御家騒動 大名家を揺るがした権力闘争
福田千鶴(著)
/中公新書
作品情報
大名家の相続争いや君臣対立に端を発する御家騒動は、講談・歌舞伎などの格好の題材として庶民の関心を集めてきた。その影響力は甚大で、家中の内紛が幕府に露見すれば即、取り潰しという固定観念が一般に流布する。だが、騒動の実情はそれほど単純だったのだろうか。本書では、黒田・伊達・加賀の三大騒動をはじめ、主要な御家騒動を丹念に検証。下克上から泰平へという社会変動に着目し、幕藩関係のあり方を捉えなおす。
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商品情報
- シリーズ
- 御家騒動 大名家を揺るがした権力闘争
- 著者
- 福田千鶴
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2005.03.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 1.9MB
- ページ数
- 248ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
戦国期から徳川初期にかけて起きた、様々な御家騒動を通して、下克上から泰平という社会変革における幕藩関係を問い直す一冊。
戦国時代、君主の条件とは「器量」であったという。
君主の資質として、政治的・軍…事的指導能力がそれである。
家臣達は器量の無い君主に対しては、暗殺・追放・強制隠居も辞さなかった。
というのも、戦国期においては、家臣の独立性が強く、君主といっても、多くの諸豪族を束ねる盟主的な存在という側面もあったからである。
戦国期の実力社会の背後には、牙を剥く家臣団との緊張感が常に存在していた。
そのような時代から、関ヶ原を境に泰平へとパラダイムシフトが起こる。
天下泰平という、固定化した時代においての秩序感の変化である。
それは、「器量重視」から、「伝統的家筋重視」というもの。
「伝統的家筋を基に組織立った秩序」が善であり、それを乱すものは悪となった。
社会変革時の過渡期においては、様々な揉め事が起こるが、それが本書における「御家騒動」である。
それはある意味、戦国時代の勇猛な武士たちの二代目・三代目坊ちゃんと、生き残りの老兵との争いだったりする。
「黒田騒動」や「最上騒動」などはその典型といえる。
現代においては、デフレ世代の若社長とバブル世代の重臣との相克ともとれるような争いである。
そういう意味において、本書は現代的な示唆に富んでると思ったし、新鮮な感動すら覚えた。
本旨とは関係がないが、本書に明記してある江戸時代の大名の直轄地の少なさに、驚きを禁じ得なかった。
表石高の8〜10%が直轄地であったという。
大名の中には、直轄地で比較すると家臣と拮抗している又は家臣の中に大名を凌駕する者もいたとか。
また、一人前の武士となる「元服」であるが、決して一律ではなく、職種によって様々であったとの記述も面白かった。
「児小姓」の中には、四十前後の前髪立ての者もいたとか。
若い新入りの児小姓などは「なぜオッサンが?」などと驚くこともあったのではないだろうか?
エピソードが多岐にわたっていて、時代を多面的に解説しているところも非常に面白かった。続きを読む投稿日:2012.05.02
主君はなぜ主君たり得るのか。それは主君としての器量があるからである、という戦国の論理から、主君は主君であるから主君なのである、という近世の論理への転換過程が、「御家騒動」の豊富な事例を通して描かれてい…る。
主君に「器量」を求める条項が、武家諸法度から抹消されたことが示すように(34頁)、少なくとも近世中期以降は家筋を尊重する伝統化社会へ転換していったとする著者の指摘は非常に明快。
丸山眞男の「「である」ことと「する」こと」(『日本の思想』岩波新書)では、江戸時代は「である社会」、すなわち主君「である」から主君なのである、という社会として描かれているが、それが作り出されたものであることを、本書は教えてくれる。
丸山の言うように「である」→「する」への転換を近代化と定義してしまうと、戦国時代はバリバリ近代ってことになるんだよなぁ・・・続きを読む投稿日:2015.07.02
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