贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ
桜井英治(著)
/中公新書
作品情報
贈与は人間の営む社会・文化で常に見られるものだが、とりわけ日本は先進諸国の中でも贈答儀礼をよく保存している社会として研究者から注目を集めてきた。その歴史は中世までさかのぼり、同時に、この時代の贈与慣行は世界的にも類を見ない極端に功利的な性質を帯びる。損得の釣り合いを重視し、一年中贈り物が飛び交う中世人の精神を探り、義理や虚礼、賄賂といった負のイメージを纏い続ける贈与の源泉を繙く。
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商品情報
- シリーズ
- 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ
- 著者
- 桜井英治
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2011.11.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 0.9MB
- ページ数
- 232ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (29件のレビュー)
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室町時代の今とはすこし違う「贈与」観念
15世紀前後の室町時代での貴族・武家社会での贈与のありかたを題材にしている。当時は贈与経済が市場経済と並んで幕府財政をも支える柱にさえなっていた。
室町幕府は京都に所在したため都市的性格が強い。土地…や農業からの収入よりも、商業・流通・金融・貿易からの収入に重きを置いていた(江戸時代と違う!)。年貢を現物でなく銭で収める代銭納制が1270年ごろから急速に普及していった。これは南宋の滅亡により銅銭が大量に国外に流出したためと言われている(東アジア全域で中国銭使用がこの時期に拡大)。米などの作物を現地で換金するため商品経済、信用経済が発達した(なお江戸時代に改めて米納に回帰する)。
有徳思想、けち(欠けるってこと)、「例」、「相当」などの概念は現代人でも充分に理解できる。しかし室町人は、それらにメチャクチャこだわっていた。それが現代から見ると特異な贈与経済をうむ。将軍も皇族も、財政基盤が弱かったこともあって、自転車操業で贈り物のやり取りをしてる。贈り物はそのモノ自体に価値がある場合もあるが、ほとんどは非人格的なあつかい。贈物の贈物への転用も当たり前。さらに極めつけは銭の贈与。やはりモノより薄礼という意識はあったみたいだが。さらに現金がなくても「折紙」により贈物が手形化する。中世は権利の譲渡については現代よりよほどドライでもある。
はっきりとした主張ないし結論的なものがある本ではないのだが、今と似ていて少し違う時代の経済・儀礼感覚をリアルに描き出して面白い。市場経済とは贈与経済の単純化・非人格化を推し進めたひとつの形であると言えるかもしれない。
室町時代では皇室と幕府が近所づきあいをしていたのも、贈与儀礼が妙に発達した原因かもしれない。続きを読む投稿日:2016.10.10
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贈与が表題であるはずなのだが、中世日本の記述に終始するために社会学的関心を満たすには歴史学的知見が必要とされるものとなっていて読者層がピンポイントすぎやしないかと。
投稿日:2024.04.07
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