日本占領史1945-1952 東京・ワシントン・沖縄
福永文夫(著)
/中公新書
作品情報
1945年の敗戦後、マッカーサーを頂点にGHQの支配下に置かれた日本。当初占領政策は非軍事化・民主化を推進、平和主義を追求した日本国憲法が花開く。だが冷戦が深まる中、日本を「反共親米」にすべく、政策は経済復興に転換される。51年、朝鮮戦争の最中に結ばれたサンフランシスコ講和条約は日米安保条約とセットの締結となった。本書は、21世紀まで続く「戦後体制」が創られた日本占領7年間の全貌を描く。
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商品情報
- 著者
- 福永文夫
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2014.12.20
- Reader Store発売日
- 2015.12.11
- ファイルサイズ
- 4.3MB
- ページ数
- 376ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (17件のレビュー)
-
1945年から52年まで7年間におよぶ日本占領期の歴史。
当時の沖縄がどんな状況にあったかについてかなりページを割いており,役立つ。
占領期に日本の政治家がいかに主体的に行動したかも従来のイメージ…よりも強調されているように思われる。とくに片山哲とか芦田均とか西尾末広とか。中道から左派勢力の動きは非常に大事。
地味と言えば地味だが良書。続きを読む投稿日:2018.03.05
1945年10月のGHQの発足から51年9月のサンフランシスコ条約発効による独立回復までのGHQによる占領に関する新書。占領改革によって日本の「国体」が一方的に改造されて、GHQ謹製の日本国憲法を一方…的に押し付けられたという「占領史観」が一部には根強いが、必ずしもそうではなく、婦人参政権の付与、労働組合法、農地改革などの改革は、戦前からの懸案であり、GHQに先んじて日本側からも改革が志向された。日米の合作で戦後史が始まったといえる。
①ワシントンとGHQ、またGHQ内の対立
マッカーサーの統治は「アメリカによる占領」として一枚岩に捉えられがちであるが、それは必ずしも正しくない。占領国の最高政策決定機関としてワシントンに極東委員会が設置されていたが、極東委員会は憲法改正など日本の政治形態の基本的変更は含んでおらず、マッカーサーと憲法改正問題で激しく対立した。またGHQ内の抗争として民政局とG2の対立がよく取り上げられるが、民政局と経済科学局も対立していたようだ。
②象徴天皇制と戦争放棄
当時の極東委員会は天皇制の廃止を求めていたが、マッカーサーは、天皇の存在が占領を円滑に進めるために必要と考え、天皇制の存続を求めていた。天皇制の存続は当時の幣原喜重郎首相と吉田茂外相の希望であり、また彼らは日本の再軍備を当時は望んでいなかった。幣原・吉田とマッカーサーの考えが一致した結果として天皇制の存続と戦争放棄がバーター交換されたのが実情のようだ。
③ドッジ・ラインー「中間安定論」から「一挙安定論」へ
戦後の経済環境においてインフレが大きな問題となった。経済再建を巡っては2つの意見があり、インフレ抑制に主眼を置き一挙に安定実現をめざす「一挙安定論」と、引き続き生産増大に重点を置き、徐々にインフレ克服を目指す「中間安定論」との論争が展開されていた。当時の芦田内閣とそれを支持するGHQは「中間安定論」をとっていたが、ワシントンは「一挙安定論」に傾いており、中間指令のかたちで「経済安定九原則」を日本政府に実施させるようGHQに伝達している。それに伴い、ワシントンからジョゼフ・ドッジが来日、いわゆる「超緊縮財政」のドッジ・ラインが行われた。最近、ある本の中で「GHQが日本に緊縮財政を押し付けた」という趣旨のことが書かれていたが、「緊縮財政」はワシントンがGHQの頭越しに日本に押し付けていたものであり、説得力のある史観であるとは全く思えない。
他のレビューで書かれてあるとおりに、記述は淡々として面白みに欠き、副題は「東京・ワシントン・沖縄」であるが、沖縄のことはあまり書かれていない。そこが欠点だが、記述は概ね公平で内容は幅広い。これを読んでおけば大体の占領史の流れが理解できると思う。続きを読む投稿日:2021.04.23
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