日本の戦争(小学館文庫)
田原総一朗(著)
/小学館文庫
作品情報
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少年時代に敗戦を体験した著者が、長年にわたって抱き続けてきた疑問―日本はなぜ、世界を敵にまわし「負ける戦争」を始めてしまったのか? 明治維新で国家を建設し、西欧を懸命に追いかけてきた日本の間違いは、一体どこにあったのか。「富国強兵」「五族協和」など七つのキーワードをもとに、日清・日露戦争、満州事変、そして「大東亜戦争」へと突き進んでいった近代日本の謎を解き明かし、長く曖昧にされてきた戦争の真実に迫る!
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商品情報
- シリーズ
- 日本の戦争(小学館文庫)
- 著者
- 田原総一朗
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- 小学館文庫
- 書籍発売日
- 2005.01.01
- Reader Store発売日
- 2015.05.21
- ファイルサイズ
- 2.1MB
- ページ数
- 592ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (8件のレビュー)
-
明治維新~太平洋戦争まで、日本がいかにして戦争に突っ走っていったのかを総括。
興味深いのは二二六事件の背景として、今までよく大不況や農民層の疲弊が原因と言われていたが、実はそうではなかったのではない…か、という提言。 それから、統帥権という化け物。近衛文麿という戦争直前の首相であるが、首相としての資質がまったく欠如していたのではないかと思われること。
んんん、勉強になった。
終戦記念日にもういちど戦争を振り返るための良書。続きを読む投稿日:2013.08.22
日本はなぜ負ける戦争をしてしまったのか、そのような疑問を子供の頃から抱いた著者が、大学教授との対談や調査を通じて1冊にまとめたのが本書である。
まず大日本帝国の誕生まで遡る必要がある。ペリーの黒船…来航をきっかけに、江戸幕府の権威が揺らぎ始め、そこから明治維新が起きるのが大まかな流れであるが、黒船来航以前から国防の重要性を説いた人物がいくつかいた。そのうちの一人が島津斉彬であった。島津は清国のアヘン戦争より、日本にも同様の危機が迫ると警告を鳴らす。そのために、「富国強兵」が必要といい、それに関連する洋学を学ぶべきだと主張した。ちなみに、富国強兵そのものはほかにも会沢正志斎も唱えたが、島津は開国派であった。ただし、この改革は、あくまで江戸幕府の封建制をもとにした改革であったために、不十分であった。
実際、本格的な富国強兵に着手したのは大久保利通であった。大久保は島津斉彬含む薩摩藩の先輩から、富国強兵の話や文には触れていたが、それは頭の中で想像した観念でしかなかったが、薩英戦争を通して軍備の重要性を知った。とはいえ、不平等条約の改正は依然進まず、それが成功したのは日清、日露戦争に勝利してからであった。
戦前の日本では、天皇を元首とした国家であったが、このような制度は実は近代から、すなわち明治政府による政策であり、とくに教育勅語は、政府が新しい国作りの核となるものとして起草したのであった。その一方、政府とは別に自由民権運動が盛んになった。これは板垣退助や後藤象二郎を中心に発展した。
明治、大正と日本は着々と帝国主義を拡大していったが、昭和、特に世界恐慌そして満州事変から雲行きが怪しくなる。とりわけ二・二六事件は全国に衝撃を与え、それ以降、軍が政府中枢に介入するようになった。今回、本書を読んで驚いたのが、その当時の経済状況である。敗戦後から10数年後の経済白書で「もはや戦後ではない」という有名なフレーズがあるが、それによると、1956年は、二・二六事件が起きた1936年と同等の経済水準であった。つまり、1936年の経済状況は敗戦直後と比べて幾分マシであったと言える。
そのような状況下が延々と続いて、近衛文麿内閣が誕生した。意外なことに、当時、近衛は右派、左派、メディア、政党、国民と、あらゆる方面から人気があり、支持されていた。しかし、中国の対処を誤り、その結果、日中戦争は泥沼化してしまい打開策が見つからなかったが、ナチスドイツの勢いが増すと、それに乗り遅れないかのように、日本はそのあとについた。その後、東条英機内閣では、東条が軍後からを抑制するために複数の大臣を兼任したが、日本の情報収集能力が欠けたせいで、アメリカに宣戦布告した。第2次世界大戦では、石油の確保が戦略上欠かせないが、そのうちの8割がアメリカで残り2割が蘭印、ボルネオである。つまり、日本は十分な石油を保持しないまま戦争に突入してしまった。
このように、かの戦争は、日本の状況を俯瞰、客観視することできぬまま、無謀な戦争に挑み、砕け散った。続きを読む投稿日:2023.08.22
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