太平洋戦争〈上〉
児島襄(著)
/中公新書
作品情報
民族の興廃を賭け、二五〇万の尊い人命を失って敗れた太平洋戦争は、日本人にとってなんであったか。単なる回想や懴悔の対象であってよいであろうか。そのために著者は、何よりも戦争をして戦争を語らせようと努めて五年の歳月を費やし、国内資料の渉猟はもちろん、アメリカへ調査に渡り、南洋諸島、東南アジア各国の旧戦場を隈なく訪ね、相戦った双方の資料を突き合わせて戦争の赤裸な姿を再現する。毎日出版文化賞受賞。
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商品情報
- シリーズ
- 太平洋戦争
- 著者
- 児島襄
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 1979.01.01
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 6.2MB
- ページ数
- 340ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.4 (5件のレビュー)
-
夏休み課題本....やっと半分までいったけど, 感想書いてたら手元が狂ってぜんぶ消えちゃった.....
福島原発以降, 頭から消えない疑問は, なんでこんなことになっちゃったんだろうということであ…る. 日本の戦後体制のせいか, それとも日本人気質なのか.....
ポスト戦後社会とはどんなものだったかを考える時に,どう考えても外せない視点が, 戦後の政治経済体制を形作ることになったアメリカとの関係, つまり日本が大負けに負けた戦争とはどんなものだったかということである. 戦後と終戦が続いて
いるなら, とうぜん終戦に至る道も理解しないといけないわけで, この手の知識は明らかに欠如している私も( ほんとは国際関係学科卒業なんだが......) 思い腰をあげて? 新書をで勉強することにしました.
まず, 太平洋戦争とは何かというと, 41年暮れの真珠湾攻撃から始まって45年の沖縄地上戦, 原爆投下, 日本完全降伏に至る, 対 連合国戦争である. 目的は日本の植民地拡大で, とくに太平洋南方はエネルギー資源が豊富な地域として重要視されていた.当時は日本も軍事力をつけてきていて, ゼロ戦などの性能のよい飛行機なども
開発されて, 海軍の装備なども太平洋に限ってはアメリカにも劣らないくらいのレベルは一応あったらしい.
しかし...勝算の見込みがあったかといえば, 冷徹な情報分析の結果というより, 希望的観測で戦争に突入したような感じである. 陸軍が全面的にイケイケの状態で突き進んでる様子.....真珠湾攻撃は大成功に終わったものの, その後, 上巻のガダルカナル島までは戦力も落ちてこりゃ勝ち目はないだろうと絶望的な気分になる. シンガポールは陥落したが中華系の対日感情は悪化したし バタールは捕虜待遇が劣悪だった死の行進で有名だし, ミッドウェー海戦はボロ負け, ガダルカナル島では飢えと病気で大変な数の日本兵が亡くなった. この時点でまだ開戦から一年たってない.これからさらに3年で,計200万以上もの日本人が亡くなり, 一部は骨さえも見つからず, いまも南方の島々に埋まってるはずだ. いまの日本は, 結局この戦争の負け方で決まってしまったわけで,なんというか.....負け戦さを無理に戦うとロクなことがないなと思った.続きを読む投稿日:2012.10.23
このレビューはネタバレを含みます
太平洋戦争は日本にとって空前絶後の大戦争だった。それだけに太平洋戦争については、そでに多くが語られてきたが、これまでの著述にはいくつかの点で不満と疑問をもっていると著者は言う。
レビューの続きを読む
第一に、既刊の著書、…とくに戦史関係のほとんどは旧軍人の作だという点である。戦争を語るには戦争の当事者であることに利点があるのは言うまでもないが、旧軍人であるが故に、無意識のうちにも旧軍隊ないし陸軍、海軍といった立場にとらわれ、重要な真実が見過ごされ、評価の軽重に偏りが生ずる傾向はいなめない。この種の著書に太平洋戦争のありのままの全容を期待することは難しいように思われる。
第二に、これまでの著作は、日本側あるいは米国をはじめとする連合国側のそれぞれ一方からしか書かれなかった点である。むろん、それぞれを読めば戦争の様子を一応知ることができるが、互いに勝手に戦ったかのごとき印象を受ける。
第三には、太平洋戦争について語る姿勢がおしなべて消極的であること。たとえば、侵略戦争だ、いや自衛戦争だ、植民地解放戦争だという評価にしても、いわば過去におされた戦争犯罪者の烙印にかかずらわった議論にとどまっている感がある。しかし、われわれ日本人にとって、太平洋戦争は単なる回想や懺悔の対象であっていいはずはない。
この著書は、これらの立場からの脱却を心がけて記され、弁護したり、判決する前に、なによりも戦争をして戦争を語らしめることを心がけたという。常に相戦う双方を照らし合わせ、戦争の実相を明らかにすることとしている。
ただ、そういった趣向のため、著書に歴史小説的な感情移入の類は一切省かれ、ただ、淡々と戦争の実態が記載されているのみである。何を期待して読むかということで、評価は分かれるであろう。続きを読む投稿日:2013.02.02
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