
いちご100% モノクロ版 19
河下水希
週刊少年ジャンプ
君と僕の未来(シナリオ)
最終巻です。今まで色んなキャラクターが出てきましたが、最終的には同じ目標や夢を共有できる東城か、これまで恋人として沢山の時間を重ねてきた西野のどちらを真中は選ぶのか、というのが物語の焦点になっています。 映研部員の高校卒業後のお話も描かれていますので、さつきや外村兄妹、小宮山、ちなみ達が今後どういう道に進んでいくのかにも触れられています。卒業式での東城の言葉と表情はすごく印象的でした。こずえも少し出番がありますよ。 巻末には美鈴の初恋をテーマにした特別編と、唯、さつきのおまけ漫画が収録されています。さつきは好きなキャラなんですけど最後までらしいオチでした(笑) 恋愛モノって最初から結ばれる相手は決まっていて、あとはその過程を盛り上げるためにどう展開するかという作りが多い気がします。〔もちろんそうじゃないお話も沢山あるかと思いますが〕実際この作品も第1話ではそんな構造を感じました。 でも高校生って変化の多い年頃ですし、進路の事もあるので色んな出来事を経験して気持ちが変わっていく、好きな人と一緒に歩んでいこうとしてもお互いの道が離れていってしまったり・・・。 この漫画はそういう心境の微妙な変化やすれ違いが丁寧に描かれていて、読んでいてとても好感が持てました。それはキャラクターに単なる作り物で終わらない生命力があったからこそじゃないかと思います。 河下先生も連載を続けていく中で最初の構想とは結末が変わった事をあとがきで明かされていました。最後の数話まで毎日悩まれたそうですが、どちらの選択もあり得たんじゃないでしょうか。東城が中学生の頃に書き始めたあの小説の結末と、ラスト2ページの指輪にはどんな想いが込められていたんでしょうね。 好きな人を大切にしたいと願うのと同じように、自分の将来や夢について悩んだり努力する、そんな素敵な高校生の出てくる青春恋物語でした。
0投稿日: 2015.07.06CLAYMORE 27
八木教広
ジャンプSQ.
空と大地と花と人
最終巻です。長く続いてきたクレア達クレイモアとプリシラの戦いもこの巻で決着がつきます。1巻からずっと己の体を傷付けながら剣を振るい続けてきた彼女達ですが、それもひとまずこれでひと区切りとなるのでしょうか。 読み終えてみて、この物語はテレサが照らした光の中を月のような存在のクレアがラキという太陽を支えに進み続けたようなお話だった気がします。読んでいて辛くなるお話も多かったのですが、ラキの明るさは救いになりました。個人的にはクレアとラキには姉弟のような関係でいて欲しいのですけれど…(笑) 最後の数ページは最初読んだ時は意味が分からず、思わずページをめくり直しました。 ラストシーンをああいう終わりにしたのは本当に素敵な締め方だったなぁと思います。 掲載誌休刊による移籍を挟みながらもこれだけの長編を最後まで破綻することなく描き切った八木先生は本当に尊敬できる作家さんで、その姿は己の信念を貫き通すミリア隊長のようでした。 できたら次は涙と鼻水でグシャグシャじゃないクレアの笑顔が見てみたいです(笑)
1投稿日: 2015.04.08お茶にごす。(11)
西森博之
少年サンデー
開径待佳賓
最終巻です。子供の頃のある出来事が根っ子にあったであろうまークンの「優しい人になりたい」と願う物語もこれでひとまず完結です。姉崎部長、アニ研の柏井部長も高校卒業ですね。 物語の完結の仕方は色々な形があると思うのですが、個人的にこの漫画の最終話はとても好きです。区切りはつけつつもまだ続きがあるような、ちょっぴり寂しい余韻を残して終わります。 最終話はまークンの気持ちになってドキドキしながら読んでたのであの見開きページには虚を突かれました。西森先生もニクイ人ですねー(笑)ただ雪のシーンの部長のモノローグは雑誌掲載時のほうが野暮じゃなかったかな? 最後にちょっとした余談なのですが、電子版とは異なり紙版単行本の表紙は帯により部長の手が隠されていました。帯を取ると実は・・・という演出。こういうところもまたお茶にごす。らしかったです。
0投稿日: 2015.03.21お茶にごす。(1)
西森博之
少年サンデー
優しい人に なってやる!
この漫画は連載当時雑誌やコミックスで読んでいましたが、懐かしくて読み返しました。 街の不良達にデビルと呼ばれ恐れられる船橋雅也=まークンが高校入学を期に優しい人になろうと決意し、姉崎部長を中心とした茶道部に入部する事からこの物語は始まります。これまで歩く度に喧嘩を売られるような日々を過ごしてきたまークンは憎しみの連鎖から抜け出して優しい人になれるのでしょうか? といっても基本肩の力を抜いてクスクス笑って読むような漫画なのですが(笑) お軽いけれど芯は通っているまークンの親友山田や気が強い茶道部員の夏帆、ほの暗い存在と自称する智花達との丁々発止の掛け合いも楽しく、全11巻と短めな作品ですがギリギリまで無駄を削ぎ落としたようなまとまりがあります。 個人的には西森先生の漫画の中で1番「あえて多くは語らないけれど画から何かを伝えようとしてる」作品じゃないのかなーと思っています。背中で語ることがしばしばあったような…。 これから手に取られる方にも何か伝わるものがあれば、いちファンとして嬉しいです。 本との出会いもいっきいっかい…ではなく一期一会ですね(笑)
0投稿日: 2015.03.20木曜日のフルット(1)
石黒正数
週刊少年チャンピオン
箸休めにどうぞ
作者の石黒正数さんというと「それでも町は廻っている」が代表作だと思うのですが、私はこのフルットシリーズもとても好きです。作者が影響を受けたという藤子不二雄的なおとぼけの風味はこちらのほうにとても濃く表れてるのではないでしょうか。 半野良猫のフルット、その半飼い主の鯨井さんとその周辺のネコや人々で展開される4コマ風味の漫画です。シュールな味わいのギャグ漫画とでも言うのか…形容がムズカシイです(笑) 決してメインディッシュにはなりませんが、ちょっとした時に手にとってクスッとするような、箸休め的な感覚で楽しめる漫画だと思います。
0投稿日: 2015.02.16乙嫁語り 1巻
森薫
Fellows!
風が流れてるような不思議な漫画でした
遅ればせながらマンガ大賞2014受賞作品、こちらのレビューでも評判が良いようなので買ってみました。「エマ」の作者さんなんですね。 舞台は19世紀の中央アジア。カスピ海周辺の地方都市に定住するエイホン家の少年カルルクのもとへ北方の移牧民ハルガル家のアミルが嫁いでくるところから物語は始まります。二人の年齢差の8歳(カルルク12歳、アミル20歳)にちょっと驚いちゃいましたが(笑) レビュアーの皆さんが言われているように絵がとても丁寧に描きこまれていて、電子書籍よりも紙の本で眺めてみたいなーと思うくらいでした。(特に衣服への気合の入り方が凄い!)物語も遊牧民の生活を静かに描写していく感じで、コマから風や草原の匂いが伝わってくるような不思議な作品ですね。 淡々としたシーンが多いので正直前半は読んでいて少し物足りないかな?と思っていたのですが、後半のカルルクの○○でオロオロと心配するアミルと祖母バルキルシュのシーンにはホロッときてしまいました。 まだ1巻なのでこれから物語がどうなっていくかは分かりませんが、お金を出して読む価値はある漫画だと思います。続きも読みたいです。
1投稿日: 2015.02.16