インターネットを探して
アンドリュー・ブルーム(著)
,金子浩(訳)
/単行本
作品情報
インターネットの“実体”とは何のことで、どこにあるのか?――本書はそれを見て確かめる旅の詳細を記した、いわば“大人の社会科見学インターネット篇”である!
私たちはふだん、ウェブサイトやメールが、どこを通って自分の目の前まで来たのかを意識することはまずない。それほどインターネットは日常生活にすっかり溶け込んでいる。しかしそのデータは、誰かが送信し、どこかを通ってきたからこそ届いたのだ。著者ブルームはあるきっかけでそうした“モノとしてのインターネット”を強く意識するようになる。つまり、「人類史上もっとも強力な情報ネットワークが、リスの出っ歯でかじられただけで不調におちいった」のを目撃したのだ。やがてブルームは、インターネット「そのもの」をこの目でしかと見ようと決意して、長い旅に出る。多くの人に話を聞き、世界をまたにかけて飛び回る彼が見つけたものとは……。驚きと感動が満載の冒険譚。
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商品情報
- シリーズ
- インターネットを探して
- 著者
- アンドリュー・ブルーム, 金子浩
- ジャンル
- コンピュータ・情報 - コンピュータ・インターネット
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- 単行本
- 書籍発売日
- 2013.01.25
- Reader Store発売日
- 2013.03.08
- ファイルサイズ
- 2MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (11件のレビュー)
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インターネットをより知るために
インターネットはあまりにも簡単に利用できてしまうので、非現実な空間で起こっているような錯覚を起こさせもします。
それは、ネットを私達は日常的に使っているにも関わらず、あまりにもその仕組みについて無知で…あるからだと思います。
この本は、その"バーチャル"なネットが、いかに現実の連続で成り立っているかを教えてくれます。
私達の生活と切り離せなくなったインターネットをより知るために役立ちました。続きを読む投稿日:2013.11.09
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このレビューはネタバレを含みます
昔のロールプレイングゲームでは決まって主人公の故郷の田舎の村から始まることが多かった。
レビューの続きを読む
この物語はそれに似ていて主人公である筆者が自分の家のインターネットがつながらなくなったことから始まり、リスにかじ…られるというインターネットの物質性に気づいてしまった筆者がインターネットの中心を求めて全米、さらには世界各地を探しまわった紀行文になっている。
この世界を支配する魔王であるところのインターネットの中心はどこにあるのだろうかという疑問はある意味普遍的で、まず筆者はわかりやすくインターネットの地図を作っているとされる会社とミルウォーキーにある年代物のスパゲッティーの巨大な固まりのような「インターネットがぎっしり詰まったビル」を訪問している。
インターネットプロトコル(IP)は間接的には接続されているけれど、その構成は未知のネットワークとの間で情報をやり取りとりする仕組み(プロトコル)であるし、そのプロトコル上インターネットに中心はない。
SNSや都市と同じく人が他の人とつながりあおうとする欲求がインターネットを今日あるような巨大な配線と通信機器の固まりにしたということが本の中で徐々に明らかにされていく。
歴史的な見方も触れていてARPANETの時代の研究者だけに使われていたのどかなインターネットの様子や、そのプロトロルに反して地理的にはインターネットエクスチェンジ(IX)への一極集中型であること、歴史を反映してニューヨークのIXは西海岸のそれよりも新しいが建物と配管は1世紀近く前の電信の時代から変わらないことなどが興味深かった。
またIXにおけるいわゆるプロバイダなどの組織間のつながり、力関係はエンジニアのソーシャルネットワークによるものであることが示されている。もちろんそのソーシャルなつながりビジネス的な理由に立脚しており、インターネットのビジネスは半導体技術、半導体技術への需要はその微細化を駆動するというように相互に依存している。
さらに筆者は旅でであったエンジニア、ビジネスマンににいざなわれるようにして世界のインターネットエクチェンジ(IX)、海底ケーブルを訪ねることとなる。
オランダ、フランクフルト、ニューヨーク、そしてイギリスと各地のIXを訪問するが、どこのIXも場所は公開されながらもサイバーな感じで厳重に警備されている様子は少し前のハリウッド映画に出てくるようでもあるし、個人的にはマトリックスが思い出された。
そこで筆者の世界を広げるアイテムとなったのは船や飛空挺ではなく旅で得られたインターネットに関する知識と人脈であった。
一方紀行文であり、対象の物理性、具体性を重視した結果か文章が読みづらくここら辺は読者のレベル上げの様相を呈している。
機密的な理由か写真がほとんどなく、ネットワーク機器や陸揚げ所のイメージがつきづらいのもよくない点だった。
最後に筆者はこの世界のラスボスであるMicrosoft, Google, Facebookのデータセンターを訪ねる。われわれインターネットの利用者がつながり合おうとする欲求がFacebookを、Webページの価値は相互に依存していて計算可能なものであるという数学的アイデアがGoogleを現在の地位へと押し上げたのだった。
よく知られるGoogleの不気味で極端な秘密主義が具体的に明らかにされるが、筆者がWebサービスでよく使われる技術、スクリプト言語、アルゴリズムやストレージ、半導体デバイスに関する知識をほとんど持ち合わせていないことは割り引く必要があると思われる。
IXと同じようにデータセンターもどこにあってもよいということから返って一カ所に固まる傾向があり、電力、気候や相互接続性の観点から最適な土地となったオレゴン州ザ・ダルズの周辺に集中しているらしい。
訳者による日本のインターネットの歴史と現状の説明も非常に興味深い。
関連しそうな本と情報
海底ケーブルの経路の多くが19世紀の電信ケーブルと同じであり、その通信網が当時の海を支配した大英帝国の神経となっているという事実は「屍者の帝国」のテーマのひとつとなった。
http://booklog.jp/item/1/4309021263
人や会社、通信機器が他のそれらと結びつき合う様子を図示したグラフ(複雑ネットワーク)において各要素の相対的な位置関係の重要性である中心性の数学的な指標については「複雑ネットワーク」が詳しい。
http://booklog.jp/item/1/4764903636
Rのライブラリigraphを使ったその計算方法に関しては
https://sites.google.com/site/kztakemoto/r-seminar-on-igraph---supplementary-information
http://deta.hateblo.jp/entry/2013/05/01/053426
最初にARPANETをつないだマシンであるIMPと最初のグーグルのサーバーのハードウェアは写真集「Core Memory ―ヴィンテージコンピュータの美」に掲載されている。
http://booklog.jp/item/1/4873113571
千葉県南房総市千倉にある海底ケーブル陸揚げ場所
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091102_326066.html
とKDDIの海底ケーブル敷設保守船「KDDIオーシャンリンク」
http://www.k-kcs.co.jp/cableShipKOL.html
東日本大震災による断絶の復旧作業の様子など
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130722_608569.html
「Googleを支える技術」
http://booklog.jp/item/1/4774134325続きを読む投稿日:2014.05.18
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