自殺する種子
安田節子(著)
/平凡社新書
作品情報
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。巨大アグロバイオ(農業関連生命工学)企業が、遺伝子工学を駆使した生命特許という手法で種子を独占し、世界の食を支配しつつある。本書は、工業的農業の矛盾を暴きつつ、その構造を徹底解剖する。グローバリズム経済を超えて、「食」と「農」の新たな地平を切りひらく。
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商品情報
- シリーズ
- 自殺する種子
- 著者
- 安田節子
- 出版社
- 平凡社
- 掲載誌・レーベル
- 平凡社新書
- 書籍発売日
- 2009.06.15
- Reader Store発売日
- 2015.05.16
- ファイルサイズ
- 24.1MB
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文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
この作品のレビュー
平均 3.3 (10件のレビュー)
-
どんな情報でも、一方からの情報からだけで判断するのはよくないが、関連の書籍は多く、色々読んでいくと全体としてはやはり、かなり世界中でとんでもないことが起きているなという認識になってくる。この本はかなり…辛口。非常に広範囲に様々な情報を集めてき、苦労して編まれていて読み応えはたっぷりある。
アグロバイオ企業に関する章では、本書のタイトルにもなっている、次世代のタネを残さず、農家が毎年タネを買い続けるビジネスモデルが登場する。「ターミネーター」と聞くと真っ先に「シュワちゃん」のイメージが浮かぶが、まさにハリウッド映画並みに分かりやすい、とんでもない技術だ。また、特定の病気にだけ「弱い」タネを作り出し、その病気を防除する農薬をセット販売するとか、まるでギャグ漫画のような話も出てくる。
あとはWTOとミニマムアクセスの話は、これまでニュースで見聞きはすれど、なんとなく流していたことが、実はどれほど深刻な問題だったか目から鱗が落ちた。特に大豆など、日本人が本来昔から醤油、味噌、豆腐の原料として普通に作ってきたはずなのに、いつの間にか輸入に頼りまくり?またその輸入も、生産国の都合でいつでも輸出をストップできる条項付とは、どんだけリスクがあるわけ?とちょっと呆然としてしまうぐらい考えさせられる。「和食」がユネスコ無形文化遺産として認められたとか、喜んでる場合じゃない。
本書が指摘するような問題は決してヒステリックに叫んで批判するばかりでは解決しない。農業生産者は消費者が求めるものを作ろうとする。農業生産者も馬鹿じゃないが、消費者が見えなくなっているのが問題。やはり消費者と生産者をつなぎ、サポートする体制の問題が大きいだろうと思われる。
ほんとに生命に関わっていく問題。誰もがもっと正確な情報を持ってしっかりと認識し、自分で正しい判断をしていかないといけないこと。日々、生活していく上で、ちょっとでも関心レベルをあげていくべきだと思う。続きを読む投稿日:2017.04.28
「自殺する種子」を開発したのは、アメリカのミズーリ州セントルイスに本社を置く多国籍バイオ化学メーカーの“モンサント”社。農薬メーカーとしても有名で、ベトナム戦争で使われた悪魔の「枯葉剤」が同社製だった…のは周知のことだ。「自殺する種子」はターミネーター技術によって生れた。
「自殺する種子」とは米国モンサント・カンパニーが開発したターミネーター種子の事である。遺伝子操作により植物の有用性を増しながらも不稔性を付加された植物の種で、作物としては数々の利点があるものの種子ができないので農家は毎年種苗会社から種子を購入する必要がある。
「自殺する種子」をキータームに、本書では米国企業がいかに遺伝子技術を初めとしたテクノロジーで「食と農」を支配して利益を得ようとしているか、また米国は戦略物資として「作物」をとらえこうした企業と一緒になって農業の分野を支配しようとしているかを描いている。
日本の食料自給率の低さが問題視されているが、本書では、そのことも深刻さを知ることができる。
遺伝子組み換え作物の是非はともかくとして、自分たちの生活を守るために「食料」についても日本という国の舵取りをどうするかをよく考える必要がある。
ぶぶろぐのレビューを読むと本書の科学的な記述に誤りがあるとか著者の思想が見え隠れして気に入らないと言うような文章が目立つが、そのような点はとりあえず横に置いて読んでおく価値はある本だと考える。続きを読む投稿日:2015.05.27
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