満州と自民党
小林英夫(著)
/新潮新書
作品情報
戦後の高度成長は、満州国で行われていた統制経済が元になっていた。かつて満州における経済システムを一手に作り上げた知の集団・満鉄調査部、官僚として赴いた岸信介、椎名悦三郎、星野直樹、あるいは日産コンツェルンの鮎川義介……彼らは戦後も国家建設の夢を捨てがたく、日本経済のグランドデザインを描き続けたのである。そして、彼らの見果てぬ夢は、やがて政治の世界でも保守合同を実現させていく――。
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商品情報
- シリーズ
- 満州と自民党
- 著者
- 小林英夫
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2005.11.20
- Reader Store発売日
- 2012.08.31
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 191ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (6件のレビュー)
-
社会主義といえば計画経済、資本主義といえば市場経済というのが常識だが、本書の主張はその常識を覆すものだ。
日本は、1930年代に中国に満州国を作り、官僚指導の下に国家統制により国防産業を急速に育成…した。満州国で「計画経済」を行ったのだ。このノウハウと人材が戦後日本にそのまま移植され、高度成長をリードしたとの主張を本書ではしている。要するに、日本の1950~1970の高度成長は、「計画経済」によるものだというのだ。そしてその準備をしたのが、岸信介を筆頭とした満州で実際に高度国防国家を作るために活躍した「満州人脈」であるというのが本書の主張である。
まあ、ゴルバチョフ旧ソ連大統領が「日本は最も成功した社会主義国だ」と言っていることからも、ある程度は説得力はあるが、本書の歴史はもう少し検証しなければならないかとは思う。
しかし、高度成長を当時の日本政府が主張・リードしたことは事実であるし、いわゆる「開発独裁」パターンはその後さまざまな国で実践され、成功した経済成長システムであることは間違いが無い。経済においては、ケインズ以後は国家の関与は当たり前という意味で「計画」と「市場」に分けることに意味は無い時代にあるのかもしれないとも思う。
もっとこの時代を知りたくなる本である。続きを読む投稿日:2011.09.17
このレビューはネタバレを含みます
メモ
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ロシア通で満鉄調査部にいた宮崎正義がソ連の計画経済を規範にして作った「満州産業計画五か年計画」を実行したのが、商工省のキレものだった岸信介をはじめとする若き官僚たち。彼らはここで実務経験を積んだ…。満鉄の力を弱め、日産を引き込んで一大コンツェルンを作り上げる。これが満州重工業開発株式会社。主要人物は2キ3スケ(星野直樹、松岡洋右、鮎川義介、岸信介)
戦後、岸は巣鴨に収監されていたが、東条内閣の閣僚のうちなぜか唯一無罪で釈放される。アメリカ軍との密約説などがあるが、真相ははっきりしない。
政治活動を再開した岸の政治信念はアジアの盟主を目指すという点では変わらなかったが、各国のナショナリズムの動きを尊重するという柔軟性が加わっていた。これが東南アジア賠償問題である。
自民党の55年体制が確立され、権力闘争に勝利すると岸は満州で培った計画経済的な手法を使って経済成長を図る。輸出入の管理、機械工業分野の重点的成長などである。こうした岸の政策を支えたのが満州人脈だった。
高度経済成長を支えた政財官のシステムは戦前に根を持つもので、そこに向かって満州人脈を率いたのが、敗戦を生き延びた岸だった、という話。
感想
・岸が満州にいたのも、総理大臣だったのもそれぞれ3年ほど。戦後復興に満州の経験や人脈が影響力を持っていることは分かったが、それがどの程度のものなのか、はよくわからない。様々な要因の一つだろうと思う。
・55年体制が崩壊した後の政治はどうなっているのだろうか。さんざん漂流したうえ、結局安倍長期政権になっているという現状を、長期的な視点からみていくと面白いかも。
・さくっと読める。続きを読む投稿日:2019.04.21
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