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日本人の美徳とされる「行間を読む」能力。
最近では、日本語力の低下と共にこれができなくなっているという嘆き節をよく聞きます。
確かに、欧米風のハッキリした「YES/NO」スタイルがビジネスの効率化には…最適ですが、行間を読むことなくして、日本で心豊かな生活は送れないのも事実。
目に見えない行間について、どのように書かれているのかと興味が湧きました。
著者は国語作文教育研究所所長。まさに行間を語るにふさわしい人物です。
「KY」(空気読めない)という言葉が出てきた頃から、行間力が低下してきたという著者。
「間合いを測る」「行間を読む」とは正反対の意味合いになるためです。
"「間」を読む文化がなくなったため、文字通り「間抜け」になってしまった。"という表現にくすりとしましたが、間抜けとは本当にそういった由来をもつものだとしたら、笑いごとではない事態かもしれません。
剣道などで「間合いを詰める」と言いますが、間合いとは、刀を抜いても切っ先が届かぬ距離のことをいうと知りました。
剣の勝負時において、目測で距離を見定める能力がないと、確実に相手にやられてしまうことから、間合いを測ることは生存能力にもつながります。
言葉は不確定なものであり、全て事象を言葉に頼ることの怖さも、伝わってきます。
逆にこれまでの歴史の中で、本当に言いたいことがいえた時代などほとんどなかったという著者の意見にはっとしました。
言えないことを言うために、人は行間に真実を隠してきたもの。
それを読む側も、言葉に直さず察するということで、なんとか潰されることなく伝えられてきたことも多いのでしょう。
全て「可視化」できる世界は、確かにわかりやすくはありますが、「マニュアル化」は平面化につながり、「指示された通りにすればいい」「みんなと同じことをすればいい」という意識が強くなって、結果的には個人の思考力を低下させる原因になっているというのは、この国の未来にとっておそろしいことだと感じます。
行間力を高めるための具体的な方策については明示されていませんが、人と交流し、文書に触れることで、培われるものだという著者の意見が"行間から"伝わってきました。
人間関係では「間合い」をはかり、文学作品では「行間」を読みこむ、上品な日本の「察し」の文化を廃れさせたくはないもの。
まずは自分の行間力を高めていきたいと思います。続きを読む投稿日:2012.12.13
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