日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう
小宮一慶(著)
/ディスカヴァー・トゥエンティワン
作品情報
円高、デフレ、株安、財政赤字……、
今たいへんな危機にある「日本経済の今と未来」を読み解く1冊です。
日本経済の現状はどうなっているのか?
本当の問題は何なのか?
危機を回避するためにはどうすればいいのか?
多くの人が抱える不安と疑問に、80万部ベストセラーの『養成講座シリーズ』や『1秒で財務諸表を読む方法』など、
ビジネスマンに向けた分かりやすい解説で人気の著者が明快に答えます。
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この作品のレビュー
平均 3.3 (7件のレビュー)
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状況がよくわかっていなかった10年ほど前は、「預金封鎖が起きた場合に何が起きるか」という本に書かれている内容を鵜呑みにして、「銀行預金は危ない」と思って怖がっていたものでした。
しかし、最近多くの…人が指摘しているように、日本国民が国債を持っている現状では国家破綻は起きないし、預金というものは所詮、「余ったお金」という性格もあり、それほど恐れる必要はないと思っています。
もっとも私にはこれからおカネのかかる娘が二人いるので、今ためている貯金が封鎖されてしまうとすれば困ってしまいますが。たまには日本経済破綻本も読んでみて新しい考え方が示されているかと期待したのですが、期待外れに終わったようです。
もしくは私の理解不足かもしれませんが、そのために、この種の本も定期的に読み続けるつもりです。
以下は気になったポイントです。
・プライマリーバランスとは、企業で言えば「営業利益」のこと、それに国債金利支払いを加えたものが「経常利益」、税収が「売上高」に相当する(p47)
・名目GDPの6割以上が一旦は家計に分配されることから、GDP比較で政府負債を見るのは現実的ではなく、税収比較で見るべき(p50)
・平成22年度3月末には、銀行貸出金は69.1兆円と、1年前から4兆円以上も減少していて、銀行に対する資金需要が減っている(p62)
・ゆうちょ銀行は貸し出しをしていないので、ゆうちょが資産を増やしても、お金が世の中に回ることはなく、国債を購入することに使われる(p68)
・1932年のグラススティーガル法は、銀行と証券を分離することと、もう1つの特徴は、州をまたいだ業務(州際業務)は禁止であったが、1999年に廃止された(p73)
・1994年の金利自由化により、公定歩合で金利を操作する代わりに、短期金融市場の金利を政策金利として操作している(p84)
・75歳以上の一人当たりの年間医療費は約83万円で現役世代の21万円よりも多い、そのために後期高齢者医療制度が導入されたが民主党により廃止された(p124)
・今後は、いかに労働人口を減らさずに伸ばすか(少子化対策、女性の職場復帰、移民)と、一人の生産性向上(技術革新と教育)をすべき(p133)
・中国政府は、1ドル=6.8人民元になるように、毎日為替介入をしている(p139)
・中国は輸出の20%がEU向け、日本向けは10%なので、中国の欧州依存度は相当高い(p144)
・所得税が問題なのは、課税最低限の所得制限が、家族4人の場合には、334.5万円であること、所得を自分で申告する人は、全部申告していないという問題もあり(p167)
・ニートで行き場のない学生を大学や専門職大学院で抱え込むことは「馬鹿を余計馬鹿にしているだけ」(p191)
・2008年の世帯所得の中央値は、448万円、その半分の年収の家庭(日本の貧困率の定義)は15.7%であり、メキシコ、トルコ、アメリカについで4番目の高さ(p194)
・デンマークは550万人で、九州くらいの国土(小さな国)なので、政府主導の国造りが成功した、日本は大きくなりすぎてしまった(p215)
2010/12/31作成続きを読む投稿日:2011.07.26
10月から出版ラッシュが続く小宮さんの一冊。
前半部分の日本の財政の悪さについては、他の小宮さんの本であったり、他の経済評論家の方なども書いている内容がほとんどです。
この本で新鮮なのは、小宮…さんが日本経済の処方箋を書いていることです。
移民の受け入れ、消費税増税など他でも見られる行けんもありますが、ここで注目すべきは防衛力の強化を挙げている事。
経済の視点で防衛力強化の提案は私は初めて目にして、とても興味深く読むことができました。続きを読む投稿日:2011.06.18
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