羽生善治と現代 - だれにも見えない未来をつくる
梅田望夫(著)
/中公文庫
この作品のレビュー
平均 3.9 (8件のレビュー)
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本書は著者の『シリコンバレーから将棋を観る』(2009年)と『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?』(2010年)を合体した上で、羽生善治との新たな対談を加えて一書に再編したものとのことです…。
本書で最も言いたかったことは、自分が将棋に弱くても、鑑賞の方は十分に楽しめるはずだ!ということです。確かに野球やサッカーのように自分がプレイをしなくても、プロスポーツを観戦し評論して楽しむ人は大勢いるので、ルールさえある程度理解していれば観るだけでもそれなりに楽しめるゲームなのではないかと思います。ただちょっと前まではマニアックな趣味の部類にあったので(!)、なかなかプロの棋戦に接する機会も限られていたのですが(NHK杯くらいか?)、ネットでの生中継や情報・交流サイトなどが充実してくるにつれ、将棋に弱くても観戦なりしてそれなりに楽しめる環境は整ってきたといえるでしょう。
自分も小学生の時分に熱中していた頃もあったのですが、そもそもとても弱いので(笑)おのずと遠ざかっていたのですが、数年前から毎日気分転換にスマホで詰将棋を試していると、だんだんとプロ棋士の実戦も観てみたくなり、また、YoutubeなどにUPされているかつての名場面動画などを観るにつけ、次第に鑑賞だけでも楽しいなと思えるようになりました。そんなところに本書で取り上げられているのが、現在でも棋界第一人者の羽生善治で、世代がちょっと近いということもあり(笑)、他の棋士は知らなくても昔から密かに応援していた棋士であったので(笑)、興味深く本書を読了することができました。
全国の天才少年が切磋琢磨してプロとなり、その中からさらに天才の中の天才を決めようという将棋界は熾烈な世界そのもので、さらに若き頃の羽生善治がその著書『変わりゆく現代将棋』で押し開けた「現代将棋」への道は、知のオープン化による膨大な思考の集積が将棋技術の爆発的進展をもたらしたということであり、巨大な最新研究の成果の吸収と秒読みに追われるなどぎりぎりのプレッシャーの中で要求される強靭な思考と精神力、そしてプロゲームならではの人間対人間の全人格を勝負として賭けることができた者だけが、トップとしてサバイバルできる強烈な世界であるということです。そんな中で、羽生善治は現在も常にタイトル戦をこなし(2014年は名人位を奪回)、棋界の第一人者としてイベントやテレビ番組にも登場したりしながら、熾烈な勝負を年がら年中行っていて、頭がどうにかなってしまわないかと余計な心配をしてしまうのですが、人間の能力の最大パフォーマンスの追求と将棋の発展の行く着く先を俯瞰している彼にとってはまだまだ努力のしようがある世界だと思っているのかもしれません。
それはそうとファンであったにもかかわらず、恥ずかしながら羽生善治が著したという『変わりゆく現代将棋』の唯一のテーマが矢倉戦での五手目が7七銀であるべきか6六歩であるべきか延々と考え続けた著作であることを本書で知って、将棋というか羽生善治の思考の深さにとても驚愕した自分ですが、著者の本書での取り扱いがややもすれば教祖と見紛うばかりの肩の入れように始め少し違和感もあったのですが、そんなことで、まあ彼は「神」ということで了解しました。(笑)
また本書では羽生善治のライバルということで、「羽生世代」の好敵手にていまでも負けると自分の不甲斐なさに泣くこともあるという佐藤康光九段や、社会性抜群の深浦康市九段、そして、現在の羽生善治の最大のライバル・渡辺明二冠などとの交流や観戦記録も十分に取り上げられていて、これらエピソードもとても面白いものでしたが、とりわけ若手に立ちはだかる厚い壁ということで、山崎隆之とのエピソードがすこぶる楽しかったです。
それにしても「名人」という称号は羽生善治によく似合いますね。続きを読む投稿日:2015.02.15
ITジャーナリストの梅田望夫から見た羽生善治と現代将棋について。
現代将棋のことを「高速道路の後の大渋滞」と評したのは彼だが、その状況をトップ棋士を通じて描いていた。投稿日:2019.01.28
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