っていたけど、サッカーを起点にして悪意のある感情を肯定するムードになってしまったという。あるイギリスのジャーナリストによれば、多くのライトなサッカーファンにとってW杯の狂騒はあくまで「害のない休日用のナショナリズム」であるが、それをトリガーにして排外主義を掲揚してしまう輩が産まれてくるのを知ると虚しい気持ちになる。
サッカーは代表チームとクラブチームのクロス表になっており、個人的にオモシロかったのはクラブチームの話だった。欧州を中心に多くのクラブチームには国という括りはなく、さまざまな国からの選手がチームを形成しローカル、フッドへサッカーで還元していく。それは国家に対するカウンターとしての「ネーション」でもあり、オシム曰く「教会」というのはしっくりきた。この自治性ゆえに悪い方向へ機能するときはとことん悪い方向へ進んでしまう点が難しいところ。本著内でも代表戦、Jリーグで起こった人種差別についてインタビュー含め詳しく解説してくれており表面上の問題だけではなく背景まで知ることができた。特に浦和レッズで起こった李忠成へのヘイトスピーチの件が興味深かった。FIFAが人種差別に対する感度が高くヘイトスピーチへ毅然とした態度を取ることを規約に盛り込んでおり、それを踏襲するJリーグが国内でどこよりもヘイトスピーチに厳しく対応した。これはサッカーのポジティブな側面だと思う。(自ら律せないが、お上の言うことだけは聞く、という典型的な日本的事例でもあるが)
終盤にはさまざまなサッカークラブのサポーター事情が書かれており、サッカーと政治が日本以上に不可分であり市民の生活に染みこんでいることを知った。社会状況的にフィジカルな連帯が無くなっていく方向にある中でローカルに根ざしたコミュニティを持つサッカーは尊いと思う。なのでサッカーを好きになりたいかも。
続きを読む投稿日:2022.12.17
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