不況のメカニズム ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ
小野善康(著)
/中公新書
作品情報
長期にわたった景気の低迷に対して、小泉内閣が行った「構造改革」は有効な措置といえるのか。経済学者間の意見は対立し続け、経済学への信頼までも揺らいでいる。ケインズは一九三〇年代の世界不況を目の当たりにして主著『雇用・利子および貨幣の一般理論』を執筆した。本書はその欠陥も明らかにしつつ、ケインズが論証することに失敗した「不況のメカニズム」を提示し、現代の経済政策のあり方を問うものである。
もっとみる
商品情報
- 著者
- 小野善康
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2007.04.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 2.7MB
- ページ数
- 223ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (13件のレビュー)
-
少し疑問点。著者は「構造改革派が言うように、投入額より小さい価値しかうまないからやるだけ損、ということにはならない。出来たものの価値は加わるから、少しでも役に立つ物やサービスならやった方がよい。」(P…73)としているが、減税の乗数効果との比較をしないといけないのではないだろうか?でも減税の方が乗数効果低いのかな?あとそして赤字国債での公共投資は効果が半減するし(マンデルフレミング理論)、そのあたりについての言及も欲しかった。
著者はP148で夕張市を擁護しているが、個人的にそういう側面もあると確かに思った。
ただ、遊園地やらなんやら流石に行き過ぎじゃないかとも思うけれども。(主観ですが)
私感ですが、著者は政府にはある程度の判断能力が備わっているという前提で政府は補助はもちろんのこと、時には主導もしつつ市場の力をうまく引き出すべきだという主張のようですが、自分は競争にさらされず、報酬も罰則も限定的な政府という組織は無能(個々の方々は無能と言っているわけではないので悪しからず)と化すので、出来る限り市場の力を活用しつつ、政府は補助に徹するべきだと考えているので、政府の役割をどこまでの範囲にするのかという度合いは異なってはくるのですが、これに関しては個々の主義主張の範囲内であると思います。
P155では「個人や企業は経済全体のことなど考えず、自分自身か自分と利害を共有する集団のだけことを考えるからである」としていますが、なかなか耳の痛い話です。個人的には「ことだけ」を考えているわけではないのですが…(誰しもがそう考えていないことも願っていますが)個人的には価値を0から生み出して成功するような人(いわゆる起業家)に関しては、成功しても4割所得税をとられてしまうのなら、誰も挑戦をしないでしょうし、途中でそこそこ成功すればいいやとなりかねないとは感じています。それに関してもおまえがそうだからだろ、と反論されればまあそうかもしれないとしか言えないのですが…。
P166「こうして手っ取り早く人々の人気を得ることが出来る純粋なバラマキ政策、すなわち減税や補助金、果ては地域振興券(1998年)なるものまで実行された」
とおっしゃっていますから、減税の乗数効果は公共事業より大幅に劣るとの認識なのでしょう。ただ、低所得者は消費性向が高いのだから、低所得者向けの減税に関してはある程度の乗数効果が認められるのではないかと言う個人的な仮説はあります。
それに公共事業が常に清廉潔白な人格者が主導出来ればよいのですが、そうはいかないのが現実のようですし、政府支出によって本来は淘汰されるべきゾンビ企業が生き延び、市場の働きを歪めるという問題もあるのですから、それらの問題が発生しにくい減税というのは、公共事業とどちらが有効か長期的・短期的な視点の両方から比較されて良いように思います。
P182では「この改革が日産だけにとどまるなら(中略)日産1社の業績が改善するだけに終わる、しかし日本中の企業がこれを見習えば、(中略)失業が増えてデフレ圧力が高まり、日本全体の消費意欲が減退して物が売れなくなるから、各企業の業績もかえって悪化してしまう。」確かに著者の仰るとおりだと思いますが、この件に関して日産はどうすればよかったのでしょう?賃金が限界生産性を上回っている人員は解雇してはいけないと言うのでしょうかね?解雇出来ないのであれば、コストにおいて国際競争では不利になります。それこそ本末転倒になりかねないかと。
--気になった言葉--
需要刺激策を支持する根拠として、ケインズ自身は社会正義から見た再分配という側面を強調してはいない(P27)
労働者は実質賃金ではなく貨幣賃金の動きに注意を払うからであり、その理由は他の労働者のと相対的賃金水準を期にするからである(P40)
貨幣の持つこれら三つの特殊性、すなわち、簡単に増やすことができず、代用が難しく、たとえその量が増えても人々がその保有に感じる価値が簡単には下がらない、という特徴はすべて、勝ち標準となる資産が持つべき望ましい特徴であると考えられている。皮肉なことに、まさにこれらの特徴こそが、貨幣を他のどれよりも魅力的なものにして、流動性プレミアムを高止まりさせ、購買力を底なしに吸い込んで他の財や実物資本への需要を抑え、不況を生み出してしまうのである。(P118)
ケインズ的需要創出政策も新古典派的市場主義も、その目的は効率化であり、それが本当に効率化をもたらすか否かは、総需要が不足しているかどうかに依存する。(P199)続きを読む投稿日:2010.08.15
新古典派とケインズの主張の比較をし、ケインズの矛盾点があればそれを指摘し、解決案をしている。なぜ不況になるかを論証している。完全雇用環境でなければ、消費不足が不況に引き起こすという。なぜ消費不足になる…かといえば、経済の先行きへの不信である。その克服には世代交代が必要だという。公共投資、税金による失業者救済などの効果も論証している。続きを読む
投稿日:2018.10.11
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。