鎌倉仏教
佐藤弘夫(著)
/ちくま学芸文庫
作品情報
法然、栄西、親鸞、道元、日蓮、一遍―彼らを開祖として鎌倉時代に相次いで勃興した新たな宗教運動は、日本思想史上の頂点をなすと広くみなされている。「鎌倉(新)仏教」と呼ばれるこの潮流は、民衆を救済対象に据えたという点において、とりわけ高く評価されてきた。だが、新仏教の意義は、はたしてこの民衆的性格に言い尽くされるのか? 本書では、旧仏教との異同を深く掘り下げて考察することで、鎌倉仏教の宗教的特質の核心をあざやかに浮き彫りにする。思想家である前につねに実践の人であった偉大な宗教者たちの苦悩と思索の足跡をたどり、中世仏教の生きた姿をとらえた好著。
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商品情報
- シリーズ
- 鎌倉仏教
- 著者
- 佐藤弘夫
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま学芸文庫
- 書籍発売日
- 2013.11.10
- Reader Store発売日
- 2015.08.28
- ファイルサイズ
- 0.5MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (5件のレビュー)
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新しい視点
鎌倉仏教の祖師達の思想がなぜ民衆に受け入れられていったかのかという視点を元に鎌倉仏教を整理し直している。
このような視点はあまり見られることはないという点で、希有で貴重な文献であるといえる。
とはいう…ものの、あとがきを見ると書かれたのは20年前で、現在の仏教研究の中心は、近代にあるという。けれども、こういう論調が深められることなく消え去って行くには惜しい。
けれども、民衆の生活から鎌倉時代の祖師達の思想が受容されていくさまを描くのは、非常に困難だ。
なぜなら、その時代の一般の人たちがどのような生活を送っていたかを記録している文書は非常に少ないからだ。
これは、歴史となる現代の我々にもいえることで、現代の生活様式や考え方が、1000年後に正確に把握できるほど、日々の生活が記録されているわけではないことからも、容易に想像できる。
それゆえ、推測の域を脱していない記述が多いところがある。仕方がないとはいえ、少々説得力に欠けるところである。
しかし、この本の一番痛快なところは、鎌倉仏教の祖師達を源流とする教団が、権力に妥協し、その思想とは全く異なるものに成り下がっていると喝破している点だ。
このような視点から書かれている著書は少ない。そして、教団は現代の教団の礎を作った「中興の祖」を尊ぶところがある。
私はある宗派の信徒であるが、現代教団の考え方を知れば知るほど、一種の違和感をずっと感じていた。それは、「中興の祖」の考え方が、祖師の考えと異なっているからだと知った。
そして、自分の感じている違和感が間違いでなかったことも知り得た。
鎌倉仏教の特徴は、貴族化した僧侶のあり方を否定した祖師達が、罪の意識に苛まされる民衆の救われる術を、既存仏教を敵に回しても伝えた点であるという視点で描かれている。
現代と違い文字を読めない、書けない人々が、一つの行で救われることをいかに喜んだか、祖師達の身分に関係なく仏は救ってくれるという考えが、虐げられた民衆の一筋の光であったかが想像できる。
その民衆の思いにあぐらをかき、権力におもねり、衰退の一途をたどっていっている現代教団は、今一度祖師達の考えの原点に帰るべきだと考えさせられる一冊。続きを読む投稿日:2015.09.20
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1994年に刊行された、著者の鎌倉仏教にかんする解説書の文庫版です。
いわゆる鎌倉新仏教による専修の主張は、民衆にとって荘園支配を支える仏神的なイデオロギーを否定する意義をもっていたと著者は論じてい…ます。こうした見方は、田川建三のイエス論を連想させる内容ですが、こうした視点からの研究は、いまではやや古びてしまったような印象もあります。
著者自身もこのことは認識しており、文庫化にさいして付け加えられた補論のなかで、黒田俊雄や平雅行らの研究成果について触れられています。著者は、鎌倉仏教に「民衆性」といった要素を認める見かたがしりぞけられたのではなく、「鎌倉新仏教」の切り開いた新たな思想的地平に目を閉ざすものではないとしたうえで、鎌倉仏教研究の再生の必要性を主張しています。
入門書という位置づけの本なので、読者に親しみやすい語り口を採用したのかもしれませんが、それ以上に著者の情念のようなものが伝わってくる文章のように感じられます。続きを読む投稿日:2020.02.16
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