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地上の記憶
白山宣之
漫画アクション
一遍の映画のようなあじわい
白山宣之という漫画家について何の知識もなしに読みました。 印象に残ったのは「陽子のいる風景」と「大力伝」。 「陽子のいる風景」に流れている時間は、なんとなく小津安二郎の映画に流れているそれと似た、たおやかさがあり、「大力伝」はおおらかさと力強さで黒澤明の映画を思い起こさせるものがありました。 あじわいが深く、記憶に残る、一遍の映画のような短篇集でした。 「ニューウェーブ世代の旗手」とはいうものの、漫画界のニューウェーブについても知らなかったので、かえって先入観なしに読めたのが良かったのかもしれません。 知己の漫画家、作家が白山氏に手向けた文章もそれぞれ趣深く、惜しまれて亡くなったという白山氏の人柄を忍ばせるものでした。
1投稿日: 2014.01.06
