紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
紫式部(著者)
,山本淳子(編者)
/角川ソフィア文庫
作品情報
華麗な宮廷生活を活写しながら、その生活に溶け込めない自身の複雑な心境も語る。同僚女房やライバル清少納言についての言及には対象を批判的に見る目が利いている。『源氏物語』成立の背景を知るための最適の書。※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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商品情報
- シリーズ
- ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川ソフィア文庫
- 書籍発売日
- 2009.04.25
- Reader Store発売日
- 2012.02.24
- ファイルサイズ
- 3.3MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (14件のレビュー)
-
人生の晴れやかさとしめやかさ、甘さと苦さ
『紫式部集』によれば誰も声をかけてくれず、「仲良くしてください」と歌を送ってもはぐらかされる始末。
結局欠勤してしまい、それがこじれて五ヶ月にもわたりひきこもるはめになりました。(本文・寸評より)
…角川ビギナーズ・クラシックスにはいろいろあるが、だいたい、現代語訳→原文→寸評+コラムという形になっている。
未読者や挫折者には「読んでみたい」と思わせ、既読者には「そんな読み方があるのか」と思わせる、その両方ができたら、このシリーズとして成功なのだと思う。
そういう意味で本シリーズの『紫式部日記』は結構好き。<寸評>の部分を上手く使っている。
『紫式部日記』といえば
清少納言の悪口を書いてあるやつか
というイメージが強いように思う。
少なくとも私はそれで、あまり好きではなかった。
原文を読もうと頑張ったことがあるが
「あかんこの人、性格暗すぎ・・・」と挫折した。
が、本書は、紫式部の暗くてじめじめして、ちょっといけずなところを
とても好意的に読み解いていて、新鮮だった。
それも、根拠のない読み方ではなく、きちんと学説を紹介した上で読み方を提示したり、
上記のように『日記』には収録されていない『式部集』から窺える式部の姿を紹介したり。
最後に添えられた解説も興味深い。
「政治的な意味、個性的な表現」と題した文章、一部抜粋すると
また晴れの日とである中宮自身にしても、紫式部の描くその姿は、決して肩で風を切るような様子ではありません。
彼女が歩んできた道の険しさは、当時の貴族社会の人々なら皆常識として知っていたことでしょう。
この作品は、一見華々しい世界がはらむ「苦」の面をあえて目をそらさずに記しているのです。
紫式部にしか書けない、人生の晴れやかさとしめやかさ、甘さと苦さのない交ぜになった個性的な宮仕え記録。
・・・そんなこと言われるとやっぱり原文再チャレンジ?(笑)
ビギナーズ・クラシックスは、「原文を読んだ気になる」ものよりも、「原文を読みたくなる」ものが一番だなあ、と思った。続きを読む投稿日:2014.10.03
-
ビギナーズ・クラシックス4冊目ともなると不思議と一冊目よりも原文が比較的すらすらと読めるようになってきました。もちろん詳しい解釈は出来ないので本書の「現代語訳」→『原文』→『解説』はスムーズな理解に大…いに役に立ちました。
日記の作者紫式部は『枕草子』の清少納言が宮仕えしていた定子時代のあとの彰子時代に宮仕えし、本書はその彰子中宮の出産前後のエピソードから始まります。
なかなか理解しがたかった相関図や、当時の雰囲気がとても分かりやすくて、紫式部の目を通して中宮彰子や藤原道長、宮仕えの女房たち、さらには紫式部自身のこともしることができ、面白い構成や時々意地悪だったり辛辣だったりする紫式部のもの言いもとても面白かったです。
そのことには紫式部自身は触れていないとしても、なんとなく、紫式部、道長の愛人説も有り得たかもな、プライドの高い紫式部はズバリ言わずにほんのり匂わせているのかも、と思いを巡らせるのもまた楽しいものです。
宮仕え時代には清少納言と面識はなかったようですが、清少納言の存在が紫式部の作品をさらに上質にさせたのだろうな、と思うとオリジナルエピソードだらけの今放送されている大河ドラマも素直にとても楽しく見られます。続きを読む投稿日:2024.03.07
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