三国志 第八巻
宮城谷昌光(著)
/文春文庫
作品情報
『三国志』決定版、第8巻。英雄たちの葬送――。戦え、と天はわれに命じている。天意を感じた関羽はわずかに笑み、そして孫権の兵に突入し斃(たお)れた。復讐を誓い荊州に出兵した劉備だったが、自らも死の病に伏す。30余年の霸道を駆けぬけた魏王曹操もついに崩じ、王位は嗣王の曹丕に。戦国の英雄たちの死によって後漢王朝期は終焉を迎え、今ほんとうの三国時代が始まる――。壮大な叙事詩、いよいよ佳境へ!
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商品情報
- シリーズ
- 三国志
- 著者
- 宮城谷昌光
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2012.10.10
- Reader Store発売日
- 2014.07.25
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 397ページ
- シリーズ情報
- 既刊16巻
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この作品のレビュー
平均 3.6 (10件のレビュー)
-
夏侯淵、曹操、関羽、張飛、劉備・・・・・。巨星が瞬く間に落ちていく。一つの時代が終わりゆく境目の巻である。関羽の感情の疎隔を象徴しているような益州と荊州の版図の広がり。但し不自然は続かない。水が高いと…ころから低いところへ流れていくように世の中は自然に動く。謀略はすべて道理にかなっており、そこには伝説も奇跡もない。ただただ合理があるだけである。死ぬ間際まで潔さを示さなかった劉備。創意も工夫もなく、凡庸を貫き凡庸を突き抜けてしまったところに劉備の不思議さがある。劉備とは一体何者だったのか。続きを読む
投稿日:2013.12.30
このレビューはネタバレを含みます
遂に曹操が死んでしまったが、その前に関羽。
レビューの続きを読む
一枚岩かと思われた劉備と関羽と張飛だけれども、諸葛亮が加わることによって亀裂が生じた。
諸葛亮が加わる前は、「国のために正義を尽くすぞ!」という一念で繋がっ…ていた三人。
その正義は必ずしも後漢王朝のための正義ではなく、自分たちにとって都合の良い正義だったとしても、本人たちの心はまっすぐであった。
けれども、今の国のかたちが正義ではないのなら、正義の国を創ろうじゃないか。
そのためには人材が必要だ。
と、諸葛亮を加えたことで、目的のために手段を問わないことも出て来た。
詭弁をもって謀るようになったのだ。
それが、関羽には耐えられなかった。
諸葛亮を重用する劉備から少しずつ距離を置くようになった。
劉備も、同じだったのかもしれない。
関羽は無頼の徒であったとしても気性はまっすぐだったので、孫権の言動には実がないことに気づくのが遅れてしまった。
また、厳しすぎる関羽を憎んでいるものが身内にいることにも。
突然呉軍が背後を攻めた時、守り抜いてくれるはずの味方がさっさと降伏してしまったことも、単独行動だった故援軍を頼むことができなかったことも、関羽には想定外だっただろう。
でも、それは関羽が蒔いた種ともいえる。
それでも最後の関羽の戦いっぷりを、誰も非難することなどできないだろう。
曹操が亡くなり、曹丕が後を継いだと思ったら、献帝からの禅譲の話。
曹操・曹丕親子が献帝に無理やり禅譲を迫ったと今まで聞かされていたが、この本によると(つまり史実によると)献帝からの申し入れ。
そして何度も断る曹丕。
思うに、このタイミングでの禅譲ということは、曹操にも過去に持ち掛けていたのではないかと思われる。
けれど曹操が相当はっきりときっぱりと、半ば脅すように断ったのではないかな。
「私を逆賊にするつもりか!」くらいな事を言って。
で、曹操がいなくなったタイミングで曹丕に禅譲。
だって、勧める、断る、勧める、断るのやりとりは、いわばお約束のはず。
そういう三文芝居みたいのは曹操が嫌うところのものだから、「二度と言うなよ!」くらいの強い言葉で断ったのではないかと。
さて、多くの臣が止めるのも聞かず、関羽の敵を討ちに呉に宣戦布告する劉備。
しかしやっぱり彼は戦下手なので、多くの犠牲を出しながら、仇も討てないという体たらく。
”いわゆる礼儀をことごとくないがしろにしてきたがゆえに、帝位に昇るという最大の無礼を平然とおこなうことができたとはいえ、白帝城にとどまったまま、成都へ帰ろうとしない劉備に、いつもながらいさぎよさがみられない。”
国を治めることを中断してまで出兵して、負けたのに帰ってこない皇帝。
無責任にもほどがあるけれど、彼を選んだのは蜀の民だからね。しょうがない。
関羽を失うことでそれほど意気消沈するのであれば、なぜ彼を一人取り残していたのか。
家族すらあっさり見捨てる劉備が、唯一失いたくなかったのが関羽と張飛という事か…とも思ったけど、一度関羽を見捨てて逃げたよね。
やっぱり劉備ってよくわからない。
魏の皇帝となった曹丕についても思ったことはいろいろあるけれど、それは次の巻にでも。
覚えていれば。続きを読む投稿日:2022.06.02
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