集合住宅と日本人
竹井隆人(著)
/平凡社
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※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。“コミュニティ”から“ガバナンス”へ。日本人の「共同性」の特質をあぶり出し、政治学の立場から都市居住と民主主義を考察する気鋭の論考。
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この作品のレビュー
平均 4.3 (5件のレビュー)
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この本は特定多数の人に向けて書かれている批判の書だ。その矛先は都市工学や建築工学といった「理系的」にまちづくりに関わっている人たちに向けられている。
要約するとこうだ、理系的に関わっている人は地域…性や人の繋がりを絶対視して反論を受け付けない。何かあれば楽観的なコミュニティ論を持ち出してきて「住人たちの繋がり」に希望を託す。コミュニティという概念自体曖昧な上に、そのことに無自覚で共同性を謳うその姿はさながら「コミュニティ信仰」である。
確かに「理系的」にまちを作ろうとする人たちは往々にして、夢見がちだ。ゲーテッド・コミュニティを批判し、開放的な町並みの風景を評価する人は、実はその町並み全体がゲートで囲まれていることを知らない。監視カメラだらけの過防備都市を危惧する人たちは、日本が海というゲートによって、かつては囲まれていたということに気づかない。建築・都市が夢見た「ユートピア」、その言葉は幻想という意味も孕んでいるということから目をそらしている。
建築を学んでいた僕は田園都市レッチワースを知っているけど、そのスゴは半分くらいしか学んでいない。そして、コーポラティブハウスは結局は共同性は作れていない。それが「理系的」建築工学の限界なのだ。どんなに優秀なモノづくり人であっても、人の生活までは造れない。
著者の論法はこうだ、今まではなんとかやってこれたけど、犯罪とかグローバリゼーションとかネオリベラリズムとか、日本も欧米みたいになってきた。海というゲートも役立たずになった。だから欧米に倣わないと、日本の共同性は姿を消してしまう。ガバナンスで私的政府で直接民主制なのだ。
さて、この意見に工学畑の人たちはどう答えるのだろうか、実は彼らも気づいてはいるんだけどネ、自分の首を絞めることになるからなかなかネ。続きを読む投稿日:2008.06.09
このレビューはネタバレを含みます
本書は建築専門家や自治体などが、ともすれば安易に唱和する、近隣の相互交流としての「コミュニティ」を批判し、「現代社会という一生涯出会うことのない多くの他者と築くべき共同性」を提唱する。
レビューの続きを読む
確かにコミュニ…ティさえしっかりしておれば何とかなる、といった精神主義的な議論が散見されることは事実だし、時には建築設計者がプライバシーを半ば否定するかのごとく強引な仕掛けをおこない、それが住民から拒絶されるような、独りよがりもあるかもしれない。
その意味で曖昧模糊とした「コミュニティ」から、より強制力や制限に軸足をおいた「ガバナンス」へと共同性のありかたを変えるべきではないか、という議論には賛同できる部分もある。
しかし、わかりにくいのは「コミュニティ」が「空気」として少数者の排除に転じる可能性を指摘しながら、新たな共同性を導入する重要な契機として「保安」をあげている点だ。
著者は「過防備」を問う声に対する反論として、「たしかに『体感治安』が過剰になっている部分があるかもしれないが、『安心』は依存心、あるいは慢心へつながる。(中略)人々の『自立』を妨げる意味において深刻であろう」と述べるが、「犯罪不安社会」(浜井浩一)などが指摘する根拠なき体感治安を前提とし、絶え間ない警戒と相互監視を行ってまで得なければならない「自立」とは一体何なのだろうという気がする。
後半では中世ヨーロッパや中国と比較し、「日本に城郭がないのは四方が海という自然の城郭に囲まれているから」などという陳腐な日本人論が展開される。どうやら著者は城郭が象徴する保安意識こそ近代人の自治=自立に必須な要素として認識しているようなのだが、そもそも近代化とは
城郭の向こう側にいる他者と語り合える共通の基盤を構築することだろう。著者は建築設計者がなぜ「オープン」な空間に価値をおくのか理解できない、というが、建築を含めてモダニズムの掲げる主要な価値の一つに「オープネス」があるのは至極当然ではなかろうか。続きを読む投稿日:2013.12.23
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