「ビジネス書」と日本人
川上恒雄(著)
/PHP研究所
作品情報
日本の書店にビジネス書が所狭しと並ぶようになったのはなぜだろう――世界的に稀有な時代とされる日本の高度経済成長期を象徴するベストセラーを足がかりとして、「本」と「人間」の関係性を独自の視点で洞察したのが本書です。日本人にとって「ビジネス書」とはどんな存在だったのか。本書では、明治以降からそのおおまかな流れを示しつつ、戦後初のビジネス書ベストセラーとなった坂本藤良の『経営学入門』(1958年)を手始めに、岩田一男『英語に強くなる本』、林髞『頭のよくなる本』、盛田昭夫『学歴無用論』、藤田田『ユダヤの商法』、松下幸之助『物の見方・考え方』、梅棹忠夫『知的生産の技術』といった本を分析しています。「ビジネス書」と呼ばれる、高度成長期の日本のサラリーマンの知的武装に大いに寄与した本が「なぜ売れたか、なぜ広く読まれたか」を洞察することで、「日本人」という存在の行動意識や行動心理がきっと見えてくるはずです。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 「ビジネス書」と日本人
- 著者
- 川上恒雄
- 出版社
- PHP研究所
- 書籍発売日
- 2012.04.01
- Reader Store発売日
- 2013.10.04
- ファイルサイズ
- 2.9MB
- ページ数
- 240ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (1件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
ビジネス書といえば、書店に行くと英語学習本とともにたくさん並べられている分野のひとつだ。次から次へと発行されていくビジネス書。そんなビジネス書に関して高度経済成長期あるいはその直後に発行された本を取り上げながら、ビジネス書のベストセラーを通して見えてくる当時の日本人の姿を浮き彫りにしている。
レビューの続きを読む
インパクトの大きい本といえば、第5章で取り上げられているあの日本マクドナルトを始めた藤田田。その藤田が書いた「ユダヤ商法 世界経済を動かす」(ベストセラーズ、1972年)だ。規格外のモンスター経営者だからこそ、マクドナルドを日本に持ち込んで、今や良いか悪いかは評価が分かれるが、あのアーチ型のマークは日本の風物詩の1つになった。GHQのユダヤ兵に商売を学ぶとある。この中で相当鍛えられたともある。藤田がマクドナルドの経営に乗り出した理由を著書で次のように述べている。
日本人は総体的に蛋白質のとり方が少ない。だから、背は低いし、体力がない。国際的な競争に打ち勝つには、まず、体力から作らなければならない。私がハンバーガーに手を出したのも、日本人の体質を変えようと思ったからである。
日本人が肉とパンとイモのハンバーガーを、これから先、千年ほど食べ続けるならば、日本人も、色白の金髪人間になるはずだ。私は、ハンバーガーで日本人を金髪に改造するのだ。
今なら、トンでも説として片付けられるが、当時の時代背景を考えるとまじめに考えていたのが分かる。何しろ高度経済成長期で、欧米に追いつき追い越せとモーレツに突っ走っていた時代。何とかして日本人を骨太にして国際舞台でタフに生き抜いていけるだけの図太い人間にしようともくろんだのか。
もう1冊になったのは、第3章で取り上げられている林髞(たかし)著「頭のよくなる本 大脳生理学的管理法」 光文社/カッパブックス 1960年だ。この本が出版されてから「味の素」の売り上げが伸びたとある。その理由について、「味の素」に含まれルグルタミン酸が、頭によい作用をもたらすとあり、飛びついた人が多かったのだと想像がつく。ただし、「味の素」は、理論上は頭がよくなる可能性があるが、きちんとした研究結果がないとしてリスクにも触れている。今こんなことを書いて発表したら大変だ。マスコミにとってトヨタと並んで大がつくくらいのお得意様だけに、なかなか取り上げる勇気のあるテレビ局や新聞社はそうないだろう。
ついでに川上は「頭脳パン」についても言及されている。頭脳パンは、大橋二郎という、「製粉技術中央研究所」を設立した人物だ。林が唱えている「小麦ビタミンB1が頭を良くする」から、小麦粉にビタミンB1を加えた「頭脳粉」を開発したとある。頭脳パンといえば、大学生協においてあって食べたことがある。味は普通のパンと同じだ。何が頭脳か良く分からなかったが、こういう由来があったとは1つ利口になった気分だ。
そういえば、英語学習参考書の歴史について書いている人の本を読んだことがある。ビジネス書の歴史同様、あまり省みられない分野だけに印象に残っている。他にも意外なジャンルの歴史について触れている本があったら読んでみたいものだ。投稿日:2012.08.05
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。