通貨「円」の謎
竹森俊平(著)
/文春新書
作品情報
バブル崩壊以降、危機の度に生じる「円高」から日本経済の長期停滞の核心に迫ります。円高という根本原因を放置しては、財政出動も、構造改革も、何の効果も持ちません。アベノミクスのロケットスタートも、「3本の矢」という政策よりも、むしろ「円安」によってもたらされています。韓国、スウェーデン、フィンランドは、金融危機に陥った後、通貨安によってV字型回復を遂げ、輸出主導型経済に転換しました。これ以外に日本経済復活への道はありません。アベノミクスの今後を見極める上で必読の書です
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商品情報
- シリーズ
- 通貨「円」の謎
- 著者
- 竹森俊平
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2013.05.01
- Reader Store発売日
- 2013.06.28
- ファイルサイズ
- 1.4MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (12件のレビュー)
-
筆者は「失われた10年」からアベノミクスに至る日本経済の長くて苦しい経験を理解するためには、価格メカニズム(為替レート、長期金利などのシグナル)が正常に作動しなかったからであると言う。であるならば、今…後、強力な金融緩和を実施することによって、デフレ克服と円高是正を達成することの意義は、「誤った価格メカニズムを正常な状態に戻すこと」これである。
第2章ではアベノミクス成功の条件を上記の観点から、輸出が重要、つまりはアメリカの経済政策が成功することが、非常に重要なポイントであることを指摘し、後半ではアメリカの政治と経済の複雑なリンケージに話が及ぶ。もちろん、それは日本経済の復活の鍵をも握っている。
第3章は実際に通貨安から回復への道を辿った事例を検討しつつ、日本がどのような政策を採るべきかに実証的な分析が加えられる。1998年危機の際に日本はなぜ徹底的な金融緩和をおこない、円安に誘導して回復への道を辿れなかったのか……という反省を踏まえつつ、日銀は長期国債の買い切りオペを実施し、円安誘導をおこなうべきと結論づける。
そして、第4章。「「デフレの克服」は、経済を普通の状態に戻し、健全な常識に基づいて経済政策がなされるようにするための必要な一歩である」は、まさにその通り。そしてこのことは日本経済の本当の「痛み」が何であるのか、それをどう克服していかなければならないのかの第一歩でもある。続きを読む投稿日:2013.08.11
経済学者が、通過としての円の特異性を述べたもの。近年起きた通貨危機や不況時のデータを基に、バブル崩壊によって円安とならない日本の状況を説明している。通常、各国経済は、危機によって価格シグナルが働き、通…貨安によりV字回復するはずであるが、日本のような債権国では危機による投資の海外逃避よりも、危機に対応するための海外投資の国内帰還が大きく、それに対する投機と相まって大幅な円高を招いた。これが危機による痛手をいっそう深め、回復を遅らせたと述べている。通貨の動きの一端を理解できた。
「政府が日銀に国債を買ってもらって、国債金利の上昇を妨げるとともに、代金として受け取った「円」を公共事業に使う(国債のマネタイゼーション)」p20
「2013年1月に、欧州などの一部の国々が、日本に「通貨戦争」という非難を浴びせて以来、「円安」を目標にすることは政治的にタブーになっているし、為替レートを直接に操作する政策が国際社会で黙認される可能性は非常に低くなっている」p23
「多額の経常黒字と対外純資産こそが日本経済の置かれた特殊な状況なのだ」p42
「「正しい価格シグナル」とはどのようなものか。経常赤字国で金融危機が発生した場合、国内の貸し出しがストップして、国内の投資需要も、耐久消費財需要も激減し、不況になる。ここまでは、経常黒字国も、赤字国も同じだ。ところが赤字国では、資本逃避の発生によって為替レートが大幅に自国通貨安になる。それで激減した国内需要の代わりに、海外の需要、すなわち輸出に依存したV字回復が可能になるのだ。これに対して、経常黒字国の場合はまったく違う。ここでも金融危機が起こり、国内需要が崩れると、国内企業は輸出に活路を求めようとする。ところが価格シグナル、つまり為替レートは「ここもダメだ。よそを探せ」という誤ったシグナル、つまり「円高」という情報を国内企業に伝達する。これでは不況が長期化して当然だ」p45
「構造改革とは通貨安である」p219
「政府が目指すべきなのは「輸出マイナス輸入」として定義される「外需」を成長させることではなく、単純に「輸出」を成長させることだと述べてきた」p245
「(輸出の得よりも、輸入の損が大きいとしても)円安は日本経済にとってプラスである。なぜなら、日本は250兆円の対外純資産を持っているからだ。10%の円安で、対外純資産が25兆円増える。単純な数字の上では、これが「円安」の一番のプラス効果である」p246続きを読む投稿日:2018.11.04
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