都市の論理 権力はなぜ都市を必要とするか
藤田弘夫(著)
/中公新書
作品情報
現在、世界は未曾有の繁栄を享受する一方で、歴史上かつてない膨大な飢餓人口をかかえている。しかも、第一次産業への就業率の高い国ほど食糧事情が悪化し、都市化した国ほど飽食するという傾向は顕著である。食糧を消費する側の都市より生産する側の農村が飢えに苦しむというパラドックスはなぜ生じるのか。本書は、食糧という人類の根源的課題を軸に、権力の鏡としての都市の可能性と役割を斬新な視角から問い直す試みである。
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商品情報
- シリーズ
- 都市の論理 権力はなぜ都市を必要とするか
- 著者
- 藤田弘夫
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 1993.10.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 2.8MB
- ページ数
- 229ページ
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この作品のレビュー
平均 3.2 (6件のレビュー)
-
○食糧を生産しているにもかかわらず農村は真っ先に飢え、食糧を生産していないにもかかわらず都市はなかなか飢えない。ここには農村と都市の奇妙な逆説が存在します。この逆説を作り出す見えない力が権力です。
…○そこで本書は、都市と権力のそれぞれについて説明をしたあと、国家と都市、都市と農村の権力的な関係がどのようになっているのかということについて論じています。
○おおざっぱに都市の成立をまとめれば以下のようになるのでしょうか。(1) 自給自足的な村落から都市・農村が分離してゆき、権力関係が成り立つ(本書には書かれていませんが、これは、権力の確立によるという見方と、余剰生産物の発生によるという見方がありますね)。(2) 人々の生活を保障するという目的をもったとき、(3) 膨大なモノ(そして労働)の集中と人々の合意(実はこちらのほうが難しい)というきわめて難しい要因をクリアして、政治・経済・宗教といった諸機関を統合した都市が成立する。
○感想としては、一部、図の分かりづらさ(p. 43の図が分からないんです。ごめんなさい。涙目)が気になりました。ですが、権力という視点から都市・農村そして国家などをみる手短な本としては、関心がある方には面白いのではないかなと思います。
疑問:「農民が生み出す物の価値を相対的に低下させようとする」新しいルールに対して抵抗するから農村は「保守的・閉鎖的」だという話がありましたが、反対に、農村が生み出す物の価値の向上を求めて「革新的」になることはないのか。農村は「あきらめ」ているというだけだと、少しわかりにくい気がする。
* メモ *
○国家の権力は都市・農村を支配しようとすると同時に、人々に(安全や十分な生活などの)幸福をもたらすという正統性によって支えられる。
○みずからをまかなうだけの食料を生産できない都市は、農村で余分に生産された食料(余剰食料)を調達することによって維持している。しかし都市は、農村の収穫量に関わらず、その余剰を作り出す権力をもつ(p. 21-)。その権力は、人々の幸福な生活という目的によって正統性を得る(p. 55-)。続きを読む投稿日:2014.02.08
都市に関する一般向けの書としてはそれほど新しいわけではないが、権力の網の目と我々が生活しそれに依存し享受している都市との関係を、多様なエッセンス、雑学を交えながら考察して行く一冊。
主題は、都市が、都…市への食糧供給を可能にし、また未来にも安全と生活を保証しうるもの、つまり権力によって成り立っているということである。
切り口は面白いが、話があっちゃこっちゃいく。著者は話し上手なんだろう、なんの話をしてるのかわからないような論の進め方でも、楽しく読める。続きを読む投稿日:2012.11.12
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