三国志 第九巻
宮城谷昌光(著)
/文春文庫
作品情報
建興5年。蜀の諸葛亮(孔明)は皇帝に上表をおこない、魏を攻めるための軍を発した。そのとき書かれたのが歴史に名高い「出師の表」である。漢中に駐屯した諸葛亮は魏の太守を寝返らせるが、その太守はすぐに魏の司馬懿に斬られてしまう。その後も魏軍の反撃と先鋒の馬謖のまずい布陣で諸葛亮の軍は惨敗。漢中に帰着した諸葛亮は馬謖を処刑――。シリーズ第9巻は戦争の厳しさと難しさを冷徹に描きます。
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商品情報
- シリーズ
- 三国志
- 著者
- 宮城谷昌光
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2013.10.10
- Reader Store発売日
- 2014.07.25
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 399ページ
- シリーズ情報
- 既刊16巻
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この作品のレビュー
平均 3.8 (11件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
一押しの曹操亡き後の三国志なんぞ…と思っていましたが、やっぱり面白い。楽しい。
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圧倒的に非凡な人材というのはもうどこにもいないので、あっちもこっちもいろいろと停滞していますが、そこに人間が表れると言いましょうか、ドラマですなあ。
曹丕について思うところは次回に、と八巻の感想で書きましたが、特にこれといって功績も残さずさっくりと病死してしまいました。
大失態はしませんでしたが、全てにおいて能力不足を露呈した曹丕。
いや、能力が足りないだけならしょうがない。
でも、努力をしない。
しかも情に薄くて礼を失し、徳も持ち合わせていない。
諫言はことごとく退けるので、曹操が恃みにしていた重臣たちもあっけなく左遷されたり処刑されたり。
そして自分のやりたいことばかりを優先させる(前線に赴く)ので、大軍を率いて呉の征伐に向かった割には成果を得ることもなく…。
一体君は偉大な父さんのそばで何を見ておったのか!
これじゃあ魏も長くは持たないはずよのう。
と思ったら、後を継いだ曹叡(曹丕の息子)がなかなか良い子で、諫言は進んで受け入れる。
やりたいことよりやるべきことを、わきまえる。
内政も、軍事も、適材適所で任せることができる。
じゃじゃじゃあ、何で司馬懿は?って思ったら、最後の最後で予兆が現れた。
建造好きで、戦で疲弊していようが、農家の繁忙期であろうが、造営のための人手が優先される。
うーむむ。
ここは諫言を聴かなかったらしいぞ。
28歳、謙虚が大事なお年頃なのに。
さて、曹操には行政手腕を買われていた司馬懿だけど、本当は軍を動かしたかった。
曹叡の代になって、曹操時代の優秀な将軍たちも年を取り、世代交代の機に乗じて蜀に対峙する軍を率いることになった。
蜀は、本当に諸葛亮しか人材がないのね。
で、彼は兵法は知っているけど戦場を知らない。
彼は大軍を率いては、大した成果も得られずに蜀に帰っていくしかない。
しかし正直にそんな事を言うと国の士気にかかわるので、小さな勝利を大手柄に、諸葛亮の作戦ミスを馬謖のせいに。
とはいえ、遠征を重ねるごとに戦というものを理解した諸葛亮と、彼を侮る司馬懿。
長期間忍耐強く向かい合い、腹を探り合い、結果ようやく蜀の勝利。
二人とも、軍師としての成長途中。
有名なあれはもう少し先ですな。
そしてついに孫権が皇帝に。
後漢の皇帝から禅譲された魏の皇帝。
劉家以外の皇帝はならぬという正論(劉家の正論だよね)を基に立った蜀の皇帝。
しかし、呉には何一つ皇帝に立つ正当性はないのだよね。
ただ今後の三国のバランスを考えて、今立っておいた方がよかろうという…。
結局後漢王朝のことを最後まで考えていたのは曹操だけなんだよね。
その曹操がなぜ皇帝に親政をさせなかったのかというと、やっぱり献帝に問題があったんじゃないかなあ。
政治的・軍事的能力の欠如というよりも、世間に対する視野の狭さというか。
保身のためなら愛妻をもサッサと切り捨てる非情さとか。
だけど劉備もそうだったし、当時はそれはさほど問題じゃなかったのかなあ。
曹操が宦官の家ので出なければ、後漢王朝はまだしばらく続いたんではないかしら。投稿日:2022.06.16
それなりに面白かったのだが…… 筆致と言うべきなのか文体と言うべきなのか、が統一されていない気がしてならなかった。宮城谷昌光はもう老齢なので多作を維持するために、お弟子さんなど複数で執筆している気がし…てならない。そのため、これまでの宮城谷作品らしく思われない描写がある。魏を高く評価するため、諸葛亮及び孫権(呉)を貶めて描写するのは気にいらなかった。続きを読む
投稿日:2020.01.17
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