長勝院の萩(上)
杉本苑子(著)
/講談社文庫
この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
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静かなタイトルの裏にある愛憎流転
徳川家康の後継者となったのは三男・秀忠。では、長男と次男は?
長男・信康は悲劇の人として知られる。母・築山どの共々、家康によって死を与えられた。そして、次男は…。
本書は、家康の次男とその母、長勝院(…お万の方)の物語である。
幼い頃は於義丸と呼ばれた次男の人生もまた数奇なものである。
だが読んでいて、前半から中盤過ぎにかけて一番存在感を感じるのは
やはり長男・信康とその母の築山どのである。
築山どのとお万の方の間の確執は史料にもあるらしいのだが、
この物語では、築山どの、お万の方、信康、於義丸の結びつきをより悲劇的に、運命的に描いている。
彼等をつなぐ象徴的なものが「萩の花」である。
運命を狂わせる重要な場面には萩の花が登場する。
萩の花を見て、忌まわしくも愛おしい記憶が蘇る、そんな場面が何度もあるのだが…
萩とはどんな花だっただろう?
よくある花だ。
作品中でも、豊臣秀吉が
「わざわざ浜松から持ってきてまで植えたそうだが、よく見ればへんてつもない野萩…。なぜそんなに御執心なのかな?」
とお万に問う場面がある。
私は『長勝院の萩』というタイトルを見たとき、長勝院・お万の方を萩の花のような女性として描こうとしているのかと思った。
それはある意味でそうだ。目立たないが、よく見ればすっと惹きつけられる萩の花のような。
でも、もう一つの意味を感じた。
萩の花は「よくある花」。
この物語の登場人物の悲劇なども戦国の世には「よくあること」。
だが、当人にとってはそれがかけがえのないもので、「ご執心」の対象なのだ。
一つのできごと、一人の人に対するそれぞれの人物の「温度差」を絶妙に描いている。
『長勝院の萩』のタイトルで発表し、『愛憎流転』というタイトルに変更し、
また元のタイトルに戻したというこの物語。
内容は愛憎流転なのだが、はやり、『長勝院の萩』というタイトルに静かな悲しみを感じ、合っていると思う。
続きを読む投稿日:2014.11.16
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歴史小説の面白いところはスポットの当て方によって,歴史上の人物の様々な姿を垣間見ることができる点です。
切ない小説です。
私はこの小説で徳川家康が益々嫌いになりました(笑)。投稿日:2011.03.21
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