統合失調症 ――精神分裂病を解く
森山公夫(著)
/ちくま新書
作品情報
「わからない病」「治らない病」として差別的に扱われてきた「精神分裂病」という名称が「統合失調症」に変わった。心が閉ざされてゆく初期段階から、対人恐怖・迫害妄想の段階を通り、発病に至るまでの経緯を解明。心・身体・社会という統合的視点から病を捉えなおす。汎精神疾患論のアプローチから、精神病理を解体する。
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商品情報
- シリーズ
- 統合失調症 ――精神分裂病を解く
- 著者
- 森山公夫
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま新書
- 書籍発売日
- 2002.08.01
- Reader Store発売日
- 2014.07.21
- ファイルサイズ
- 0.3MB
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この作品のレビュー
平均 3.3 (6件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
以前は「精神分裂症」と言われていた。
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しかしその病名には、「理解不能」「不治の病」「遺伝的要因」という誤ったイメージが染みついているため、15年ほど前に「統合失調症」とすることになった。
名前が変わったことは知っていたが、やはり私もこの病気をイメージでしか知らなかった。
緊張や不安からの自律神経失調、不眠などから発症するこの病気は、決して特殊な人間だけがかかるものではなく、しかし、今は心理・社会的治療と薬物療法で治り得る病気になっているのだそうだ。
統合失調症に顕著にみられる症状として、迫害妄想(被害念慮)があるが、その中でも日本人に多く見られるのが対人恐怖症。
これは三段階に分かれていて
まず赤面恐怖症(恥ずかしい)
そして表情恐怖症(嫌われてる?)
最後は視線恐怖症(みんなが見ている→狙われている)となる。
必ずしも段階を経るわけではないし、一つ所に留まることもある。
同じ体験をした人が同じ受け止め方をするとは限らない。
環境・性格・体験によって、病を発症しうる。
「敏感性性格」とは、「無力性」(弱気)の中に弾力性(強気)の部分を含み、自分の体験への深い印象能力をもち、その体験をひそかに長い間自分の中で加工して外には片鱗をも示さない繊細な人々。
我慢強い人に甘え過ぎてはいけないということだよね。
ところで、夏目漱石がヤバい。
“変物の持つ変物性が具体的にどういうものであるかは、まだ判明ではない。しかし、世の中一般の考え方、生き方とはどこか違っているということだけははっきりしている。世の中一般より自分の方が上等でまっとうだとは思っている。そして自分の中にある〈すき〉〈趣味〉をまげないで生きてゆきたいと思っている。世の中から〈狂愚〉と思われても、変人扱いにされても、頑固に自分を守って生きる頑夫漱石でありたいと思っている。”
“私はこの世に生まれた以上何かしなければならん、といって何をして好いか少しも見当が付かない。私は丁度霧の中に閉じ込められた孤独の人間のように立ち竦んでしまったのです。”
漱石、中二病?
官費で海外留学をしたり、大新聞に連載をもったり、帝国大学で教鞭を取ったりと、傍から見ると順風満帆のような漱石は、生涯自分の心の中にある病的な頑なさや、とてつもない孤独などを抱えたまま、世の中と折り合いをつけながら社会生活を送ってきたんだなあ。
そうして社会的な成功を得た人なんだなあと思うと、しみじみ「お疲れさま」と思う。
そりゃあ胃もやられるよ。
そのうち夏目漱石の作品を読もう。
どうやって世の中と折り合いをつけていたのか、しっかりと読もう。投稿日:2018.05.30
今、現在、統合失調症と呼ばれるようになったかつての精神分裂病と呼ばれていたものの変遷のようなもの。多少、専門的で新書レベルを超えている。精神科医に感じる違和感は仕方がないものがある。こういう風に言葉を…使ってある程度定義し共有し共に考えていかないことにはいけない側面もあると思うからだ。著書は、おそらく優秀な治療者ではないかと思う。かつての定義では捉えられないものを治療可能なものとして捉え直そうというのはクライアントを思っての結果だと思える。やはり、精神の極北というようなレベルには、日常の共感性を超えていて、大変な仕事であろうなと思う。絶望的な印象を受けつつなんとか道を探ろうとする姿勢には敬意を覚える。続きを読む
投稿日:2017.12.18
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